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檸檬読書日記 武者小路実篤に惚れました。 7月3日-7月9日

7月3日(月)

本を20冊ばかり頂いた。わーい。
ただ、鬼のような天使が相当な量の積読本を指さしながら、凄い目で見てくる。視線がチクチク刺さっている。
早く読まなくてはなあ。でも欲しい本もたくさんある。買いたい。仏のような悪魔が「大丈夫、買っても読めばいいんですから」と後押ししてくる。その後ろから、鬼のような天使の突き刺す視線。板挟みです。
そして自分は、おそらく買ってしまう。(え)



たなかのか『すみっこの空さん』6巻を読む。

「(略)『何もない』から『何か』を再生する(見出す)方法を見つけられれば
『何もない』というあなたから『何か』を見出すことができるんじゃないかしら」



何もないと、嘆くのは簡単だけれど、そう思う前にもう一度振り返って、よくよく目を凝らして探してみるのも大切なのかもしれないなあ。
そうしたら、今までは気づけなかった「何もない」中から「何か」が発見できるかもしれない。なんて、思ったり。




7月4日(火)

世界で、1秒に1本木が伐採されているらしい。なんとも悲しい。
昔、世界では数秒に1人人が亡くなってると聞いたことがあるけれど、世界では木も人も同じくらいで亡くなってしまっているのだなあ。
反対に、生まれる方はどのくらいなのだろうか。同じかそれ以上なら良いのだけれど…。


河野裕『愛されてんだと自覚しな』を読む。

呪いから輪廻転生を繰り返し、千年の記憶をもつ杏は、盗み屋のルームメイト祥子と暮らしていた。
愛する男女は、同じように千年の記憶を持ち、女は男が女を愛した瞬間に記憶を無くし、男は女を愛した瞬間に記憶を取り戻すという、壮絶な運命にあった。
ある日、杏は生まれ変わる度に2人のやりとりを記した本「徒名草文通録」を盗んでほしいと盗み屋の祥子に頼む。
しかしただの2人の記憶を記した本にも拘わらず、狙う者が多く、次第に人も神さえも交えて大事になっていく。
ファンタジーであり、恋愛小説(?)

この本を読んで驚いたのが、あまりにもコミカルでポップなところだった。
河野さんの作品は好きで何作も読んでいるが、こういう作品は初めてだった。どちらかといえばシリアスでミステリーな感じだったから、驚いた。

けれども河野さんらしいあっとさせられる箇所もあり、謎が解けた瞬間納得出来る、いい終わり方だった。そして相変わらずの淡々とした淡白な主人公。やはりこの人の作品は好きだなあと改めて思わされた。

何より、設定上切なくなりそうな雰囲気なのに、いい意味であまり切なくなっていないのが良い。
ポップでファンタジー、少しドタバタな感じが、少し森見登美彦みを感じた。森見作品が好きな人は刺さるかもしれないなと思った。特に『有頂天家族』とか。

こういうコミカルな感じ、個人的に凄く好きだから、また書いてくれないかなあ。


太田大八『かさ』を読む。絵本。

なんとも梅雨にピッタリな本を見つけてしまった。
この絵本、文字がない本なのだが、絵で十分見せてくれる。基本的にモノクロで、女の子がさす傘だけが赤色と、凝った作り。
物語としては、女の子が父親の傘を届けに行く、という単純なものだが、文がないことで自分の想像を掻き立てられ、自分だけの物語りが創れるのも魅力だ。

モノクロの世界に、女の子の赤色の傘が映える、飾っておくにも素敵な作品。




7月5日(水)


最近色々なルイボスティーを試すのにハマっていて、その中で買った「ルイボスバニラモカ」。
パッケージもオシャレで、味もまたオシャレ。ルイボス独特の癖も少なく、コーヒーの香ばしさと無糖だけどバニラの甘みがほんのり感じられて、飲みやすい。
コーヒー感もきちんとあるのに、カフェインレスだから夜でも飲めるのが最高。これなら、牛乳を入れて飲んでみるのもいいかもしれない。
チャイルイボス飲んだ時も、牛乳が結構合ったから。

他にも、ルイボスならレモンルイボスとかも爽やかで夏らしくて良き。アップルやパッションのルイボスも、果物の甘さが感じられて飲みやすい。

ルイボスティー、今でも凄い好きという訳ではないけど、探すと結構種類があるから色々試してしまう。恐ろしい飲み物だ。奥が深い。


西加奈子『窓の魚』を読み始める。

ナツとアキオ、ハルナとトウヤマの2組の恋人たちは、それぞれに秘密の心を抱えていた。そんな4人が温泉宿で一夜を過ごし…。恋愛小説。

バスを降りた途端、細い風が、耳の付け根を怖がるように撫でていった。(略)川は山の緑を映してゆらゆらと細く、若い女の静脈のように見える。紅葉にはまだ早かったが、この褪せた緑の方が、私は絢爛な紅葉よりも、きっと好きだ。目に乱暴に飛び込んでくるのではなく、目をつむった後にじわりと思い出すような、深い緑である。

西加奈子さんの作品を始めて読んだ。
何故か食わず嫌いなるぬ読まず嫌いをしていて、読んでいなかったが、なんの気まぐれか読んでみたら、冒頭から惹き込んできた。
文章、そして表現が凄く好みだ。何故読まなかったのだろう。不思議。

物語は進み、1人の身元不明の死体が発見される。

(略)女の人の死体が浮かんでいたという、あの池の上を、歩いてるいたのだという事実、宿の浴衣が、鯉と一緒に、ゆらゆらと揺れていたのだと思うと、それはひどく、美しい景色のような気がしました。その女の人が、出来るなら、私が露天風呂で会った、あの女の子であればいいと、想いました。
細くて、わずかな陰りがあって、真っ黒い髪が濡れるのもかまわなかった、あの子なら、きっと、橋の下でたゆっているのが似合うわ、と、そんな不謹慎なことを、思ってしまいました。

読み進むにつれて、どんどん不穏になっていく。読めば読むほど謎と不思議が増えていく。



7月6日(木)

最近、小説が増えたなあと思っていたら、note創作大賞がやっていたのかと、今更ながらに気づく。(遅い)
目の問題で多くは見れないけれど、色んな方の作品が見れるのは有難い。どれも魅力的で、本職でないのにこの出来なのかと関心が止まらない。
ぽちっとした人全員に、檸檬賞を贈りたいくらい。(誰もいらない(けれど実は、内心では勝手に押し付けている(え)))

何が凄いって、最後まで書けることだよなあ。自分も何度か挑戦したことはあるけれど、途中で飽きるかよく分からなくなって、やめてしまう。いや、挫折してしまう。だから、本当に凄いと思う。

でも少し、触発されて自分ももう一度挑戦してみようかなと思い始めている。
需要は皆無だろうけど…。まあでもゼロだったら、最初からなかったですよと素知らぬ顔をすればいいのか。
やるだけやってみようかな。(また、自分の首を絞めるようなことをしようとしている)
んー、どんなのがいいかなあ。


西加奈子『窓の魚』を読み終わる。

ナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの視点で物語が進み、だんだんとそれぞれの抱えるものが解き明かされてきて、というものだったのだが…。
んー、これは恋愛小説なのだろうか。恋愛よりももっと複雑で、違う何かが秘められている気がした。
けれど頭の弱い自分にははっきりしたものは分からなく、良い意味で読んだ瞬間に消えてくような物語だった。

少し生々しく、終わりに近付くにつれてえっ…というような衝撃が多く、凄く好みが分かれる本だろうなと思った。
ずっと霧の中にいるような、掴めそうで掴めない、謎に満ちた小説だった。




7月7日(金)

今日は七夕かあ。とはいえ別段に何かするとかはないんだけど。

短冊に書いた願いは、上に届くまで時間がかかり、10年後くらいに叶うと確か聞いたことがあるのだけれど(真実はどうであれ)、書いてから10年以上は経っているが、はてさて叶っているのだろうか。
そもそも何を書いたなんて憶えいないけれど。まあきっと、しょうもないことだろうなあ。


神田桂一・菊池良『めぞん文豪』(全2巻)を読む。漫画。

令和に現れた太宰治が、菊池寛の運営するシェアハウスに、石川啄木、坂口安吾、川端康成、武者小路実篤と共に住む話。
グズグズだけどちょっとドタバタなコメディ。

自分の中で文豪ブームが来ていて、「文豪」に惹かれて読んだ。
想像していた内容とは少し違っていたし、自分の中にある文豪達のイメージとは少し異なってはいたけれど、これはこれで興味深かった。まさに現代風という感じ。

間々にある豆知識は良かった。へー、という感じで面白い。特に武者小路実篤の豆知識。

武者小路実篤が創設した、人類共生の夢を掲げた農村共同体「新しき村」は、実は創立100周年を超えた今でも存在します。

知らなかった。今でも存在しているのも凄いし、夢をかかげて実現してしまっているのも凄い。その夢も、なんと素敵なことか。

「…ぼくはいつか世界中のあらゆる人々が共に暮らしていけるような
幸せや楽しさを感じられるユートピア…村をつくりたいの
名前はね
新しい村」

武者小路さーん。素敵です。
本当に、世界中の人達が共に生きられてらどんなにいいか。別に1つにならなくてもいから、お互いに協調し合って暮らせていけたらいいのになあ。

それにしても、この本で一気に武者小路実篤が好きになってしまった。
元々好きだったけれど、今回で完全に惚れてしまった。とはいえ『友情』と『愛と死』しか読んだことはないんだけど…。
それでも『愛と死』は、自分の中で10位以内には入るほど好きな作品ではある。

課題で武者小路実篤の『友情』を読まなくてはいけず、古本屋でお得感があるという理由から『愛と死』も収録された本を買った。
課題だから始めに『友情』を読んだのだが、正直モヤモヤした。モヤモヤしすぎて、もう読むまいと思った。だけど勿体ない精神が働き、とりあえず読んでみるかと『愛と死』に目を走らせてみた。そしたらそしたら、完全に虜になった。

内容は結構単純なもので、好き同士が結婚の約束をして、男が外へ出て女はその帰りを待つ、だが…。みたいなもので、タイトルから完全に結末は予想できてしまうのだが、知ってるからこその重みが凄かった。
特に間に交わされる二人の手紙が良く、愛に溢れた内容にやられてしまう。胸のときめきが尋常ではない。
甘くて優しくて愛に満ちていて、だけど読み進め愛が深くなるほど、タイトルが重くのしかかってくる。
愛に溢れていて素敵なのに、溢れるほど寧ろ止めてくれと思ったのは初めてだった。
最後はあっさりめではあったけれど、それも含めて感情を揺さぶられる素晴らしい作品だった。

そして武者小路実篤は、文書も素晴らしい。豪華という感じはないが(個人的には)、惹き込まれる文章。だからこそ『友情』も、物語にどっぷりと入り込み、やたらとモヤモヤしてしまった訳だけど。

だからそもそも好きだったのに、もっと好きになってしまった。全集がほしくなるくらいに。
ただ全18巻ある…。多い…。でも10巻超えるもので初めて欲しいと思ったから、是が非でも買いたい。鬼のような天使が「置き場所はどうするんだ」と睨んでくるけど、そっと目を逸らします。(え)

調べたら古書で約3万円だった。お金も貯めなくては…。




7月8日(土)

小学生の作文みたいな小説が出来上がりそうで、躊躇っている。こんなものを読んでくれる人はいるのだろうか…。
ま、まあ、とりあえず最後まで頑張ろう。 

たなかのか『すみっこの空さん』7巻を読む。

コスモスはギリシャ語で「秩序」「調和」を意味します
そこから発展して「美しい」という意味を持つようになった--

そうだったのか。
「調和」から「美しい」に発展した、というのが良いなあ。
花の名前の意味を知るのって楽しいよなあ。昔、花言葉は何かの本で見た気がするが、深くは調べたことがないから、読んでみるのもいいかもしれない。
今度探してみよう。



今日はお昼から豪華。
クスクスにラタトゥイユにラム肉!最高でした。
ラタトゥイユの野菜がほとんど自家製野菜というのも良い良い。
ラム肉も少し良いのを買ったから、ジューシーで柔らかくて臭みがなくて旨味が凄い。幸せでした。



7月9日(日)

嵐山光三郎『追悼の達人』を読む。
「上田敏」編を読み終わる。

詩人、らしいが、おそらく読んだことがないなあ。名前も聞いたような聞いたことがないようなといった具合。

前週の石川啄木と同じように、この人も結構な嫌われ者だったらしい。
ただ上田敏は、石川啄木と違いお金の問題ではなく、性格が原因な模様。
それでも、性格が悪いという訳ではないらしい。

(略)敏がエゴイストで、酒乱で他人に迷惑をかける破滅的性格であったかというとそんなことはない。温厚で、義にあつく、友を大切にし、書物を尊ぶ学者であった。

寧ろ、性格が良さそうだ。
その上座談の名手で、人気教授であったらしい。
ただ他人を踏み入れさせないような壁かあったよう。完璧故に、親しみにくさを感じてしまうらしい。そして嫉妬。

人というのは今も昔も難しいものだなあ。


今回は少し漫画が多かったな。
そして相変わらず文字数も多かったな。小説も過多にならないように気をつけよ。
今週中に小説を投稿する予定なので、気が向きましたらそちらもお立ち寄り頂けると幸いです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
ではでは。

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