マガジンのカバー画像

日常(a)〜(z)

10
超短編小説。みんなの日常を書いています。あなたに似た人がいるかもしれません。
運営しているクリエイター

#小説

日常(j)

日常(j)

まさみは今日のランチについて考えている時
りこは明日のランチ、週末のランチことを考えている
今のことしか考えないまさみ
先のことばかり考えるりこ
先回りして準備することも大切だけれど

りこはいつも目の前のことは見ていない
仕事はまさみも事前に準備万端にしておくがそれ以外は
その日の気分で食べたいものや着たい服を選ぶし
前日の夜と翌朝では気分が変わるし
その日の気分で過ごしたい

今日のランチのほ

もっとみる
日常(i)

日常(i)

東北の田舎町、盆地だから夏はむし暑く真冬はドカ雪。毎日どんよりと曇っている。憂鬱な気分になる。青い空なんて、ほとんど見たことがない。

閉鎖的で噂好きで偉そうで男尊女卑な大人たち。常に視線を感じる。監視されている気がする。
息苦しい。生き苦しい。

卒業式の後この町を去る。
東京の専門学校に進学する。就職も東京で。この町には二度と戻らない。

小さい頃から乱暴な弟にはさんざんいやな思いをさせられて

もっとみる
日常(h)

日常(h)

初めて訪れた街。仕事は済んだ。
昭和の雰囲気のこの見知らぬ街が珍しく、あてもなく歩く。

なんとなく道を曲がった所に、
「居酒屋たかやなぎ」があった。
私が趣味で書いている小説というか、読みもの、に登場させた店名と同じであったから、「えっ」と、声が出た。
不思議な気持ちになった。
古めかしい感じも似ているというか、私のイメージと同じ「居酒屋たかやなぎ」であった。
感動してしばらくぼ〜っと立っていた

もっとみる
日常(g)

日常(g)

今日も僕は家から一歩も外に出ることはなかった。

今日の僕は、
午後、部屋が暑くて目が覚めた。
窓を開けても涼しい風がはいってくることはなかった。風はなく、蒸し暑い。

楽しげに話す小学生、中学生の声が聞こえてきたが、つらい気持ちにはならない。以前は、つらかった。だから、昼間は寝ていて、夜に起きていた。

つらくなくなったのは、自分と同学年の人たちがもう学生ではなくなったのもあるのかもしれない。

もっとみる
日常(f)

日常(f)

僕はカワグチヤマトとして生きている。本物のカワグチヤマトではない。

都内のパン屋さんで働いている。朝早くからパン生地をこねる。朝が早い仕事で時給も高くないので求人広告を出してもなかなか応募がなかったらしく、僕は面接後即採用されたのだった。

僕は朝早く起きることも苦ではなく、パン作りも得意になった。
勤めているパン屋さんは駅から離れていて、大きくはなく、昭和な香りがするレトロなお店だが人気がある

もっとみる