見出し画像

「マスコミ専門の転職エージェントMにびっくりするほどの超絶ブラック企業に無理やりねじ込まれました」の補足及び在英ジャーナリストの経験を経て思うこと

 「マスコミ専門の転職エージェントMにびっくりするほどの超絶ブラック企業に無理やりねじ込まれました」の補足です。
 未読の方はこちらを先に読んでください。

 お陰様で公開まもなくにしてかなりの反響をいただきました。
やはりそれだけ転職エージェントに興味、あるいはある種の疑問を抱いている方も少なくないと知りました。

 ここでは記事への理解を深めていただくために詳細の補足説明を加えたいと思います。繰り返しになりますが諸事情を鑑み、社名などの固有名詞を伏せ字にさせていただくことにつきまして、何卒ご理解いただけると幸甚です。

 私にM経由で声をかけてきたB社は、かつて創業者のテレビタレント化により年商100億円越えを達成した、それなりに知名度のある中小企業でした。

 しかし、カリスマ的な創業者亡き後、業績は低迷の一途をたどり紆余曲折の末に某大手うどん屋チェーンに子会社という形で買い取ってもらったようです。

 記事でも触れましたがB社は健康食品や化粧品を製造・販売する企業でした。
そこの製品を紹介する広報誌のインハウスライターをしないかと声をかけられました。

 前職の新聞で読者プレゼントとして健康食品や化粧品を扱う際、景品表示法や薬事法に違反しない記事の書き方をさらった経験はありましたが、本格的な知識・経験はないので勉強が必要で即戦力にはならないだろうと先方へ正直に伝えました。B社の広報誌デスクからは「書き方は教えるから焦らなくて大丈夫、安心して働いてほしい」という返答が来ました。それでもいささか不安はありましたがMによる「好かれて入ったほうが幸せになれる」という結婚相談所もびっくりなアドバイスと、恥ずかしながら両親からの過度なプレッシャーに心が折れて入社することになりました。

 入社してまもなく、B社のある主力製品を宣伝するフライヤー作成を任され、詳しくは書けませんが、色々調べてみると原価の安いある成分を高額で販売していることがわかりました。デスクは私にその成分が「脳に効く」と書けと命じました。どんなものも「効く」「効果がある」と断言して書くことはできません。これをやってしまうと、景品表示法及び薬事法に抵触する恐れがあるからです。ましてやこの主力製品は医薬品ですらなくただの健康食品で、高額なサプリメントのようなものです。「おい、教えるってそっちの書き方かよ」と内心苛立った私は上記の理由ではっきり効くと書くのはリスクが大きすぎると説明しましたが、どうしても自社製品を売り出したいデスクに強引に何度も突っぱねられました。もし万が一、摂取した人が亡くなるなど取り返しのつかないことが起こり、この件が世間から問題視され厳しく批判されたら、果たしてデスクは自分の命令でライターに景品表示法及び薬事法に反する記事を書かせたと責任を負ってくれるのか、きちんとライターを守ってくれるのか。デスクの普段の言動から考えて、正直、私にはそうは思えませんでした。もっと言えば、ライターに全ての責任を負わせてトカゲの尻尾切りのように捨てるのではないかとすら思いました。空いたポストの穴埋めはMがいくらでもしてくれますからね。

 私は法律に反する記事を書くくらいなら、潔くライターを廃業します。

 暴力やハラスメントは引き金でしたが、実を言えばこの出来事が最も大きな退社理由です。犯罪の片棒を担ぐ気はありません。Mによる二枚舌と不誠実さ、Bの法令遵守意識の低さと社会人としての無責任さに愛想を尽かして双方とも縁を切りました。この話は当時のB社の同期にもあまりにもヤバすぎて話していません。

 さて、数年も前の出来事をなぜ私はこのような形で公表したかを改めて説明します。

 B社退社後、私は渡英し、故エリザベス女王の一般弔問と国葬を在英ジャーナリストとしてリポートするオファーを日本のテレビ局からいただきました。
 詳細はこちらの記事を参照してください。

 X(旧Twitter)のDM経由でお話をいただき、TBSの局員の方と今後の段取りについてリモートでやりとりさせていただいた際、私の経歴について確認されました。

 某大新聞の紙面を編集制作する編集部員として働いていた事実を伝えると、TBSの方は私をジャーナリストとして認めて下さいました(さらに今回はジャーナリストにTBSの情報番組が取材したという名目で謝礼もいただきました)。

 実は、「在英ジャーナリスト」というカッコ良すぎる肩書きは自称ではなく、この方がつけてくださったものです。身に余りすぎてちょっと照れ臭いのですが、自分のやってきたことがきちんと評価されて嬉しかったです。

 一方で、ふと疑問が湧きました。

 このように、TBSのようなきちんとした大手マスメディアなら私の経歴や実績を正当に評価していただけるのに、どうしてM社経由では失礼ながら聞いたこともない中小企業すら書類も通らず、その理由を問えば「もっと、もっと」と経歴や実績不足を私にしつこいくらい指摘し、まるで自分が価値のない人間になったかのように錯覚するまで自尊心を傷つけられたのか(失礼を承知で言えば、TBSに匹敵するほどの大手マスコミ企業の求人はMにはありませんでした)。

 あらかじめ謝ります。ごめんなさい。乱暴に言わせてもらいます。

 なんで大手メディアに引っ張りだこな私がもっと小さな会社に経歴や実績でケチつけかれなきゃならないんだよ。Mは何様だよ。


 Mの中には絶対にカラクリがあるに違いない。
 求職者の希望なんて関係なく、お金を出してくれるお得意様企業ファーストの姿勢で、最初からB社に私を売りつける気でいたんだろう。

 以前からなんとなくそう予感していたが、テレビオファーの件を受けて改めてMに対する疑問が強まり、Mに寄せられた(ほとんどが被害者の声だけど)新たなクチコミ「Mで書類すら通らなかったいくつかの企業に直接送ったらバンバン通って内定も貰った」を偶然目にすることで疑問は確信に変わった。

 私がイギリスを飛び回ってた間も、ひょっとしたらいまこの時も、性懲りも無く繰り返してたんだね。どうしようもなく救いようのない奴らだ。

 シンプルに許せないし筆舌に尽くしがたい怒りが湧いてくる。

 個人の尊厳を踏み躙ってまでして企業に強引に売り飛ばすのはどう考えても変だし良くないし、日本国憲法が保障する「職業選択の自由」に反してると思うね。

 同じように、どうせMのことだから得意の二枚舌で言いくるめて企業にもミスマッチな人材ゴリゴリに押し付けてるんだろう。M以外誰も幸せにならない悪魔のシステム、考えたの誰だよ。

 あの頃の私は本当に運が悪かった。こんなクソみたいな会社に売られてボロボロになった。

 さて、どうしてくれよう。

 BBCのドキュメンタリー報道以降、これまで社会から可視化されてこなかった被害者が声をあげ、彼らの勇気ある行動のおかげでようやく日本の人権意識が変わりつつある。

 社会を変えるために大切なのは声をあげること。自ら情報を、ありのままの事実を発信すること。私たちはそれができる時代に生きている。

☆カクヨムもやってます。


この記事が参加している募集

#ライターの仕事

7,342件

#転職体験記

6,528件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

取材費や本を作成する資金として有り難く活用させていただきます。サポートいただけたら、きっとますますの創作の励みになります。どうぞよろしくお願い致します。