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意識の高い女の台頭、反「女性差別カルチャー」


1988年の絵本『ちびくろサンボ』絶版

1899年10月、ランドゥンで、「子供向け小型本(The Dumpy Books for Children)」4、37歳のヘレン・バナーマン(Helen Bannerman, 1862年3月25日~1946年10月13日)著『ちびくろサンボのおはなし』The Story of Little Black Sambo(Grant Richards)が刊行された。
著者による彩色挿絵付きだった。

赤い鳥』(赤い鳥社)1924年8月号に村山吉雄」が掲載された。
これは『赤い鳥』発行者の41歳の鈴木三重吉(1882年9月29日~1936年6月27日)が訳した「ちびくろサンボのおはなし」The Story of Little Black Samboだ。「サンボ(Sambo)」は「ザンボー」と訳された。

1927年8月、ニュー・ヨーク・スィティで、「幸せな時間の本(The Happy Hour Books)」、ヘレン・バナーマン著、フランク・ドビアス(Frank Dobias、1902年~?)絵『ちびくろサンボ』Little Black Sambo (The Macmillan Company)が刊行された。

キンダーブック』(フレーベル館)1937年2月号附録、 日本玩具研究會編『ツバメのオウチ』に「クロンボノ サンタクント トラノ オハナシ」が掲載された。
「サンボ」は「サンタ」と訳された。

1953年12月10日、「岩波のこどもの本 幼・1・2年向」1、ぶん・へれん・ばんなーまん、え・ふらんく・どびあすちびくろ・さんぼ』(岩波書店、150円)が刊行された。

ちびくろ・さんぼ1」The Story of Little Black Sambo、「ちびくろ・さんぼ2」The Story of Sambo and the Twinsの2篇が収められた。

訳者は49歳の光吉夏弥(みつよし・なつや、1904年11月20日~1989年3月7日)、「ちびくろ・さんぼ2」の絵は30歳の岡部冬彦(1922年12月27日~ 2005年5月16日)だった。

1988年11月29日、大阪府堺市で、堺市教育委員会職員および解放会館舳松歴史資料館勤務市職員の有田利二、有田の妻・喜美子、有田の息子の小学校4年生の9歳の(はじめ)の3人が「黒人差別をなくす会」を設立した。

1988年12月12日、岩波書店が、絵本『ちびくろサンボ』を黒人差別につながるという理由で絶版にした。

大阪発行の『部落解放』(解放出版社)1989年4月号に、有田利二黒人差別商品と絵本「ちびくろサンボ」絶版のとりくみ「黒人差別をなくす会」の小さな試み」が掲載された。

1989年8月31日、ヘレン・バナマン著、阪西明子絵、山本まつよ(1923年~2021年11月27日)訳『ブラック・サンボくん』(子ども文庫の会、税込み720円)が刊行された。
造本装幀は38歳の戸田ツトム(1951年3月18日~2020年7月21日)だ。

1990年5月9日、40歳の永山則夫(ながやま・のりお、1949年6月27日~1997年8月1日)の死刑が確定した。

1990年6月1日、朝鮮民主主義人民共和国の独裁者の78歳のキム・イルソン(金日成、1912年4月15日~1994年7月8日)を崇拝する54歳の安江良介(やすえ・りょうすけ、1935年8月26日~ 1998年1月6日)が岩波書店の社長に就任した。

1990年8月10日、径(こみち)書房編『「ちびくろサンボ」絶版を考える』(径書房、本体1,700円)が刊行された。

ちいさな黒いサンボのお話」The Story of Little Black Sambo by Helen Bannerman(深見明子翻訳)
黒人グッズ
編集にあたって
34歳の灘本昌久(なだもと・まさひさ、1956年4月6日~)「日本版 サンボ・ストーリー
村岡和彦アメリカ・イギリス版 サンボ・ストーリー
有田利二「黒人差別をなくす会」の小さな取り組み 差別をなくす鍵は他人の痛みを感じること
54歳の安江良介(インタビュー)「岩波書店に聞く
「サンボ」は子どもたちのヒーローなのです[『ブラック・サンボくん』を刊行した山本まつよさんのご意見]」
在米黒人女性七人の声
41歳のオスマン・サンコン(Ousmane Sankhon、1949年3月11日~)、29歳のジョン・ムルアカ(John Muluaka、1961年6月21日~2023年8月30日)「黒人はとても美しいのです
エリック・ウォルトン(Eric Walton)「日本人は「過剰反応」と言うけれど黒人がどれだけ差別されてきたか考えてほしい
44歳のハイ・タイド・ハリス(Hi Tide Harris、1946年3月26日~)「僕は『ちびくろサンボ』が大好きです
45歳の東郷茂彦(1945年1月10日~)「『ちびくろサンボ』を、なぜ子どもに読ませたくないか
田中裕子絶版をめぐってシンポジューム[報告を小冊子にまとめて]」
拝田真紹(はいだ・しんしょう、1933年~2006年6月16日)「図書館の自由と『ちびくろサンボ』
30歳の山口典子(1959年8月17日~)「『ちびくろサンボ』絶版は当然 それ以外にも問題図書456点
さまざまな意見
43歳の南伸坊(みなみ・しんぼう、1947年6月30日~)「人間はどうして差別が好きなのか
52歳の下村満子(1938年6月17日~)「今ならくい止められる黒人差別
55歳の井上ひさし(1934年11月16日~2010年4月9日)「いわゆる差別用語について
42歳の中山千夏(なかやま・ちなつ、1948年7月13日~)「マスコミの人権感覚は子供のレベル
57歳の小森龍邦(こもり・たつくに、1932年7月30日~2021年2月26日)「抗議するほうも正々堂々と
58歳の谷川俊太郎(1931年12月15日~)「マスメディアは臆病な事なかれ主義
52歳の吉田ルイ子(1938年7月10日~)「古典は保存すべき
67歳の猿谷要(さるや・かなめ、1923年7月19日~2011年1月3日)「グローバルな視野での人権感覚を
62歳の田辺聖子(1928年3月27日~2019年6月6日)「絶版の理由を周知徹底させてほしい
43歳の景山民夫(1947年3月20日~1998年1月27日)「真の価値より目先の安心
58歳の本多勝一(ほんだ・かついち、1932年1月28日~)「本当にへんてこでひどいよね
56歳の田原総一郎(1934年4月15日~)「拮抗の中に自由は存在する
42歳の橋本治(1948年3月25日~2019年1月29日)「非礼の責任を言葉に転化
35歳のジェリー・ヨコタ(1955年2月6日~)「歴史を教えずに子どもに無知の刃
57歳の天野祐吉(1933年4月27日~2013年10月20日)「少しくらい不自由でも
56歳の岸田秀(きしだ・しゅう、1933年12月25日~)、42歳の竹田青嗣(たけだ・せいじ、1947年10月29日~)、灘本昌久、座談会[「現代思想」の視点から差別を語る]「絶版をおかしいと思うのは当然です
編集を終えて

安江「とにかく『ちびくろ・さんぼ』の問題は、この本一点だけのこととして受けとめるのではなくて、もっと広い目で見て考えてほしいんですよ。岩波書店としてはこれは差別だと断定して、出版社として自らの過ちを恥じて、なすべきことをした。後の問題はさきほども言ったように、日本社会全体がそういう問題につてどう思うのか、お互いに議論してもらいたいと思うんです。現に『ちびくろ・さんぼ』を名作だからという理由で復活させようという動きがあるわけでしょう。
――ええ。もう出版されています。
安江「私は、それについては許しがたいと思います。なぜそんなことをして、この本を出すんですか。私にはわかりませんね。日本の社会はこういった差別の問題についてどうなのか、もう少し日本の社会にある現実をちゃんと見てほしい。南アのアパルトヘイト反対といいながら『ちびくろ・さんぼ』を名作だから残せ、という人たちがいたとしたら、その自己矛盾をしっかりみつめてほしい、と思います。」

1990年11月16日、テハン民国の37の女性団体の連合体として、大東亜戦争時における大日本帝国陸軍の慰安婦の一部、その支持者たちが、日本国政府からの公式謝罪および金銭的・法的賠償を要求する韓国挺身隊問題対策協議会が結成された。
初代会長は、ユン・ジュンオク(尹貞玉、1925年~)だった。

1991年8月11日、『朝日新聞』大阪本社版の社会面トップに朝日新聞大阪社会部の33歳の植村隆(1958年4月28日~) がソウル発「思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」の記事を書いたが、この記事は事実無根のプロパガンダだという指摘が相次ぎ、論争を招いた。

1991年9月20日、岩波書店社長の56歳の安江良介朝鮮民主主義人民共和国へ出張した。

1991年12月26日、評議会社会主義共和国同盟が解体した。

1992年1月8日、テハン民国の日本国大使館前で、「韓国挺身隊問題対策協議会」の主催で、大東亜戦争時における日本の慰安婦の一部、その支持者たちが、日本国政府からの公式謝罪および金銭的・法的賠償を要求する「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」と称する水曜日の集会(水曜デモ)が始まった。

1993年7月23日(金曜日)、株式会社金曜日が『月刊金曜日』7月23日号(500円)のパイロット版を発行した。

1995年7月18日、総理府と外務省の管轄下で「財団法人女性のためのアジア平和国民基金」が発足した。

1996年4月26日、25歳の渡邉みのり(北原みのり、1970年11月24日~)が女性のセクシュアルヘルス促進のためのプロダクトの輸入・販売小売り業として有限会社ユミットを設立した。

1996年11月、深夜、恵比寿の「エロとロック」をコンセプトにするライブハウス「恵比寿みるく」で、25歳の北原みのりによる「ラブピースクラブ」によるエロスを追求するアーティストたちの性の祭典「ラブピースナイト」がおこなわれた。

1997年8月1日、東京拘置所で、48歳の永山則夫が死刑を執行された。

1999年5月20日、へれん・ばなーまん(さく・え)、43歳のなだもと・まさひさ(灘本昌久)(やく)『ちびくろさんぼのおはなし』(径書房、本体1,000円)が刊行された。
装幀は山田英春(1962年~)だ。

1999年6月3日、43歳の灘本昌久著『ちびくろサンボよ すこやかによみがえれ』(径書房、本体2,400円)が刊行された。

1999年6月23日、「男女共同参画社会基本法」が公布・施行された。

2000年11月8日、大阪府高槻市で、55歳の重信房子(しげのぶ・ふさこ、1945年9月28日~)が旅券法違反容疑で逮捕された。
弁護人に弁護士の大谷恭子(おおたに・きょうこ、1950年~)がついた。

日本の文化系女子と左派による言論統制

日本の経済中間層の過剰な浪費が大流行した1990年頃から10年を経て、経済中間層の衰退もしくは過剰な浪費の衰退が始まった2000年代のある限られた読書教養消費者向けの日本語出版物で使われた「文化系女子」という言葉がある。
ここでの「文化」とはどういう意味か、「女子」とはどういう意味かよくわからない。

2005年10月28日、『ユリイカ』(青土社)11月号「特集:文化系女子カタログ」(本体1,238円)が発売された。

野中モモ(1973年~)、浜名恵美子平山亜佐子(1970年~)、司会:堀越英美(1973年~)、徹底討論「女の文化ケモノ道

冒頭より引用する。

 女性の大学・短大への進学率が男性を上回ったのは一九八九年(平成元年)、かつてはエリート男性の特権だった「悩める青春」やら「自我の目覚め」やらが女の大衆にも共有されるようになってずいぶん経ちます。
 私たちが子供だった八〇年代は少女文化がにわかに注目され、幾多の少女論が生まれては消えていった時代でもありました。しかしモラトリアムを文化愛好に費やした当時の少女たちもすでにイイ歳。分別もついて歳を取り、夢から夢と覚めぬまま大人になれればよかったのだけど、「女」も「女性」も相変わらず居心地が悪くてなんとなく「女子」などと名乗ってしまう「文化系女子」の行く手はいまだ舗装されていないケモノ道、すっかり市民権を得た「オタク男子」と違い、社会に適応する過程で文化偏愛を捨てる女子も多いのが実情です。

(川上)未映子(1976年8月29日~)「先端で、さすわ さされるわ そらええわ
平田順子バンドギャルという色眼鏡
金巻ともこ(1975年6月16日~)「女子オタ30年戦争
田上夢A-GIRL NEEDS A GADGET!!!アキバで会いたい
橘川友女の子の〝希望〟としてのアニメ、ゲーム
速水筒ひとでなしのゲーム
澁谷知美(しぶや・ともみ、1972年~)「女子とお笑い
松本美香(1970年7月13日~)「ジャニヲタ天国?地獄変?
チョコラキミトメガネニコイシテルメガネ男子萌え現状視認
平山亜佐子女子が世界と遊ぶ方法落とし穴判別テスト付き
男子アンケート僕たちの好きな文化系女子!
堀越英美花咲く乙女たちの文化年表ミーハーと成熟のはざまで

2007年3月3日、神谷巻尾(宮川真紀)(1962年~)企画編集、加藤智子制作『リビドー・ガールズ女子とエロ』(パルコ エンタテインメント事業部 出版担当、本体1,400円)が刊行された。

辛酸なめ子(1974年8月29日~)「禁断のエステサロン

Ⅰ 肉編
座談会「文化系女子のヰタ・セクスアリス
雨宮まみ(1976年9月26日~)「私のようなイタい女たちに贈るAVガイド
真魚八重子(まな・やえこ)「女の子のためのロマンポルノ鑑賞ガイド
堀越英美少女たちは欲情する――エッチ系少女マンガの現在
みくにまことエロ小説 脳で感じるエクスタシー
雨宮まみB系及びレゲエダンスの過剰なセクシーの行く先について
堀越英美おもしろエロサイト巡り

Ⅱ きのこ編
座談会「ガールズ・リビドー道程と行方と
金巻ともここの世に残された最後の楽園はボーイズラブだぜ、ベイベー
スラッシュ君やおいとスラッシュが出会った時代にツカまって
みくにまことバカエロ ヌけない悦び
baddreamfancydresser一度お願いしたいと思う有名人」アンケート 

2008年9月16日、ムンシェン のマテーザ映画殿堂(Mathäser Filmpalast)で、アンドゥレアス・バーダ(Andreas Baader、1943年5月6日~1977年10月18日)、ウルリケ・マインホフ(Ulrike Meinhof、1934年10月7日~1976年5月9日)の反体制活動を描く、57歳のベアントゥ・アイヒンガー(Bernd Eichinger、1949年4月11日~2011年1月24日)制作・脚本、59歳のウリ・イーデル(Uli Edel、 1947年4月11日~)監督、45歳のマルティーナ・ゲーデク(Martina Gedeck、1961年9月14日~)、35歳のモーリッツ・ブライプトゥロイ(Moritz Bleibtreu、 1971年8月13日~)主演の映画劇『バーダ・マインホフ複合体』Der Baader Meinhof Komplexが公開された。
撮影は2007年1月~3月初旬におこなわれた。

2008年11月21日発売の集英社の外国語映画愛好雑誌『ロードショー』2009年1月号「最終号」(特別定価980円)で同誌が休刊した。

2009年7月25日、渋谷のシネマライズで、映画劇『バーダー・マインホフ 理想の果てに』Der Baader Meinhof Komplexの高橋秀寿(たかはし・ひでとし、1957年8月27日~)訳の日本語字幕スーパー版が公開された。

2010年5月26日、ニュー・ヨークで、ラジャ・ハルワニ(Raja Halwani、1967年~)著『愛、性行為、結婚の哲学ある入門』Phylosophy of Love, Sex and Marriage: An Introduction(Routledge)が刊行された。

2010年11月22日、アムステルダム国際記録映画祭で、シェイン・オサリヴァン(Shane O'Sullivan、1969年~)制作・監督のウルリケ・マインホフと「日本赤軍」指導者の重信房子についての記録映画『革命の子供たち』Children of the Revolution(92分)が公開された。

ウルリケ・マインホフの娘ベティーナ・ルル(Bettina Röhl、1962年9月21日~)、重信房子の娘・重信メイ(1973年3月1日~)のほか、足立正生(あだち・まさお、1939年5月13日~)、塩見孝也(1941年5月22日~2017年11月14日)、大谷恭子が出演した。

2012年8月、宮川真紀が出版社タバブックスを設立した。

2014年7月5日、テアトル新宿、テアトル蒲田で、記録映画『革命の子どもたち』Children of the Revolutionの日本語字幕スーパー版が公開された。

2014年9月30日、「幻冬舎新書」、鈴木大介(1973年~)著『最貧困女子』(幻冬舎、本体780円)が刊行された。

2014年12月3日、42歳の漫画家「ろくでなし子」(1972年3月14日~)容疑者が2013年10月以降、自分の女性器をスキャンし、3Dプリンターで出力するためのデータを9人に配布したとして警視庁保安課に「わいせつ電磁的記録頒布」と、2013年10月~2014年7月、北原みのりが経営する「ラブピースクラブ」で、アルバイトをしながら、女性器をかたどった立体アート作品「デコまん」3点を展示した「わいせつ物陳列」の容疑で7月に続き再逮捕された。
44歳の北原みのりも「わいせつ物陳列」の容疑で逮捕された。

2014年12月24日、東京区検は42歳の「ろくでなし子」を「わいせつ物陳列」「わいせつ電磁的記録等送信頒布」「わいせつ電磁的記録記録媒体頒布」で、44歳の北原みのりを「わいせつ物陳列」の容疑で略式起訴した。
東京簡裁は罰金30万円の略式命令を出し、北原みのりは即日納付した。

2014年12月26日、42歳の「ろくでなし子」の保釈申請が認められ、保釈金150万円で保釈された。

2015年12月28日、日本国テハン民国の間に慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した合意が確認された。

社会の不平等を嫌う高学歴者は多い。だから不平等社会の実現を理想とする普遍思想が権威をもつ。権威主義は現実認知を歪める理念大系を広める。

しかし、2010年代後半以後、ヒト遺伝学(human genetics)、行動遺伝学(behavioural genetics)、進化心理学(evolutionary psychology)などの一般解説書の読者が増えた。

そのひとつの学説によると、人間の遺伝的要因による脳の傾向性、性格の多様性、能力の不平等は、各人の成長後の教育や社会制度で短期間で解消できない。

したがって、急速な平等化を前提とする極端な「政治的に正しい」平等教育や平等政策は、かえってその利権による不平等と社会分断を極端に広げる。

2016年1月22日、多文化公共体を標榜するアメリカ連合国の1927年5月11日に設立され、長らく裕福で高学歴の白人男性の救世主教徒の異性愛者の健常者が運営してきた映画芸術科学学芸院(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が、その価値規範が特定の属性集団文化を優遇してきたことへの批判を受け、会員の多様化を推進し、非白人や女性の会員を倍増させる方針を発表した。

2016年4月20日、「新潮新書」、橘玲(たちばな・あきら、1959年~)著『言ってはいけない残酷な真実』(新潮社、本体780円)が刊行された。

同書のⅠ、3「知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人」より引用する。

 ルポライターの鈴木大介は、東京などの都市部に暮らす20代の女性のなかに極度の貧困が拡がっていると警鐘を鳴らし、彼女たちを「最貧困女子」と名づけた。最貧困女子の多くは地方出身で、さまざまな事情で家族や友人と切り離され、都会で孤独に暮らしている。
 多くの最貧困女子を取材した鈴木は、そこには「3つの障害」がるという。それは精神障害、発達障害、知的障害だ。これは現代社会の最大のタブーのひとつで、それを真正面から指摘したことは高く評価されるべきだろう。
 最貧困女子はなぜ、地元を捨てて都会に出てくるのか。その理由は、(不幸な生い立ちなどがあるとしても)「3つの障害」によってつき合うのが面倒くさく、「仲間」から排除されるからだ。(69頁)

 ところが現在、日本社会の最貧困層の生態系に大きな変化が起きている。少子高齢化と価値観の多様化(若い男性の草食化)によって、風俗の市場が大きく縮小してしまったのだ。同時に、女性の側に「身体を売る」ことへの抵抗がなくなって風俗嬢志望者が激増した。需要が減って供給が増えたのだから、当然、価格は下落する。
 これが「セックスのデフレ化」で、かつては月100万円稼ぐ風俗嬢は珍しくなかったが、いまでは指名が殺到する一部の風俗嬢の話でしかなく、地方の風俗店では週4日出勤しても月額25万円程度と、コンビニや居酒屋の店員、介護職員などとほとんど変わらないという。
 貧困線上にある若い女性にとってさらに深刻なのは、景気の悪化によって風俗業界が新規採用を抑制するようになったことだ。そのため現在では、10人の求人のうち採用されるのはせいぜい3~4人という状況になっている。日本社会は(おそらく)人類史上はじめて、若い女性が身体を売りたくても売れない時代を迎えたのだ。(70~71頁)

 最貧困女子は「3つの障害」によて、社会資本(家族や友人)も金融資本(貯金)もほとんど持っていないため、人的資本(仕事)を失うとあっというまに社会の最底辺に堕ちてしまう。日本においても、知能の格差が経済格差として現われているのだ。
 私たちはこの「残酷すぎる現実」を直視するのを恐れ、知能と貧困との明白な関係にずっと気づかないふりをしてきた。税金を投入して高等教育を無償化したところで、教育に適性のない最貧困層の困窮はなにひとつ改善しないだろう。その代わり、知識社会に適応した高学歴層(教育関係者)の既得権がまたひとつ増えるだけだ。(71~72頁)

2016年5月9日、東京地検で44歳の「ろくでなし子」に判決が下された。立体作品の陳列は無罪、3Dデータの配布は「わいせつ物頒布」等の罪で有罪となり、罰金40万円が課せられた。ろくでなし子は即日控訴した。

2016年6月9日、テハン民国で68歳のチ・ウンヒ(池銀姫、1947年6月26日~)、51歳のユン・ミヒャン (尹美香、1964年10月23日~)らにより、 「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」が設立された。

2016年8月14日、地域密着型で小額の助成を行う「赤い羽根共同募金」70周年を迎えた「社会福祉法人中央共同募金会」が全国的な視野に立った活動を対象に、財源を共同募金とは独立した寄付によって確保する、年間最大1000万円の助成(最大3年間継続可)をおこなう「赤い羽根福祉基金」を設立した。

2017年4月13日、東京高裁が、45歳の「ろくでなし子」への一審の判決を支持し、検察側、弁護側双方の控訴を棄却した。ろくでなし子は即日上告した。

2017年6月9日、日本軍性奴隷制問題の解決を目指し、テハン民国の正義記憶財団の募金キャンペーン事業に協力するため、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動代表の梁澄子(ヤン・チンジャ、1957年~)が46歳の北原みのり(、山口智美(1967年~)らと一般社団法人希望のたね基金(通称キボタネ)を設立した。

2017年7月13日、性犯罪を厳罰化する改正刑法が施行された。
強姦(ごうかん)罪」の名称を「強制性交等罪」と変更して法定刑を引き上げたほか、起訴に被害者の告訴を必要とする「親告罪」規定が削除された。
性犯罪に関する刑法の大幅改正は約110年ぶりだった。

2017年10月5日、日刊紙『ニュー・ヨーク時事(New York Times)』が、42歳のジョディ・キャンター(Jodi Kantor、1975年4月21日~)、メイガン・トゥーイ(Megan Twohey)の記事「ハーヴィ・ワインスティンは数十年にわたり性的いやがらせの告発者に報復した」Harvey Weinstein Paid Off Sexual Harassment Accusers for Decadesを掲載した。
2015年(平成27年)3月から性的虐待疑惑のあった映画プロデューサー、65歳のハーヴィ・ワインスティン(Harvey Weinstein、1952年3月19日~)による数十年に及ぶ性的いやがらせを告発した。

2017年10月14日、アメリカ連合国の映画芸術科学高等学芸院(Academy of Motion Picture Arts and Sciences,AMPAS)が理事会を開催し、65歳のハーヴィ・ワインスティンを学芸院より追放した。

2017年12月25日、47歳の北原みのり責任編集『日本のフェミニズムsince 1886性の戦い編』(河出書房新社、本体1,200円)が刊行された。
編集担当は松尾亜紀子(1977年~)だ。
「1886」は、禁欲と純潔を通じてキリスト教福音主義に基づいた社会を築き上げることを目的に、東京日本橋教会において「東京婦人矯風会」が設立された1886年(明治19年)12月のことだ。

北原みのりはじめに

1.三浦まり(1967年12月21日~)「日本のフェミニズム――女性たちの運動を振り返る
2.小野沢あかね(1963年~)「廃娼運動――はじめての「性の戦い」
3.細金和子売春防止法――性の搾取から女性を守りたい
4.谷口真由美(1975年3月~)「リプロ運動――女性の身体にまつわる権利を考える
5.沢部ひとみ(1952年~)「レズビアン運動史――女と生きる女
6.   北原みのり性の自己決定をめぐる80年代の戦い
7.宮本節子(1943年~)「AVの中の性暴力を告発する

フェミニスト図鑑

大橋由香子(1959年~)「避妊や中絶をめぐるタイムトンネル」 
古橋綾(1984年~)「「慰安婦」問題と韓国のフェミニズム」 
仁藤夢乃(にとう・ゆめの、1989年12月19日~)「「買われた」少女たちを支援する」 
太田啓子(1976年~)「刑法性犯罪規定問題点と今後の改正について

【インタビュー】笙野頼子(しょうの・よりこ、1956年3月16日~)「「フェミニズム」から遠く離れて

柚木麻子(1981年8月2日~)「シスターフッドが信じられない人へ」 
松田青子(まつだ・あおこ、1979年10月11日~)「彼女たちに守られてきた
 
女性運動・フェミニズムをより知るためのブックガイド
略年譜

2018年1月29日、ニュー・ヨークで、ラジャ・ハルワニ著『愛、性行為、結婚の哲学ある入門』Phylosophy of Love, Sex and Marriage: An Introduction第二版(Routledge)が刊行された。

2018年5月25日、66歳のハーヴィ・ワインスティンが、2人の別々の女性が関与した事件に対する強姦、犯罪的性行為、性的虐待、性的違法行為の容疑でニュー・ヨーク郡地方検事局 (New York County District Attorney's Office)から起訴され、ニュー・ヨーク市警察(New York City Police Department)に逮捕された。

2018年7月、岩波書店の41歳の熊谷伸一郎(1976年8月~)が8月8日発売の『世界』9月号「特集1:人びとの沖縄」「特集2:非核アジアへの構想」(935円)で、同誌の編集長に就任した。

2018年10月13日、テアトル新宿で、1969年(昭和44年)3月に若松プロダクションに21歳で入社して助監督となった吉積めぐみ(1948年~1971年9月)を主人公とし、1969年~1971年の若松プロダクションを描く、43歳の白石和彌(1974年12月17日~)監督の若松プロダクション、スコーレ制作・配給の映画劇『止められるか、俺たちを』(119分)が公開された。

21歳~23歳の吉積めぐみを26歳の門脇麦(1992年8月10日~ )、33歳~35歳の若松孝二(1936年4月1日~2012年10月17日)を43歳の井浦新(1974年9月15日~)、29歳~32歳の足立正生を44歳の山本浩司(1974年8月11日~)、24歳の荒井晴彦(1947年1月26日~)を25歳の藤原季節(1993年1月18日~)が演じた。

2018年12月、河出書房新社を退社した松尾亜紀子がフェミニズム専門の出版社エトセトラブックスを設立した。

2019年1月、河出書房新社坂上陽子(さかのうえ・ようこ、1978年~)が季刊文芸誌『文藝』編集長に就任した。

2019年5月21日、キャンヌ多民界映画祭で、朝鮮語の映画劇『寄生虫』기생충(132分)が公開された。
撮影は2018年5月18日~9月19日におこなわれた。

2019年6月、講談社戸井武史(1980年~)が7月5日発売の月刊文芸誌『群像』8月号(1,000円)から、同誌の編集長に就任した。

2019年7月5日に発売された『文藝』秋号「特集:韓国・フェミニズム・日本」(1,518円)で、同誌が大幅にリニューアルした。

2019年12月7日発売の『群像』2020年1月号(1,300円)で同誌がリニューアルした。

2019年12月27日、TOHOシネマズ 日比谷と大阪・TOHOシネマズ 梅田で、映画劇『パラサイト 半地下の家族』기생충の根本理恵(1964年~)訳の日本語字幕スーパー版が先行公開された。

チーナの麺料理「ジャージャンミェン(炸醤麺)」から派生したテハン民国の麺料理「チャジャンミョン(짜장면)」をインスタント化した、ソウルの企業「ノンシン(農心)」の「チャパゲティ(짜파게티)」、日本のインスタント麺から派生した「ノンシン」のインスタント・ラーメン「ノグリ(너구리)」を合わせた料理「チャパクリ(짜파구리)」はイングリッシュ語字幕では「ラーメンうどん」を短縮した造語の「ラムドン(ram-don)」、日本語字幕では「ジャージャー麺」と訳された。

2020年2月9日、アメリカ連合国映画芸術科学学芸院が、初めて非イングリッシュ語の朝鮮語の映画劇『寄生虫』Parasiteにオスカー賞(Oscars)の「最優秀映画(Best Picture)」賞を与えた。

2020年2月10日、日本共産党が、党本部で、新設されたジェンダー平等委員会の初会合を開いた。
59歳の倉林明子(1960年12月3日~)責任者、65歳の志位和夫(しい・かずお、1954年7月29日~)委員長、35歳の山添拓(やまぞえ・たく、1984年11月20日~)副責任者があいさつした。

2020年3月11日、ニュー・ヨーク国上級審議裁判所(Supreme Court of the State of New York)が67歳のハーヴィ・ワインスティン被告に、禁錮23年の実刑判決を言い渡した。

2020年7月、堀之内出版の編集者だった小林えみ(1978年~)が独立し、出版社「よはく舎」を設立した。

2020年7月16日、48歳の「ろくでなし子」への上告審判決で、最高裁は被告側の上告を棄却し、罰金40万円とした一、二審判決が確定した。

2020年6月30日、アメリカ連合国映画芸術科学学芸院が、819人に入会の招待状を送付したと発表した。
819人の45%が女性、36%が非白人だった。
これにより、映画芸術科学学芸院会員に占める女性の数はかつての2倍、非白人は3倍になるとみなされた。

2020年9月8日、アメリカ連合国映画芸術科学学芸院が、2024年の第96回オスカー賞最優秀映画候補に選出されるための条件を定めた。

基準A画面上の表現、主題、叙述内容(On-screen representation、Themes and Narratives)」

以下のどれかひとつを満たすこと。

①主演俳優または重要な助演俳優の少なくとも1人は、過小評価されている「非白人の人種集団、少数派民族集団」の出身であること。
②副次的な役を演じる全俳優の少なくとも30%が、「女性」「非白人の人種集団、少数派民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発語障害者、聴覚障害者」であること。
③映画作品の主な物語の筋立て、主題、叙述内容が、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、少数派民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発語障害者、聴覚障害者」を中心にしていること。

基準B創作主導と事業協働隊(Creative leadership and project team)」

①配役監督、撮影監督、作曲家、衣装デザイナー、監督、編集主任、ヘアスタイリスト、メイクアップ・アーティスト、制作者、装置デザイナー、舞台装飾主任、音響主任、VFX 監修者、脚本家ーなど、創作主導責任者および部門責任者のうち少なくとも2人は、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、少数派民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発語障害者、聴覚障害者」のどれかであること。

②少なくともその他の6人の制作人員および技術職(製作助手を除く)は、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、少数派民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発語障害者、聴覚障害者」のどれかであること。

基準C業界の参入権と利用機会(Industry access and oppotunities)」

①映画作品の配給業者、出資会社は、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、少数派民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発語障害者、聴覚障害者」の見習い社員、研修社員に給与を支払っていること。

②映画作品の制作会社、配給業者、出資会社は、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、少数民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発話障害者、聴覚障害者」の人びとに技術を磨く研修または就労の機会を提供していること。

基準D観客の育成(Audience development)」

映画制作会社は、市場開発、宣伝、配給の協働隊において、過小評価されている「女性」「非白人の人種集団、民族集団」「LGBTQ+」「認知障害者、身体障害者、または発話障害者、聴覚障害者」の人びとを複数の社内上級職に就かせること。

オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」

1950年代後半~1970年代後半の日本語公共界での表現の自由の解放は、公共悪の表現の容認限界まで自由容認を拡大しようとするものだったが、2020年代以後の日本語公共界では、抑圧者の自由を解放するという大義を主張する純潔主義的な党派的言論人が、純潔な自分たちが悪とみなす表現の自由を縮小しようとする動きが目立つようになった。

また人文系の大学教師や研究者や教育・報道媒体関係者の間で、自分の確信する正義の言動に反すると自分がみなす者に対する攻撃は、公共道徳や公共法に反してよいとする思想や、自分の理論に反対する者との論争には応じなくてもよいとする極端な理論の影響力が増した。

2021年3月16日、40歳の呉座勇一(ござ・ゆういち、1980年8月26日~)がツイッターの鍵アカウント(そのアカウントの承認を受けたフォロワー以外読めない) で、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授の37歳の北村紗衣(きたむら・さえ、1983年4月12日~)のツイッターアカウントの投稿を引用し、揶揄した。

2021年3月26日、LOVE PIECE CLUB (ラブピースクラブ)が、25周年記念として、ラフォーレ原宿店に、初の常設店、木村果鈴(きむら・かりん、1998年~)店長の「LOVE PIECE CLUB (ラブピースクラブ)ラフォーレ原宿店」を開店した。
書籍コーナーには、フェミニズム専門出版社のエトセトラブックスとラブピースクラブが選書した、フェミニズムとジェンダーにまつわるさまざまな本を揃えた。

2021年4月4日、事実上、呉座勇一を名指ししたオープンレター女性差別的な文化を脱するために 研究・教育・言論・メディアにかかわるすべての人へ」がオンライン上で公開された。

2021年6月1日、56歳の坂本政謙(さかもと・まさのり、1964年11月14日~)が岩波書店代表取締役社長に就任した。

2021年8月6日、国際日本文化研究センターを運営する人間文化研究機構から同年1月12日付で、10月から任期のない定年制の資格を与え、准教授とする決定を受けていた40歳の呉座勇一が、ツイッターアカウントでのの不適切発言を理由に再審査の結果として資格の付与を取り消す通知を受けた。

2021年9月29日、41歳の呉座勇一人間文化研究機構を相手方としてテニュア准教授の地位確認訴訟京都地裁に提起した。

2022年2月17日、41歳の呉座勇一が名誉毀損されたとして、「オープンレター〜女性差別的な文化を脱するために」差出人ら17人に対して、オープンレターの削除と損害賠償計100万円の支払いを求める文書を通知した。

2022年2月25日、呉座勇一から求められている損害賠償100万円を支払う義務はないとして、名古屋大学大学院経済学研究科教授の46歳の隠岐さや香(1975年6月6日~)、「よはく舎」代表・小林えみ、「エトセトラブックス」代表・松尾亜紀子ら12人が債務不存在の確認を求める訴訟東京地裁に起こした。

2022年3月31日、集英社が『集英社オンライン』を創刊した。
同サイト内で、映画雑誌『ロードショー』が、映画に関する情報を発信するレーベルとして14年ぶりに復活した。

2022年4月、岩波書店の57歳の坂本政謙社長が『世界』の編集長堀由貴子(1985年~)に交代する人事を発表したが、45歳の熊谷伸一郎が反発し、編集長を続けた。


2022年5月、タバブックスのZINEレーベル「gasi editorial」から政治宣伝冊子『反「女性差別カルチャー」読本』(本体1,000円)が刊行された。

69頁に「本冊子の経費を除く売上金は、オープンレター差出人有志の訴訟費用に充当させていただきます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします」と記載されている。

小林えみハトシェプスト
小山内園子(おさない・そのこ、1969年~)「お仕置き名刺
関口竜平(1993年~)「文化=刷り込まれた価値観を認識するために
北村紗衣うぬぼれ屋さん、この文章もたぶん自分のことだと思ってるんでしょ?
濵田真里(1987年~)「「女性差別カルチャー」の背景にある、男同士の絆
能川元一(のがわ・もとかず、1965年~ )「「表自戦士」のフェミニズム・バッシング
河野真太郎(1974年~)「岐路に立つこと
小川たまか(1980年~)「ミサンドリスト裁判
隠岐さや香終わらない革命
山田亜紀子(1973年~)「私たちは屈しない――女性運動に対するSNS上の誹謗中傷
松尾亜紀子「女性差別カルチャー」を知り、脱するために読みたい5冊
宮川真紀どこから、どうやって人は変わるのか
山口智美メディア抗議と「フェミだんまり」批判
越智博美(1962年~) 「「不愉快な思いをされた方がいたら申し訳ないんですが」——ホモソーシャル共同体入会への符牒
松永典子性差別のない文化の夢を見る
一介の映画好きにできる二、三の事柄(あるいはもっと?)。」 
清水晶子(1970年~)「無題

2022年5月28日、76歳の重信房子が刑期を終え、東京都昭島市の東日本成人矯正医療センターから出所した。

2022年7月8日、奈良市の近畿日本鉄道大和西大寺駅北口付近で、元内閣総理大臣の67歳の安倍晋三(1954年9月21日~2022年7月8日)が選挙演説中に無職の41歳の山上徹也(1980年9月10日~)に銃撃され死亡した。

2022年7月15日、「呉座勇一先生の裁判を支える会」が発足した。

2022年7月24日、同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センターが、同志社大学良心館で、一般公開シンポジウム 「フェミ科研と学問の自由」を催し、清水晶子が講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」をおこなった。

2022年9月、46歳の熊谷伸一郎が10月7日発売の『世界』11月号「特集:戦後民主主義に賭ける」(935円)を最後に編集長を退任した。

2022年9月26日、安倍元首相の国葬前日、東京・新宿の収容人数約150人のトークライブハウス「ロフトプラスワン」で、山上徹也をモデルにした、57歳の井上淳一(1965年7月12日 ~)、元日本赤軍の83歳の足立正生脚本、足立監督の映画劇『REVOLUTION+1』(約50分)の緊急特別版が1日限定で緊急公開された。
撮影は2022年8月末から8日間でおこなわれた。

上映後に、57歳の井上淳一、45歳のダースレイダー(1977年4月11日~)、83歳の足立正生、63歳の東京都立大学教授・宮台真司(1959年3月3日~)がトークをおこなった。

2022年9月27日、日本武道館で安倍晋三元首相の国葬がおこなわれた。

2022年9月27日、ロフトナイン渋谷での映画劇『REVOLUTION+1』(約50分)の緊急特別版上映後のトークイベントに、鵜飼哲(うかい・さとし、1955年~)、70歳の平井玄(ひらい・げん、1952年5月5日~)、望月衣塑子(1975年~)、足立正生が参加した。

2022年10月、堀由貴子が11月8日発売の『世界』12月号「特集1:カルト・宗教・政治」「特集2:分断された国際秩序」(935円)で同誌の編集長に就任した。

2022年12月24日、横浜のシネマ・ジャック&ベティ、大阪の第七藝術劇場、名古屋のシネマスコーレで、映画劇『REVOLUTION+1』完成版(75分)が先行公開された。

2023年4月、39歳の北村紗衣武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授に就任した。

2023年7月2日、46歳の熊谷伸一郎岩波書店を退社した。

2023年7月、文藝春秋浅井茉莉子(1984年~)が8月7日発売の月刊文芸誌『文學界』9月号「特集:エッセイが読みたい」(1,100円)から、同誌の編集長に就任した。

2023年7月5日、岩波書店が、120頁の「岩波ブックレット」No.1080、東京外国語大学世界言語社会教育センター講師・小野寺拓也(1975年~)、田野大輔著『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(本体820円)を刊行した。

2023年9月27日、神原元(かんばら・はじめ、1967年~)弁護士が、43歳の呉座勇一が「女性差別的文化を脱するためにオープンレターが名誉毀損で違法であるとの主張を撤回し和解を申し出たので、オープンレター側は和解に応じることとしたと報告した。

2023年11月1日、43歳の呉座勇一国際日本文化研究センターに助教として復職した。

2023年12月7日発売の『文學界』2024年1月号(1,200円)から、同誌がリニューアルした。

『世界(SEKAI)』のリニューアル

2023年12月8日発売の38歳の堀由貴子編集長の『世界』2024年1月号「特集1:ふたつの戦争、ひとつの世界」「特集2:ディストピア・ジャパン」(1,045円)で、同誌が大幅にリニューアルした。

2024年1月16日、47歳の熊谷伸一郎が出版社「株式会社 地平社」を設立した。

2024年1月18日、58歳の田村智子(1965年7月4日~)が日本共産党中央委員会幹部会委員長に就任した。

2024年5月1日、R・ハルワニ著、58歳の江口聡(1965年10月27日~)、岡本慎平(1986年~)訳『愛・セックス・結婚の哲学』(名古屋大学出版会、本体6,300円)が刊行された。

2024年5月24日、公益財団法人サントリー文化財団アステイオン編集委員会編『アステイオン』(CCCメディアハウス)第100号「特集:創刊100号を迎えて言論のアリーナとしての試み」(本体1,200円)が刊行された。

Ⅲ「我々の論じてきたこと」に、高千穂大学経済学部教授・五野井郁夫(ごのい・いくお、1979年~)「国家と文明を語ること」が掲載された。

 論壇については明るい話題もある。近年、文学フリマやZINE等の流行から盛り返しつつある文芸誌の側でも社会的なイシューに取り組む媒体が増えている。社会問題にコミットしてきた編集長の坂上陽子とアートオディレクターの佐藤亜沙美のタッグで快進撃を重ねる『文藝』や、装幀家の川名潤がカヴァーを手がける『群像』は、文化に関心のある若者の間で眼を通すべき雑誌だ。その一因は文化芸術から第四派以降のフェミニズムまで、現代の必要なテーマに正面から取り組む総合誌的になってきているためである。

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