教員1年目だった私に贈りたい本
22歳。大学を卒業してすぐの私は、私立の中高一貫校で教員になりました。
今から12年も前のことだと思うと、時の流れの速さを感じます。
当時の私は教員としても社会人としても未熟だったけれど、やる気とエネルギーに満ち溢れていました。授業づくりも学級運営も部活指導も、めちゃくちゃ一生懸命やりました。
勤務校の先生たちはみんなとても優しくて、私が「公開授業をするから見にきてほしい」と言ったら、貴重な空き時間に授業を覗きに来てくれました。その後、丁寧なアドバイスをくれるような先生たちでした。
そんな恵まれた環境ではあったけれど、授業以外の業務量は多く、「どうやったら早く仕事が終わるの?」「朝の会ってどうやるの?」「こんな場面では生徒とどう関わるの?」と、悩みは尽きませんでした。その悩みを解決するために、教員向けのセミナーに参加したり、本を読んだりもしました。
セミナーや本で学んだことはすぐに実践。
でも、上手くはいきませんでした。
もちろん役に立つこともあったけれど、そこに私自身の考えや納得感はありませんでした。そう思いながらも、1年、2年と時は流れていきました。少しずついろんなことが上手く回せるようになったのは、4年目くらいからだったと思います。
今思い返してみると、上手くいかないのは当然だったなと感じます。知識や経験がなかったからと言えばそうなのだけど、理由はそれだけではありませんでした。
誰かのやり方を表面的に真似していただけだったから、私の実践にはならなかったのです。「どうやればいいかわからない。早く上手くできるようになりたい」そんな思いから、「正解」を教えてほしかったのだと思います。
先日、友人の青山雄太さん(あおさん)が本を出版しました。
教員1年目だった当時の私の手元に、この本があったらどんなに心強かっただろう。読みながらそう思いました。
この本には、授業づくりの正解も、学級運営の正解も、書いてありません。書いてあるのは、「読者が自分で自分の答えを出し、実践していくための思考法」でした。
冒頭に書かれているのは、ビジョンを明らかにすることの重要性。
誰かが出した正解を求め、周りの先生からどう思われるかを気にしながら動いていた当時の私がこの文章を読んだら、どう感じたでしょう。
本当に大切なのは、「何をやるか」「どうやるか」よりも、自分自身が「何を成し遂げたいのか?」「何を大切にしているのか?」その答えだったように思います。
授業づくりや学級運営のハウツーではなく、教員としての働き方をアップデートする考え方やアイデアがここまで丁寧に書かれている本を、私は知りません。
このような本が書けるのは、著者であるあおさん自身が、試行錯誤しながら実践し、長い時間をかけてその成果を出してきたからだと思います。
本書にはあおさん自身が出してきた「答え」も紹介されています。ですがそれは、あくまであおさんの答え。
参考になるものばかりなので、もちろんそのまま真似したっていいと思います。でも、自分がどんなビジョンのもとでそれをやっているのかは忘れてはいけません。
本書を手に取った方は、ぜひ「自分だったらどんな答えを出すだろう?」と考えながら読み進めてみてください。きっと、あなたの教員生活を軽やかにする1冊になると思います。
教員1年目の方だけではなく、20代、30代の先生におすすめしたい本です。
私はいつもstand.fmでの音声配信を聴かせてもらっています。