継統の章(34〜47最終回)振り返り【葬舞師と星の声を聴く楽師】
連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』の第4章〈継統〉の振り返り記事です。作品自体は長くてなかなか読めないという方に向けて書いています。サラッと見て頂けるだけでも嬉しいです!
本作には、同性愛の内容、過度ではないにせよ性的表現・暴力表現が含まれております。これらには差別・暴力を肯定し助長する意図は一切ございません。該当話ごとにネット小説レーティング同盟の定義に対照させたR指定をつけております。ご参照の上、苦手な方は鑑賞をお控え頂くようお願いいたします。
(本章では40話が該当します)
【登場人物】
アシュディン
宗教舞踊ダアルを生業とする帝国伝統舞踏団の正統継承者の青年。本来第12代正統を継承する予定だったが、不当に団を追放されて旅をしていた。痩身の美形は「伝説の踊り手の血統を証明するもの」と噂されるほど。名はその第5代正統舞師〈ディ・シュアン〉のアナグラムになっている。心根は真っ直ぐだが、向こう見ずで喧嘩っ早い一面もあり。
ハーヴィド
移動民族出身の流浪の楽師。11本の弦を指で掻き鳴らす木製撥弦楽器ヴィシラの弾き手。168年前に帝国伝統舞楽団を追放された第5代正統楽師エル・ハーヴィドの法統の末裔。師匠の手解きと日記に記された舞楽ダアルの真髄により、古楽器ヴィシラを巧みに操る。アシュディンひとすじ。
(*脅し文句「〜しようものなら、容赦なく〜」が作中に3箇所あるので、暇な人は探してみてください!)
ディ・シュアン
エル・ハーヴィドと同じ時に第5代正統舞占師を継承した天才舞師。アシュディンの直接の祖先にあたる。〈星天陣の舞〉の失敗により発狂・昏睡・寝たきり状態に陥り、舞を出来なくなったが、不屈の闘志で復活を遂げた。後に舞の礎を築いた。
エル・ハーヴィド
173年前に帝国伝統舞楽団第5代正統楽占師を継承した天才楽師。ディ・シュアンとは恋仲だったが、5年後の〈星天陣の舞〉にて彼を発狂させる呪術を用いた冤罪で、団を追放されて流浪の旅に出た。後に移動民族の楽団の長になり、トルシカを育ててヴィシラを教えた。
ラファーニ・ドルベスク
帝国伝統舞踏団第12代正統にして初めての女正統。アシュディンの姉。元々は優しく慎み深い性格だが、ワーグラムの裏切りに気付いたことで、団と弟を守るために鉄の仮面を被る決意をする。舞の場面こそ少ないが、かなりの強者と予想される。衛兵相手に空中回転蹴りも披露した。
ジールカイン
帝国伝統舞踏団の正統に次ぐ第二権力、老師団の長。老獪の雰囲気が漂っているが実は心優しい。「歴史は浪漫」との台詞にある通り、好奇心旺盛でやや夢見がち。代々老師長だけが預かってきたディ・シュアンの遺言の最後の見届け人となった。
ワーグラム
帝国伝統舞踏団正統補佐としてラファーニを支える。元はアシュディンの教育係にして恋人関係にあった。バネと速さを生かした舞を得意としており、アシュディンが去った後は男舞師の一番手だった。帝国を裏切って西の国の侵略に加担し、女舞師たちを献上しようとした。
ナドゥア
帝国伝統舞踏団老師団の一員。人一倍厳しく団員を指導してきた人で、アシュディンの帰還に最後まで反対した。抑留中に心臓病の発作のために死去。
ビャロン(通称)
西の国、東方侵攻部隊司令。名を呼ばれるのを好まないという無茶苦茶な理論で、ファーマール帝国が信奉するスファーディ教の一精霊の名を語った。冷酷な性格で加虐趣味がある。
ムドファーマルⅡ世
ファーマール帝国の第15代皇帝。48歳の粋な男。豪快で気さくな性格で民から慕われている。西の国の侵略にあい、自尊心や威厳よりも民の命を考えて降伏を選ぶ。とはいえ平和ボケをしていた感は否めず、得意としている観相学はまったく当たらない。
ウォールズとレグルス
ファーマール帝国の衛兵隊の一員。アシュディンの幼馴染にして良き親友。ウォールズは火に油を注ぐタイプ、レグルスは意外とへなちょこ。
シャール
アシュディンに憧れて帝国伝統舞踏団に入団した新入り舞師。アシュディンが蔑ろにされていることに憤り、自ら除名される道を選ぶ。
【各話の振り返りとリンク】
第1章 越境 振り返り
第2章 蜜月 振り返り
第3章 帰還 振り返り
第4章 継統
34話「皇帝陛下の観相学」
帝国伝統舞踏団に乗り込んだアシュディンたちはジールカイン老師長の口添えによって一時的に入宮を許可された。老師長は5代目正統ディ・シュアンの遺言に従って受け入れたのだった。玉座の間にて皇帝陛下と謁見することになり、ここで熱烈な歓迎を受ける。宮廷の様々な人々から受け入れられているアシュディンだが、いよいよ彼を追放した張本人と対峙することになる。
35話「難攻不落の鉄仮面」
第12代正統にしてアシュディンの姉ラファーニ・ドルベスクとの再会。ハーヴィドは「楽師は要らない」と跳ね除けられ、アシュディンは「あなたは除名した」と冷たくあしらわれる。怒ったハーヴィドが舞楽対決を持ちかけ、ラファーニが自ら受けて立とうとした。しかしハーヴィドは対戦相手としてワーグラムという男舞師を指名する。元恋人を賭け試合の敵にされ、アシュディンは不機嫌になる。
36話「修練場というか修羅場」
元彼と今彼の対決。ワーグラムはバネを生かした勇猛な舞で、ハーヴィドは民族音楽を取り入れた豪快な曲で勝負した。舞と楽とを交互に披露し、最終的には同時演技を見せ素晴らしい芸術へと昇華させた。結果は引き分け。老師長の嘆願もあってアシュディンの残留が決定したが、ラファーニは彼に国内で舞うことを禁止した。抗議の声を上げた舞師たちが次々と除名されていく。
37話「継がれた魂の邂逅」
ジールカインの手引きで図書館で帝国正史の調査をしたところ、帝国暦98年に隕石襲来の記述を見つけた。さらに3人は帝国伝統舞踏団歴代正統の肖像画が飾られている部屋に足を踏み入れる。ハーヴィドは168年越しにディ・シュアンと再会し、肖像画の壁に隠された彼の日記を発見する。また、アシュディンが追放されたきっかけとなった演舞会は姉ラファーニの提案によるものだった。
38話「変革は未来を担う子のために」
ディ・シュアンの日記より、彼が舞楽の占断を恐れ、快く思っていなかったことを知る。発狂寸前だったことをエル・ハーヴィドに相談できずに〈星天陣の舞〉を迎えてしまった。結果、ふたつの隕石を予知して発狂・昏睡に陥ってしまう。不屈の闘志で肉体と精神を復活させたが、その際に伝統を変革し危険な占断を封印した。そして彼が予見したふたつ目の隕石群襲来は、なんと今年のことだった。
39話「極秘会議の妙な韻律」
今年の隕石群襲来が本当に起こりうるのか、アシュディンは〈星天陣の舞〉の占断を試みようと提案する。そのために舞踏団が勤労感謝祭に出払うタイミングを狙おうとしていた。アシュディンを気遣って反対していたハーヴィドもついには折れることになる。一方ハーヴィドは、ラファーニが団員やアシュディンに冷たく当たっていることには何か理由があると推測していた。
40話「ドゥ・セレナーデ」
アシュディンが自室で舞の練習をしていると、元恋人のワーグラムが夜這いをかけてきた。強引さと懐かしさに押し切られ、つい体を許しそうになる。しかし自身の中でハーヴィドの存在が大きくなっていることに気付いて事なきを得た。その後ハーヴィドの部屋で話すふたりは、互いに助けられていることを知り、信頼関係を確かめ合った。
41話「星天陣に華のコラージュ」
勤労感謝祭、通称、花舞祭の日。帝都各地で様々な舞が披露されていく。アシュディンは衛兵2人を見張りにつけて、神殿でこっそりと〈星天陣の舞〉を始めた。体力、技術、精神、どの面からも最難関と思われる舞楽だったが、ハーヴィドを傍に感じながら憑依に飲み込まれずに舞い切った。そして災禍が〈10日後〉に訪れるという占断が一致する。アシュディンが勝手に舞ったことを咎めるラファーニ。その時、帝都の方で爆音が3発立て続いた。
42話「苦しみは天秤に乗るか」
爆音は西の国による侵略の狼煙だった。ファーマール帝国は100門の大砲に取り囲まれた。敵国の軍人ビャロン(通称)と帝国の皇帝ムドファーマルⅡ世が対峙する。敵国は、国と民を丸ごとよこさなければ〈10日後〉に一斉砲撃を開始するという。その宣言がアシュディンたちの占断した日と一致してしまう。皇帝は絶望し、民たちが次々と蹂躙されていく中、深夜にアシュディンの部屋の扉がノックされた。
43話「めいめいに魂を売れよ」
アシュディンの部屋を訪れたのは皇帝陛下だった。皇帝は彼の葬舞を見て命の重みを再認識し、翌朝に無条件降伏に応じた。次々と西の国に連行されていく帝都民。舞踏団にも魔の手が伸びようとしたその時、ラファーニが侵略者との交渉を始めた。女舞師を敵国の国都で保護しろ、男舞師は離散させろという内容だった。彼女は、間者であったワーグラムを牽制しつつ、舞踏団員を守るためにひとり陰で奮闘していたのだった。
44話「その花道は荊棘の道」
ラファーニは弟のことを思い続けていた。ワーグラムが間者と知ってから、鉄の仮面を被って不幸を未然に防ごうとしていたことを弟に告げた。姉を尊敬するアシュディン。姉は最後に、弟には新しく生まれ変わる舞楽団の初代正統になってほしいという願いを託し、西の国に連行されていった。離散の沙汰が来ず、男舞師たちは抑留と空腹に絶望していた。そんな中、ナドゥア老師が病死してしまう。その直後に離散の沙汰が下った。
45話「未知は山路に吹き荒ぶ」
どうぞ作品本文でお楽しみください!
46話「証明せよ 流れの楽師たち」
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47話「狭間の葬舞 〜 エピローグ」
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【読書ガイド】
前話までの振り返り・あらすじ・登場人物紹介・用語解説など、作品をより楽しむための情報を載せています。物語の進行に伴って加筆する形で記事を更新しており、毎話リンクを貼っています。
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