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桐野夏生『日没』と2020年代の「大衆的検閲」


1933年の焚書

1933年(昭和8年)5月10日、ベアリーンの歌劇場広場(Platz am Opernhaus)で、民界社会主義ドイチュン学生協会(Nationalsozialistischen Deutschen Studentenbunds)の成績優秀な大学生たちがエーリヒ・ケストゥナー(Erich Kästner、1899年2月23日~1974年7月29日)の著書を含む有害書の焚書をおこなった。

2023年(令和5年)8月10日、京都で、松井健人(1992年~)著『教養・読書・図書館ヴァイマル・ナチス期ドイツの教養理念と民衆図書館』(晃洋書房、本体3,500円)が刊行された。
カバー表紙に、1933年(昭和8年)5月10日、ベアリーンでの焚書の写真が使われた。

2000年の『人間の汚点』

1998年(平成10年)9月27日、ウェブ検索エンジンのGoogle Serchウェブ検索サービスを開始した。

2000年(平成12年)5月5日、ボストゥンで、67歳のイェフディ人のフィリップ・ロス(Philip Roth、1933年3月19日~2018年5月22日)の長篇小説『人間の汚点』The Human Stain(Houghton Mifflin)が刊行された。

71歳のイェフディ人の古典学教授コウルマン・スィルク(Coleman Silk)がアフリカ系アメリカン人の学生に対して人種差別発言を行ったと非難され、大学を追われる。語り手は、65歳のイェフディ人のネイサン・ザッカマン(Nathan Zuckerman)だ。 

2000年(平成12年)8月3日、ウェブ検索エンジンのGoogle Serch日本語によるウェブ検索サービスを開始した。

2003年(平成15年)4月、ミネソタで、28歳のケリー・ヒューゲル(Kelly Huegel、1974年7月30日~)著『LGBTQレズビアン、ゲイ、両性愛者、性自認超越者、性自認不定者の十代向けの困難克服の手引き』LGBTQ: The Survival Guide for Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and Questioning Teens(‎Free Spirit Publishing)が刊行された。

2003年(平成15年)8月29日、ヴェネーツィア国際映画芸術祭で、ロス原作、56歳のイェフディ人のニコラス・マイヤー(Nicholas Meyer、1945年12月24日~)脚色、69歳のロバートゥ・ベントゥン(Robert Benton、1932年9月29日~)監督の1998年(平成10年)の出来事を描く映画劇『人間の汚点』The Human Stain(106分)が先行公開された。

撮影は2002年(平成14年)3月5日から5月30日までおこなわれた。

2004年(平成16年)4月26日、フィリップ・ロス著、45歳の上岡伸雄(1958年6月28日~)訳『ヒューマン・ステイン』(集英社 、本体2,200円)が刊行された。

2004年(平成16年)6月19日、日比谷みゆき座、新宿武蔵野館ほか東宝系列で、映画劇『白いカラス』The Human Stainの監督の意向に添った108分版の太田直子(1959年~2016年1月10日)訳の日本語字幕スーパー版が公開された。 

2004年(平成16年)7月16日、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行された。

2005年(平成17年)4月23日、ウェブ無料動画配信サービスのYouTubeで、初の動画、25歳のジョードゥ・カリムJawed Karim、1979年10月28日~)を撮影した「動物園の私(Me at the Zoo)」(19秒)が公開された。

2006年(平成18年)7月15日、無料ウェブ社交媒体のTwttrがサービスを公開した。

2006年(平成18年)8月、TwttrTwitterに改称した。

2006年(平成18年)10月10日、GoogleYouTubeを買収した。

2007年(平成19年)6月19日、YouTubeのインターフェース等が日本語を含む10か国語に対応した。

2008年(平成20年)4月23日、日本語版Twitter(ツイッター)が公開された。

ヴィーヴ・スミス

2008年(平成20年)8月19日、ヴィーヴ・スミス(Viv Smythe)がブログ「女性解放論101(feminism101)」の投稿「お詫びとお約束(An Apology And A Promise)」で「性自認超越者排除的急進的女性解放論者(Trans Exclusionary Radical Feminist)」の略称「ターフ(TERF)」の語を用いた。

2008年(平成20年)12月1日、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された。

2009年(平成21年)5月19日、60歳の上野千鶴子(1948年7月12日~)代表の認定特定非営利活動法人ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)が設立された。

2010年(平成22年)5月、約2,100人が所属する「自由法曹団」の弁護士・神原元(かんばら・はじめ、1967年~)が武蔵小杉合同法律事務所を開設した。
所員弁護士は全員「自由法曹団」に加入していた。

サラ・アーメッドゥ

学者・女性解放運動家オンライン(The Scholar and Feminist Online)』8.3号(2010年夏)「多声的な女性解放運動協調して活動すること(Polyphonic Feminisms: Acting in Concert)」に、40歳のサラ・アーメッドゥ(Sara Ahmed、1969年8月30日~)著「女性解放論運動家の横槍(そして、それ以外の譲れない議題)」Feminist Killjoys (And Other Willful Subjects)が掲載された。

2012年(平成24年)4月1日、「公益財団法人 日本キリスト教婦人矯風会」が発足した。

2012年(平成24年)4月1日、カルチュラル・スタディーズ学会が設立された。

2012年(平成24年)7月9日、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)7月14日号「特集:今こそ買いたい! マンション 戸建て」「第2特集:知られざる巨大市場 日本のLGBT(性的マイノリティ)」(税込み690円)が発売された。
39歳のマツコ・デラックス(1972年10月26日~)のインタヴューが掲載された。

2012年(平成24年)11月10日、50歳の水道橋博士(すいどうばし・はかせ、1962年8月18日~)が編集長をつとめる月2回発行のメールマガジン「水道橋博士のメルマ旬報」が創刊された。

2013年(平成25年)1月12日、46歳の野間易通(のま・やすみち、1966年7月26日~)によりレイシストをしばき隊が結成された。
神原元もメンバーだった。

この頃から日本語の出版産業の自由市場が衰退し、日本の法人、学者、活動家による言論操作、言論弾圧運動が成果を上げ始めた。

2013年(平成25年)2月13日、ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)認定NPO法人となった。

2013年(平成25年)3月1日、明治学院大学社会学部4年の23歳の仁藤夢乃(にとう・ゆめの、1989年12月19日~)代表の女子高生サポートセンター「Colabo(コラボ)」が一般社団法人になった。

2013年(平成25年)3月25日、23歳の仁藤夢乃著『難民高校生絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル』(英治出版、本体1,500円)が刊行された。
カバー写真は2012年(平成24年)、明治学院大学社会学部社会学科卒の森田友希(1989年~)だ。

2013年の「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」

2013年(平成25年)9月1日、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」が設立された。
共同代表には、在日コリアン三世の54歳の辛淑玉(シン・スゴ、1959年1月16日~)、部落解放同盟の61歳の松岡徹(1951年11月26日~)書記長、42歳の北原みのり(1970年11月24日~)らが就任した。

2013年(平成25年)9月27日、61歳の有田芳生(ありた・よしふ、1952年2月20日~)著『ヘイトスピーチとたたかう!日本版排外主義批判』(岩波書店、本体1,500円)が刊行された。
48歳の安田浩一(1964年9月28日~)、師岡康子(もろおか・やすこ、1987年~)との対談も収めた。

2013年(平成25年)9月30日、レイシストをしばき隊が解散した。

2013年(平成25年)10月、47歳の野間易通により対レイシスト行動集団C.R.A.C.が結成された。

2014年(平成26年)4月26日、「のりこえブックス」、『ヘイトスピーチってなに?レイシズムってどんなこと?』(七つ森書館、本体1,600円)が刊行された。

1 ヘイト・スピーチ NO !
石井ポンペ(1945年~)「東アジア大事にしないと、日本は歴史から遅れる
宇都宮健児(1946年12月1日~)「もっと寛容な社会を!
河野義行(1950年2月3日~)「理不尽な要求
佐高信(さたか・まこと、1945年1月19日~)「在特会ヘイト・スピーチを繰り返す自信なき「排外主義」集団
鈴木邦男(1943年8月2日~2023年1月11日)「愛国者への疑惑
田中宏(1946年~)「根はもっと深いところにある
田中優子(1952年1月30日~)「差別を消費する日本人
知花昌一(ちばな・しょういち、1948年5月11日~)「自分が発した言葉は自分に返る
西田一美(1961年3月19日~)「人間らしく「ともに生きる」社会
村山富市(むらやま・とみいち、1924年3月3日~)「協力しあって発展していくこと
和田春樹(1938年1月13日~)「いまだかつてない日本の危機
松岡徹違いを乗り越えていく社会へ
若森資朗(1949年8月~)「問題を真正面から捉える
2 のりこえネットTV開設記念トーク
上野千鶴子辛淑玉北原みのり大爆笑女語り!! ヘイトを斬る!
3 ヘイト・スピーチとレイシズム
【海外の事例を中心に】
前田朗(まえだ・あきら、1955年~)「表現の自由を守るためにどうすればよいか
【日本の事例を中心に】
中沢けい(1959年10月6日~)「ネトウヨ・ヘイトスピーチ・レイシズム
【心理学の立場から】
香山リカ(1960年7月1日~)「ヘイトスピーチに必要な「ケアの視点」

2015年(平成27年)2月15日、ブログ「女性解放運動家の横槍(feministkilljoys)」に、45歳のサラ・アーメッドゥの公開書簡「あなたたちは私たちを抑圧している!」You Are Oppressing Us!が掲載された。

2015年(平成27年)4月5日、性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(通称:LGBT法連合会)が設立された。

2015年(平成27年)7月1日、同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究FGSSセンターが設立された。

2015年(平成27年)8月27日、『情報・知識&オピニオン imidas(イミダス)』で、25歳の仁藤夢乃の時評『“ここがおかしい”バカなフリして生きるのやめた』の連載が「元“難民高校生”の仁藤夢乃です」で始まった。

2015年(平成27年)9月29日、グローバル企業14社による事業主導のLGBT受け入れ協力組織「開業(Open For Business)」が発足した。

2016年(平成28年)1月12日発売の『週刊朝日』(朝日新聞出版)1月22日号(税込み380円)から64歳の桐野夏生(きりの・なつお、1951年10月7日~)著の小説『路上のX』の連載が始まった。
仁藤夢乃著『難民高校生』を参照している。

2016年(平成28年)2月3日、公明党が、性的マイノリティへの差別解消に向けて「性的指向と性自認(SOGI)に関するプロジェクトチーム」を設置した。

2016年(平成28年)2月23日、自由民主党政務調査会が「性的指向性自認に関する特命委員会」を設置した。

2016年の「ヘイトスピーチを解消する法律」

2016年(平成28年)3月18日、93歳の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう、1922年5月15日~2021年11月9日)、60歳の村木厚子(1955年12月28日~)の呼びかけで、「自由法曹団」の弁護士で日本女子大学非常勤講師の大谷恭子(1950年~)が代表を務める「生きづらさを抱えた若年女性」支援団体、一般社団法人若草プロジェクトが設立された。

2016年(平成28年)6月3日、特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチを解消する法律が施行された。

2016年(平成28年)7月28日、隔月刊の文芸専門学術誌『文学』(岩波書店)7、8月号「特集:山東京伝、町人作者の眼」(本体2,500円)が刊行された。
64歳の桐野夏生の長篇ディストピア小説『日没』の連載が始まった。

2016年(平成28年)8月2日、64歳の小池百合子(1952年7月15日~)が東京都知事に就任した。

2016年(平成28年)11月25日、『文学』が11月、12月号「特集:東京の文学」(本体2,900円)で休刊した。
65歳の桐野夏生の『日没』(三)が掲載された。

2016年(平成28年)12月10日、「ちくま文庫」、仁藤夢乃著『難民高校生絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル』(筑摩書房、本体780円)が刊行された。
解説は44歳の小島慶子(1972年7月27日~)だ。

2017年(平成29年)1月24日発売の『週刊朝日』2月3日号(税込み380円)で、65歳の桐野夏生の小説『路上のX』が完結した。

2017年(平成29年)2月、ダラムで、47歳のサラ・アーメッドゥ著『女性解放運動家として生きること』Living a Feniminst Life(Duke University Press)が刊行された。

2017年(平成29年)2月26日、50歳の野間易通が、ツイッターアカウントで、27歳の我那覇真子(がなは・まさこ、1989年8月10日~)らについて「ただの嘘つきが雁首そろえていいわけをする場を、わざわざ時間を使って取材してあげたのですから、生意気なこと言ってないで素直に感謝しなさい。あなたたちは単なる国賊でありこの国の汚物なのですから身の程をわきまえるよう」と投稿し、アカウントがツイッター社から凍結された。

2017年(平成29年)3月8日、月刊総合誌『世界』(岩波書店)4月号「特集:原発事故に奪われ続ける日常3.11から6年」(本体850円)が刊行された。
65歳の桐野夏生の『日没』の連載が再開された。

2017年のハーヴィ・ワインスティンとQ匿名

2017年(平成29年)4月30日、山本潤(1974年~)著『13歳、「私」をなくした私性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版、本体1,400円)が刊行された。

2017年(平成29年)7月7日、山本潤が性犯罪被害の当事者団体である一般社団法人Springを設立した。

2017年(平成29年)7月13日、強姦罪強制性交等罪に変更し罰則を強化し、性犯罪の親告罪規定を削除し、監護者わいせつ罪監護者性交等罪などを定めた改正刑法が施行された。

2017年(平成29年)10月5日、日刊紙『ニュー・ヨーク時事(New York Times)』が、42歳のジョディ・キャンター(Jodi Kantor、1975年4月21日~)、メイガン・トゥーイ(Megan Twohey)の記事「ハーヴィ・ワインスティンは数十年にわたり性加害の告発者に報復した」Harvey Weinstein Paid Off Sexual Harassment  Accusers for Decadesを掲載した。
2015年(平成27年)3月から性加害疑惑のあった映画制作者、65歳のハーヴィ・ワインスティン(Harvey Weinstein、1952年3月19日~)による数十年に及ぶ性加害を告発した。

2017年(平成29年)10月28日、画像掲示板の4chanの「政治的に不適切(Politically Incorrect)」という板に「Q情報取り扱い資格者(アメリカ連合国で核兵器の機密情報に触れることのできる資格者のこと)の愛国者(Q Clearance Patriot)というハンドルネームのユーザーが、71歳のアメリカ連合国大統領ドナルド・トゥランプ(Donald Trump、1946年6月14日~)の発言をもじった「嵐の前の静けさ(Calm Before the Storm)というスレッドを作成し、陰謀論を展開した。
この陰謀論の熱心な拡散者は「Q匿名(QAnon)」と呼ばれた。

2017年(平成29年)11月、ラッスィーア政府の支援を受けたツイッターアカウントが「Q匿名」の偽情報の拡散に関与し、アメリカ連合国の統治を混乱させる輿論操作を企てたとされる。

2018年(平成30年)2月28日、66歳の桐野夏生著『路上のX』(朝日新聞出版、本体1,700円)が刊行された。
装画は西川真以子(1980年~)、装丁は藤枝憲(1974年~)だ。

2018年(平成30年)5月25日、66歳のハーヴィ・ワインスティンが、2人の別々の女性が関与した事件に対する強姦、犯罪的性行為、性的虐待、性的違法行為の容疑でニュー・ヨーク郡地検 (New York County District Attorney's Office)から起訴され、ニュー・ヨーク市警察(New York City Police Department)に逮捕された。

室伏きみ子

2018年(平成30年)7月2日、お茶の水女子大学の71歳の室伏きみ子学長(1947年4月9日~)らが会見し、2020年度の学部・大学院の入学者からトランスジェンダー学生を受け入れることを発表した。

2018年(平成30年)7月30日、小川たまか(1980年~)著『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス、本体1,600円)が刊行された。
装画は惣田紗希(そうだ・さき、1986年~)だ。

2018年(平成30年)9月、ミネソタで、44歳のケリー・ヒューゲル著『LGBTQレズビアン、ゲイ、両性愛者、性自認超越者、性自認不定者の十代向けの困難克服の手引き』LGBTQ: The Survival Guide for Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and Questioning Teens第三版(‎Free Spirit Publishing)が刊行された。

2018年(平成30年)12月、河出書房新社を退社した松尾亜紀子(1977年~)が、フェミニズム専門の出版社「エトセトラブックス」を設立した。

2019年(平成31年)1月、河出書房新社坂上陽子(さかのうえ・ようこ、1978年~)が季刊文芸誌『文藝』編集長に就任した。

2019年(平成31年)1月28日、月刊現代思想誌『現代思想』(青土社)2月号「特集=「男性学」の現在〈男〉というジェンダーのゆくえ」(本体1,400円)が刊行された。
『ユリイカ』編集部の樫田祐一郎(1990年~)が編集長になった最初の号だ。

2019年(平成31年)4月11日、前月に立て続けに起きた性暴力の無罪判決を受け、48歳の北原みのり松尾亜紀子らの呼びかけで、性犯罪をめぐり相次ぐ無罪判決に、疑問を持った450人以上の人々が東京駅前に花を持って集まり、「フラワーデモ」をおこなった。
毎月11日の「フラワーデモ」は全国各地に波及した。

2019年(令和元年)7月9日、ジャニーズ事務所の所属タレントへの性加害の疑惑がかけられていたジャニー喜多川(1931年10月23日~2019年7月9日)が87歳で亡くなった。

2019年(令和元年)7月16日発売の『週刊朝日』7月26日号(400円)」は、芸能界で男性アイドルというジャンルを確立したジャニー喜多川の功績をたたえた特集号だった。

2019年の草津町と新井祥子

2019年(令和元年)11月12日、飯塚玲児(1966年~)著の電子書籍『草津温泉 漆黒の闇5』(330円)が配信され、群馬県草津町の50歳の新井祥子町議が2015年(平成27年)1月8日午前10時ごろ、72歳の黒岩信忠(1947年~)町長と町長室で2人きりで面会した際に、スカートをまくり上げられ、胸を触られたなどと告発した。

2019年(令和元年)12月16日、草津町の町長の72歳の黒岩信忠が50歳の新井祥子元町議、53歳の飯塚玲児、85歳の中澤康治(なかざわ・やすじ、1934年11月3日~)町議に対し、町長室で性交渉をしたなどと事実に反する内容を広められ、名誉や人格を傷つけられたとして、慰謝料4,400万と記事の削除、謝罪広告掲載などを求め、前橋地裁に提訴した。

2020年(令和2年)2月7日、『世界』3月号「特集1:災害列島改造論」「特集2:もはや不可避の脱石炭」(935円)が刊行された。

68歳の桐野夏生の『日没』が完結した。

2020年(令和2年)2月18日、『現代思想』3月臨時増刊号「総特集=フェミニズムの現在」(本体1,800円)が刊行された。

51歳の武蔵大学社会学部教授・千田有紀(せんだ・ゆき、1968年12月~)「「女」の境界線を引きなおす「ターフ」をめぐる対立をこえて」が掲載された。

2020年(令和2年)2月26日、月刊思想学術誌『思想』(岩波書店)3月号「フェミニズムⅠ 身体/表象」(本体1,900円)が発売された。

清水晶子

東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻教授・清水晶子(しみず・あきこ、1970年~)「埋没した棘現れないかもしれない複数性のクィア・ポリティクスのために」が掲載された。

2020年(令和2年)2月26日、パリで、44歳のキャロリヌ・フレストゥ(Caroline Fourest、1975年9月19日~)著『傷つけられた世代文化統制から思想統制へ』Génération offensée: De la police de la culture à la police de la pensée(Grasset)が刊行された。

2020年(令和2年)3月10日、日本政府が新型コロナウイルス感染症の流行歴史的緊急事態に指定した。

2020年(令和2年)3月14日、新型コロナウイルス感染症を施行日から最長2年間、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とする旨の法改正が施行された。

2020年(令和2年)4月11日、月刊誌『VOGUE JAPAN』(コンデナスト・ジャパン)公式ウェブサイトの「VOGUE CHANGE」セクションで、清水晶子、66歳の実川元子(じつかわ・もとこ、1954年3月3日~)の連載「清水先生、フェミニズムってなんですか?【VOGUEと学ぶフェミニズム】」の掲載が始まった。

2020年(令和2年)6月30日、ワシントゥンDCで、41歳のアビゲイル・シュライアー(Abigail Shrier、1978年6月21日~)著『取り返しのつかない被害:私たちの娘たちを誘惑する性自認超越の狂熱』Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters(Regnery Publishing)が刊行された。

2020年(令和2年)7月、堀之内出版の編集者だった小林えみ(1978年~)が独立し、出版社「よはく舎」を設立した。

2020年(令和2年)8月4日、ニュー・ヨークで、29歳のデブラ・ソウ(Debra Soh、1990年9月6日~)著『性自認の終わり私たちの社会における性と属性についての神話の誤りを暴く』The End of Gender: Debunking the Myths about Sex and Identity in Our Society(Threshold Editions)が刊行された。

2020年(令和2年)8月6日、群馬県が地方自治法に基づき、51歳の新井祥子議員の草津町議会除名処分を取り消した

2020年(令和2年)8月11日、水上文(みずかみ・あや、 1992年~)編集の同人誌『永遠だ、海と溶け合う太陽だ。』、「特集:女と人生」が刊行された。

2020年(令和2年)8月25日、ダラムで、45歳のヘレン・プラックロウズ(Helen Pluckrose、1974年8月~)、41歳のジェイムズ・リンズィ(James Lindsay、1979年6月8日~)著『独善的(批判無効)諸理論どのように活動家の高等学問が人種、性自認、属性についてのすべてを作り上げたか、なぜそれが万人を害するのか』Cynical Theories: How Activist Scholarship Made Everything About Race, Gender, and Identity - and Why This Harms Everybody(Pitchstone Publishing)が刊行された。

2020年(令和2年)8月27日、現代詩と批評の月刊誌『ユリイカ』(青土社)9月号「特集:女オタクの現在」(本体1,800円)が刊行された。
水上文の評論「〈消費者フェミニズム〉批判序説」が掲載された。

高島鈴

高島鈴(たかしま・りん、1995年~)の批評「オメガバースを読む乱反射する欲望と現実」が掲載された。

2020年(令和2年)9月1日、性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(通称:LGBT法連合会)が一般社団法人になった。

2020年(令和2年)9月29日、桐野夏生著『日没』(岩波書店、本体1,800円)が刊行された。
装画は大河原愛(1979年~)だ。

2020年(令和2年)10月23日、『思想』11月号「桐野夏生の小説世界」(本体1,350円)が刊行された。

思想の言葉」、66歳の名古屋外国語大学世界教養学部教授・東京大学名誉教授・沼野充義(ぬまの・みつよし、1954年6月8日~)「夜明けはいつ来るのか?『日没』の問いかけること」が掲載された。

2020年(令和2年)11月17日、ニュー・ヨークで、82歳のアラン・ダーショウィッツ(Alan Dershowitz 、1938年9月1日~)著『取り消し文化言論の自由と適正手続きに対する最新の攻撃』Cancel Culture: The Latest Attack on Free Speech and Due Process(Skyhorse Publishing)が刊行された。

2020年(令和2年)12月6日、群馬県草津町が、51歳の新井祥子町議に対する解職請求(リコール)の賛否を問う住民投票をおこない、即日開票の結果、有効投票の過半数が賛成し、新井祥子町議が失職した。
確定投票数は「失職に賛成」が2542票で、「反対」が208票だった。

2020年(令和2年)12月6日、武蔵小杉合同法律事務所神原元がツイッターアカウントで「#私は新井町議のリコールに抗議し草津温泉をボイコットします こんなもの、絶対に許したらダメです。多数派の横暴、すなわちファシズムです。」と述べた。

2020年(令和2年)12月11日、群馬県草津町で、性暴力のない社会を求めるフラワーデモがおこなわれた。
フラワーデモ群馬代表の田嶋みづき(1986年~)、51歳の新井祥子元草津町議、86歳の中澤康治町議、50歳の北原みのり(1970年11月24日~)、日本共産党山田みどり(1978年~)中之条町議、一般社団法人Spring山本潤らが参加した。

2021年(令和3年)2月5日、「朝日文庫」、桐野夏生著『路上のX』(朝日新聞出版、本体800円)が刊行された。
解説は31歳の仁藤夢乃だ。

2021年(令和3年)2月7日、86歳の中澤康治を代表とする「新井祥子元草津町議を支援する会」が発足した。

2021年(令和3年)2月8日、『世界』3月号「特集1:21世紀の公害」「特集2:軍事化される琉球弧」(本体850円)が発売された。

50歳の北原みのり草津町議会リコール事件議場でのセカンドレイプはなにを見せたか」が掲載された。

2021年(令和3年)3月、ランドゥンで、48歳のキャスリン・ストック(Kathleen Stock、1972年11月~)著『物質的少女女性解放運動にとって実在が重要な理由』Material Girls: Why Reality Matters for Feminism(Fleet)が刊行された。
「物質的少女(material girl)」は、1984年(昭和59年)11月30日に発売されたマドナ(Madonna、1958年8月16日~)の歌「物欲女(Material Girl)」、2019年(令和元年)11月5日に発売されたソースィ・サンタナ(Saucy Santana)の歌「物欲女(Material Girl)」 のもじりだ。

2021年の「女性差別的な文化を脱するために」

2021年(令和3年)3月16日、40歳の呉座勇一(ござ・ゆういち、1980年8月26日~)がツイッターの鍵アカウント(そのアカウントの承認を受けたフォロワー以外読めない) で、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授の37歳の北村紗衣(きたむら・さえ、1983年4月12日~)のツイッターアカウントの投稿を引用し、揶揄した。

2021年(令和3年)4月4日、事実上、呉座勇一を名指ししたオープンレター女性差別的な文化を脱するために 研究・教育・言論・メディアにかかわるすべての人へ」がオンライン上で公開された。

2021年(令和3年)4月から使われ始めた中学校の教科書LGBTの説明が大幅に増やされた。
LGBTを説明する中学教科書は9社17点に増えた。
科目も道徳だけでなく、国語歴史公民家庭美術保健体育という6科目に広がった。

2021年(令和3年)4月7日、「朝日文庫」、山本潤著『13歳、「私」をなくした私性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版、税込み858円)が刊行された。
解説は伊藤詩織(1989年~)だ。

2021年(令和3年)4月16日、隔月刊保守思想誌『表現者クライテリオン』(啓文社書房)5月号「特集:コロナ疲れの正体暴走するポリコレ」(本体1,238円)が刊行された。

2021年(令和3年)4月16日、「集英社新書」、「共同通信ヘイト問題取材班」の一員・角南圭祐(すなみ・けいすけ、1979年~)著『ヘイトスピーチと対抗報道』(集英社、本体880円)が刊行された。

2021年(令和3年)5月25日、一般社団法人日本ペンクラブが理事会で第18代会長に69歳の桐野夏生を選出した。

2021年(令和3年)7月、ランドゥンで、ヘレン・ジョイス(Helen Joyce、1968年~)著『性自認超越者政治理念が実在性に応じる時』Trans: When Ideology Meets Reality(Oneworld Publications, Simon & Schuste)が刊行された。

2021年(令和3年)8月6日、国際日本文化研究センターを運営する人間文化研究機構から同年1月12日付で、10月から任期のない定年制の資格を与え、准教授とする決定を受けていた40歳の呉座勇一が、ツイッターアカウントでのの不適切発言を理由に再審査の結果として資格の付与を取り消す通知を受けた。

2021年(令和3年)9月17日、ゲイを自認する51歳の松浦大悟(1969年10月3日~)著『LGBTの不都合な真実活動家の言葉を100%妄信するマスコミ報道は公共的か』(秀和システム、本体1,500円)が刊行された。

2021年(令和3年)9月18日、LGBT法案の「性自認」記載に対して慎重な議論を求める任意団体「女性スペースを守る会LGBT法案における『性自認』に対し慎重な議論を求める会)」が発足した。

2021年(令和3年)9月29日、41歳の呉座勇一人間文化研究機構を相手方としてテニュア准教授の地位確認訴訟京都地裁に提起した。

2021年(令和3年)10月28日、『物質的少女女性解放運動にとって実在が重要な理由』Material Girls: Why Reality Matters for Feminismが性自認超越者排外的とみなされ、非難された、48歳のキャスリン・ストック教授がサセックス大学(University of Sussex)を辞任した。

2021年(令和3年)10月28日、『現代思想』11月号「特集:ルッキズムを考える」(本体1,600円)が刊行された。
高島鈴都市の骨を拾え」で、千田有紀「女」の境界線を引きなおす「ターフ」をめぐる対立をこえて」が批判された。

2021年(令和3年)11月30日、65歳の福田ますみ(1956年5月5日~)著『ポリコレの正体「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは 』(方丈社、本体1,400円)が刊行された。

2021年(令和3年)12月13日、52歳の新井祥子元町議が74歳の黒岩信忠町長を強制わいせつ容疑前橋地検に告訴した。

2021年(令和3年)12月16日、黒岩信忠町長が新井祥子元町議を虚偽告訴罪前橋地検に告訴した。

2021年(令和3年)12月22日、「扶桑社新書」、74歳の小浜逸郎(こはま・いつお、1947年4月15日~2023年3月31日)著『ポリコレ過剰社会』(発行 :育鵬社、発売:扶桑社、本体920円)が刊行された。

2021年(令和3年)12月24日、前橋地検嫌疑不十分として黒岩信忠町長を不起訴処分とした。

2022年(令和4年)1月1日、世界保健機関(World Health Organization, WHO)の「疾病及び関連保健問題の民界交流統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems, ICD)」改定版(ICD-11)が発効した。
出生時に割り当てられた性別とは異なる性の自己意識を持ち、自分の身体的性別に持続的な違和感を覚える状態を指す「性自認同一性障害(Gender identity disorders)」が「精神障害(mental disorders)」の分類から除外され、「性の健康に関連する状態(Conditions related to sexual health)」という分類の中の「性自認不合(Gender Incongruence)」に変更された。

2022年(令和4年)1月18日、ダラムで、ヘレン・プラックロウズジェイムズ・リンズィ著、レベッカ・クリスチャンセン(Rebecca Christiansen)脚色『社会(不)正義人種、性自認、属性についての重要な問題についての多くの人気のある回答がなぜ間違いなのか、そして何が正しいのかを知るにはどうすべきか独善的(批判無効)諸理論の読みやすい再合成版』Social (In)justice: Why Many Popular Answers to Important Questions of Race, Gender, and Identity Are Wrong--and How to Know What's Right: A Reader-Friendly Remix of Cynical Theories(Pitchstone Publishing)が刊行された。

2022年(令和4年)2月17日、41歳の呉座勇一が名誉毀損されたとして、「オープンレター〜女性差別的な文化を脱するために」差出人ら17人に対して、オープンレターの削除と損害賠償計100万円の支払いを求める文書を通知した。

2022年(令和4年)2月25日、呉座勇一から求められている損害賠償100万円を支払う義務はないとして、名古屋大学大学院経済学研究科教授の46歳の隠岐さや香(1975年6月6日~)、「よはく舎」代表・小林えみ、「エトセトラブックス」代表・松尾亜紀子ら12人が債務不存在の確認を求める訴訟東京地裁に起こした。

2022年(令和4年)3月6日、32歳の我那覇真子のYoutubeチャンネル「我那覇真子チャンネル」で65歳の福田ますみインタヴュー前半「これって差別?怒られるかな? ポリコレの正体」(46分)が公開された。

2022年(令和4年)3月14日、「我那覇真子チャンネル」で福田ますみインタヴュー後半「追い詰めるマスコミ冤罪 『でっちあげ』」35分)が公開された。

2022年(令和4年)4月8日、埼玉工業大学人間社会学部非常勤講師・藤崎剛人(ふじさき・まさと、1982年~)がツイッターアカウントで、「『情況』のキャンセルカルチャー特集に寄稿しました。しかしながらキャンセルカルチャーなる疑似問題を取り上げた時点で『情況』編集部はハラスメントの被害者に対する二次加害を行っているのであり、私の原稿も含め全ての記事は読むに値しません。けして買わないでください。」と呼びかけた。

2022年(令和4年)4月20日、『情況』(情況出版)春号「特集:キャンセルカルチャー取り消す権利に指標はあるか?」「特集:プーチンの戦争を止めろ!」(本体1,364円)が発売された。

藤崎剛人キャンセルカルチャーは存在しない」が「キャンセルカルチャーは存在しない。ただキャンセルされるべき者がいるだけである。差別やハラスメント、誹謗中傷の加害者はキャンセルされるべき人間である」と主張した。

2022年(令和4年)6月23日、「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」(通称:AV新法)が施行された。

2022年(令和4年)6月30日、サラ・アーメッド著、飯田麻結訳『フェミニスト・キルジョイフェミニズムを生きるということ』(人文書院、本体4,500円)が刊行された。
女性解放運動家として生きること』Living a Feminist Lifeの翻訳だ。
装丁は村上真里奈だ。

2022年(令和4年)7月15日、「呉座勇一先生の裁判を支える会」が発足した。

2022年(令和4年)7月24日、同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センターが、同志社大学良心館で、一般公開シンポジウム 「フェミ科研と学問の自由」を催し、清水晶子が講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」をおこなった。

清水晶子講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」でSara Ahmed "You are oppressing us!"が引用される。

この書簡は、フェミニストの発言は自由になされるべきで、健康で活発な民主主義のしるしである討議や対話を可能にするものだ、と考えている。しかし、トランスフォビアや反トランスの発言を、ハッピーなダイバーシティの食卓で自由に表明して良いような、ただのありふれた観点として扱うことはできない。食卓を囲んでいる誰かが、別の誰かを抹消すべきだと、意図的あるいは事実上主張している時に、対話などしようがない。あなたを会話から抹消したがっている誰かと「討議や対話」をするとしたら、「討議や対話」はそれ自体が抹消のテクニックになる。特定の討議や対話を拒絶することこそが、したがって、生き延びる鍵となる戦略になりうるのである。

原文も引用する。

This letter implies that some feminist statements that should be expressed freely, that what need to enable debate and dialogue as the sign of a healthy lively democracy. But transphobia and anti-trans statements should not be treated as just another viewpoint that we should be free to express at a happy diversity table. There cannot be a dialogue when some at the table are in effect or intent arguing for the elimination of others at the table. When you have “dialogue or debate” with those who wish to eliminate you from the conversation (because they do not recognize what is necessary for your survival or because they don’t even think your existence is possible), then “dialogue and debate” becomes another technique of elimination. A refusal to have some dialogues and some debates can thus be a key tactic for survival.

2022年(令和4年)9月4日、アゴラ研究所のオピニオンサイト『アゴラ』に、與那覇潤(よなは・じゅん、1979年~)「過去を失った未来オープンレターに集う「お目覚め主義者」たち」が掲載された。

2022年(令和4年)9月6日、清水晶子ハン・トンヒョン(1968年~)、飯野由里子(1973年~)著『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(有斐閣、本体1,800円)が刊行された。

2022年(令和4年)9月30日、『水道橋博士のメルマ旬報』が定期購読販売を終了し、11月30日をもってサイトを終了した。

2022年(令和4年)10月18日、前嶋和弘(1965年~)著『キャンセルカルチャーアメリカ、貶めあう社会』(小学館、本体1,600円)が刊行された。

2022年(令和4年)10月31日、前橋地検が、53歳の新井祥子を75歳の黒岩信忠町長に対する名誉毀損と強制わいせつ罪での虚偽告訴の罪で在宅起訴した。
電子書籍『草津温泉 漆黒の闇5』の著者・飯塚玲児黒岩信忠町長に対する名誉毀損の罪で在宅起訴された。

2022年の暇空茜とナニカグループ

2022年(令和4年)11月2日、暇空茜(ひまそら・あかね)(水原清晃、みずはら・きよてる)の東京都に対する「東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求」が東京都監査事務局に受け付けられた。

2022年(令和4年)11月10日~12日、ジャカルタで、国際出版連合(International Publishers Association)主催の第33回国際出版会議(International Publishers Congress)が催された。

11月11日、71歳の桐野夏生が日本語で基調講演をおこなった。
これはYouTubeでライブ配信された。

72分30秒

では、自由を保証されている平和な国で、われわれ作家の表現の自由を奪うものは何でしょうか。
それは国家でも政治的集団でもなく、ごくごく普通の人びとによる圧力です。
日本ではパンデミックによって戦時中もかくやと思われるような醜悪な出来事が多々起きました。
コロナ感染拡大防止のために、政府や自治体が外出の自粛要請をおこないました。
その途端に要請に従わない店や個人に対する告発の電話が警察に多くかかってきたといいます。いわゆる密告です。
これら自粛を強要する行為をする人びとを「自粛警察」と呼びました。
マスクをしてない人を告発するのは「マスク警察」です。
しかし取り締まっているのは警察ではなく、ごく普通の生活をしている市民だっていうことが、あたかも第二次世界大戦中の「隣組」を思い起こさせました。
「自粛」という概念がいかに容易に他人の自由を束縛するものに転化するかを、われわれは目の当たりにしました。
コロナのおかげで、日本人は、第二次世界大戦前夜の雰囲気と日本人の無意識の闇を経験したといえるかもしれません。
しかし、自粛の強要を「大衆的検閲」と名づけるのならば、それはコロナ以前から見られていた傾向でもあります。
「キャンセルカルチャー」という言葉があります。
「キャンセル」とは、過去の不平等や差別を正すという意味でしたが、それが表現物にも及んでいます。問題は、表現物へのゆきすぎたキャンセルです。
もちろんSNSによって、これまで社会で耳を傾けられてこなかった人たちが自ら声を上げ、新たな運動を作り出してきたことの意義は大きいです。
だけども問題なのは、ひとたび「悪」「敵」のラベルを貼られると、どんな言葉のつぶてを投げてもよし、何を言ってもよし、とされる風潮が醸成されることです。
あたかも人民裁判のごとく過去を裁くには人権的配慮が必要ではないか。その人権的配慮を誰もしなくなったのは、どうしてでしょうか。
なぜ急に日本が、そして世界は、そのようにモラリスティックな正義を誇示するようになったのでしょうか。
日本では2011年の福島での原発の事故以来、人びとの同調圧力が強まり、政治も国民の自由を制限する方向に向かいました。
わたくしは近い将来、戦時中の言論弾圧が起きるかもしれないと考えまして、『日没』という小説を書きました。
これは、ある作家が、読者の告発によって、政府の収容施設に入れられ、思想矯正を受けるという物語でした。
それはもちろんフィクションです。
知り合いの女性作家の方がいるんですけど、その方が、配偶者がいる男女が出会って、恋をするという物語を書きました。
すると、出版社には、不倫の話なんか書くなという抗議がいくつもあったとか聞いてます。
少し前までは、そんなことはありえませんでした。なぜなら小説は小説だからです。
小説は完全に、わたくしたち作家が頭の中で浮んだことを、書き連ねた想像の中の世界でしかありません。
それを止められたら、作家に死ねと言うのと同じことです。
まるでわたくしの書いた『日没』と同じようなことが、現実で起き始めています。
わたしの中にある懸念は、これまで一緒に表現の自由を護るために闘ってくれた、強い絆で結ばれた出版社が読者を獲得するために、これらの大衆的検閲に協力するのではないかというおそれです。

11月15日に早川書房のnoteで、ヘレン・プラックローズジェームズ・リンゼイ著、58歳の山形浩生(やまがた・ひろお、1964年3月13日~)、森本正史(もりもと・まさふみ、1967年~)訳『「社会正義」はいつも正しい』の山形浩生の解説記事「差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!」が公開された。

2022年(令和4年)11月16日、ヘレン・プラックローズジェームズ・リンゼイ著、58歳の山形浩生森本正史訳『「社会正義」はいつも正しい人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(早川書房、本体3,300円)が刊行された。

2022年(令和4年)11月25日、夕刊紙『日刊ゲンダイ』の電子新聞『日刊ゲンダイDIGITAL』(兼松グランクス、日刊現代)に、52歳の室井佑月(むろい・ゆづき、1970年2月27日~)の連載時評『嗚呼、仰ってますが。』の「北原みのりさんは一言謝れないのか? なんだか思いっきり他人事だな」が掲載された。

 北原さんといえば、元町議側につき、草津までいってデモを行った人。何度もこの件で原稿を書き、町長リンチの先頭に立った人。
 デモは「セカンドレイプの町、草津」というプラカードを掲げていて、それは海外メディアでも報じられた。
 そして、北原さんは町長の冤罪が濃厚になってきてもなお、連載コラムで町長をディスっていた。
 なぜ、北原さんは一言、町長や草津に謝れないのか。罪無き人を傷つけたのに。

2022年(令和4年)11月30日、OpenAIChatGPT (会話型生成事前学習変換器、Chat Generative Pre-trained Transformer)を一般公開した。

2022年(令和4年)12月7日、飯塚玲児がブログ「飯塚玲児のNew Lazy Days」で、黒岩信忠草津町町長、町長の家族、草津町の町民に対し、事実に反する記事を公開したことを謝罪し、電子書籍『草津温泉 漆黒の闇5』の販売を打ち切った。

2022年(令和4年)12月14日、暇空茜のnote「暇な空白」に「Colabo戦記第二部「ナニカグループの闇」」が投稿された。

2022年(令和4年)12月14日、「C.R.A.C.」の56歳の野間易通と58歳のジャーナリストの安田浩一(1964年9月28日~)が、ユーチューブ「CRACtube」で「NoHateTV」vol.199「#暇アノン 暗い情熱」をライブ配信し、「Qアノン」をもじった「暇アノン」の語で暇空茜の告発の支持者を批判した。

野間「Colaboを攻撃している人たちに対して、なんで「暇アノン」ていう名前に」
安田「なんで「暇アノンなんだろうな」
野間「あのね。もうね、「Qアノン」みたいやっていうね。そういう名前が付くきっかけとなったのはこういう図がね(12月10日付けの相関図表示)、発表されて。細かいことは見なくていいんですけど、わかるでしょ、こういうすぐ相関図みたいなの書くじゃないですか、ああいうネヨウヨとか、「世に倦む日々」(田中宏和のブログ名、ツイッターアカウント)とか。
 こん中に「しばき隊」とかちょっといたりするんですけど、神原さんの近くとかにね。
 「これはこうつながっている。そしてすべて西早稲田(日本基督教団系の団体が集まり、「反日の聖地」とも呼ばれる)につながっていくのだ」みたいな話を僕らは60万回ぐらい聞いてるでしょ。
もう、こういうのが出だして、「Qアノン」みたいになってるなと。
いろんな偽情報にだまされて、それがどんどん雪だるま式に膨らんでいって、いろんな人が参入してきて、その背景にすごい陰謀みたいなのを見たりすると。
で、そのずっと共産党が。共産党がって言ってたんだけど、その、水原さん本人はもう(暇空茜のツイッターアカウントの12月10日の投稿「だんだん見えてきたけど、立憲民主党の一部にだいたい繋がるんだよ、あと共産党の一部 この二つすら食い物にする"ナニカ"だよこれ、陰謀論とわらいてえよ俺だって」のスクショを表示)「だんだん見えてきた」わけですよね。
「この二つすら食い物にする"ナニカ"」。これだと「世に倦む日々」が「しばき隊が共産党を牛耳ってた」と言ってた話とそっくりですよ。

2022年(令和4年)12月15日、暇空茜がツイッターアカウントで「グループそのものと戦うのはこの国の機構だったり今後の人たちだとして、ここで、白日の元に晒せた若草プロジェクト、BOND、ぱつぷす、colaboの公金チューチュースキームは除かねばならない。詳しい人は知ってるが、AV新法もこの4団体の仕業だ。4団体こそがナニカグループの主力。ここを叩けるチャンス」と述べた。

これ以後、「ナニカグループ」「公金チューチュースキーム」の語が広く使われ始めた。

2022年(令和4年)12月15日、イースト・プレスの編集者がツイッターアカウントで、17日発売予定の『水道橋博士のメルマ旬報』の2017年(平成29年)のニュースを題材とした連載を大幅に改稿した、樋口毅宏(ひぐち・たけひろ、1971年~)著のディストピア小説『中野正彦の昭和九十二年』(イースト・プレス)を批判し、刊行に抗議した。

2022年(令和4年)12月16日、イースト・プレスが、社の内外の批判を受け、樋口毅宏著『中野正彦の昭和九十二年』の回収が発表された。

2022年(令和4年)12月6日、早川書房の編集者・一ノ瀬翔太(1992年~)がツイッターアカウントで謝罪し、11月15日に早川書房のnoteで公開した、山形浩生の解説記事「差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!」を削除したことを報告した。

『「社会正義」はいつも正しい』解説記事の公開を停止しました。私はテキストが持ちうる具体的な個人への加害性にあまりに無自覚でした。記事により傷つけてしまった方々に対して、深くお詫び申し上げます。記事の公開後、多くのご批判を社内外で直接・間接に頂き、問題を自覚するまでに一週間を要しました。結果、対応がここまで遅れてしまったことにつきましても、誠に申し訳ございません。取り返しのつくことではございませんが、今後の仕事に真摯に向き合い、熟慮を重ねてまいります。

2023年(令和5年)1月6日、『世界』2月号「特集:習近平新時代 共存の道は」(本体850円)が刊行された。
桐野夏生の講演「大衆的検閲について」が掲載された。

2023年(令和5年)2月28日、「新井祥子元草津町議を支援する会」が解散した。

2023年(令和5年)3月、ダブリンで、53歳のサラ・アーメッドゥ著『女性解放運動家の横槍の手引き』The Feminist Killjoy Handbook(Allen Lane)が刊行された。

2023年(令和5年)3月21日、Googleがアメリカ連合国と連合王国で会話型人工知能「Bard」の試験運用版を公開した。

2023年(令和5年)3月22日、カロリーヌ・フレスト著、71歳の堀茂樹(1952年1月29日~)訳『「傷つきました」戦争超過敏世代のデスロード』(中央公論新社、本体1,800円)が刊行された。

2023年(令和5年)3月23日、OpenAIChatGPTの拡張機能ChatGPT plugins を公開し、ChatGPTをウェブに接続した。

2023年(令和5年)4月、39歳の北村紗衣武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授に就任した。

2023年(令和5年)5月1日、57歳の駒澤大学経済学部非常勤講師、國學院大学経済学部非常勤講師・森田成也(もりた・せいや、1965年10月27日~)が発起人となり、定義のあいまいな「性自認」の法令化に反対し 慎重な審議と国民的議論を呼びかける有識者共同声明の署名運動が始まった。
呼びかけ人に、67歳の笙野頼子(しょうの・よりこ、1956年3月16日~)、62歳の小菅信子(こすげ・のぶこ、1960年8月26日~)は、71歳の堀茂樹、63歳の三浦俊彦(1959年7月30日~)、56歳の森奈津子(1966年11月23日~)らがいた。

2023年(令和5年)5月8日、『世界』「特集1:現代日本のSNS空間」「特集2:もうひとつの資本主義へ宇沢弘文という問い」6月号(本体850円)が発売された。
58歳の安田浩一(1964年9月28日~)(ノンフィクションライター)×小川たまか(1980年~)(ライター)の対談「「Colaboバッシング」とは何なのか」が掲載された。

2023年(令和5年)5月10日、GoogleBardが全世界で一般公開され、日本語に対応した。

2023年(令和5年)5月23日、『月刊紙の爆弾』6月号増刊、56歳の森奈津子編『人権と利権「多様性」と排他性』(鹿砦社、本体900円)が刊行された。

2023年(令和5年)5月30日、『週刊朝日』6月9日号(560円)が刊行された。
表紙の写真撮影は浅田政志だ。

1922年(大正11年)2月25日に、毎月5日、15日、25日発行の『旬刊朝日』(10銭)として創刊され、同年4月2日号(5号)から週刊の『週刊朝日』となった同誌が101年を経て休刊した。

2023年(令和5年)6月23日、東京都小平市の私立女子大学、津田塾大学がホームページで、2025年4月の入学者から、戸籍などでは男性で、性自認が女性のトランスジェンダーの学生を学部、大学院で受け入れることを公表した。

2023年(令和5年)7月6日、65歳の島田洋一(1957年10月23日~)著『腹黒い世界の常識』(飛鳥新社、本体1,400円)が刊行された。

2023年(令和5年)7月24日、TwitterX(エックス)に改称した。

2023年(令和5年)7月28日、東京・神保町のイベントスペース読書人隣りで、61歳の田中秀臣(たなか・ひでとみ、1961年9月7日~)と57歳の栗原裕一郎(1965年9月28日~)のトークイベント「不寛容な時代に抗う言論は肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える」が催された。

週刊読書人』2023年(令和5年)8月18日号(495円)に、田中秀臣栗原裕一郎のトークイベント「不寛容な時代に抗う言論は肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える」が採録された。

週刊読書人』2023年(令和5年)9月5号(495円)に、田中秀臣栗原裕一郎不寛容な時代に抗う言論は肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える」への反論、水上文不正義に抗う言論は未来のために、より良い言論空間を開く」が掲載された。

2023年(令和5年)9月27日、神原元弁護士が、43歳の呉座勇一が「女性差別的文化を脱するためにオープンレターが名誉毀損で違法であるとの主張を撤回し和解を申し出たので、オープンレター側は和解に応じることとしたと報告した。

2023年(令和5年)10月13日、「岩波現代文庫」、桐野夏生著『日没』(岩波書店、990円)が刊行された。
解説は沼野允義だ。

2023年(令和5年)11月1日、43歳の呉座勇一国際日本文化研究センターに助教として復職した。

2023年(令和5年)11月15日、前橋地裁で、76歳の黒岩信忠町長が54歳の新井祥子ら3人に損害賠償を求めたを民事訴訟の口頭弁論の後で、新井祥子の代理人弁護士が取材に対し、性被害の一部を虚偽だったとした。

2023年(令和5年)11月16日、ジェイソン・モーガン(Jason M. Morgan、1977年~)、34歳の我那覇真子著『日本はアメリカの悲劇に学べ!LGBTの語られざるリアル』(ビジネス社、本体1,600円)が刊行された。

2023年(令和5年)11月27日、一般社団法人Springが「第38回東京弁護士会人権賞」を受賞した。

2023年(令和5年)12月2日、アビゲイル・シュライアー著、64歳の岩波明(1959年2月18日~)監訳・解説、村山美雪(1968年~)、高橋知子寺尾まち子(1964年~)共訳『あの子もトランスジェンダーになったSNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(KADOKAWA、本体2,400円)の2024年1月24日の刊行が告知された。

はじめに 伝染
少女たち
困惑
インフルエンサー
学校
ママとパパ
精神科医
反対派
格上げされたもの、格下げされたもの
身体の改造
10 後悔
11 あと戻り
おわりに その後

2023年(令和5年)12月4日、「よはく舎」代表・編集者の小林えみが、アビゲイル・シュライアー著『あの子もトランスジェンダーになった』刊行に関して、KADOKAWAへ「トランスジェンダー差別助長につながる書籍刊行に関しての意見書」を国内外の出版関係者24名による賛同コメントをつけて提出した。

「昨今の差別の激化状況を鑑みると、本書の著者であるアビゲイル・シュライアーが扇動的なヘイターであり、本書の内容も刊行国のアメリカですでに問題視されており、トランスジェンダー当事者の安全・人権を脅かしかねない本書の刊行を、同じ出版界の者として事態を憂慮しています」とある。

2023年(令和5年)12月5日、新井祥子が前橋地裁でおこなわれた民事裁判の中で、レイプは虚偽だったことを認めたことを受け、「一般社団法人Spring」が新井祥子の支援を撤回し、謝罪した。

2023年(令和5年)12月5日、KADOKAWAが、アビゲイル・シュライアー著『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行中止を発表した。

2023年(令和5年)12月6日、Googleが文書、画像、音声、動画、プログラムコードなどを同時に認識する生成人工知能「Gemini」の中級版
Gemini Pro」のイングリッシュ語版をBardに搭載した。

2023年(令和5年)12月9日、『週刊SPA!(スパ)』(扶桑社)が運営するニュースサイト『日刊SPA!』に、昼間たかし(1975年~)「発売中止の「トランスジェンダー本」には何が書かれているのか…原書を読んだ記者が思ったこと」が掲載された。

2023年(令和5年)12月10日、66歳の島田洋一のYoutubeチャンネル「島田名誉教授チャンネル」で『あの子もトランスジェンダーになった』の刊行中止と伝統的な家族制度の解体についてライブ配信(45分)がおこなわれた。

2024年(令和6年)1月20日、プレジデント社が運営する総合情報サイト『PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)』で、55歳の武蔵大学社会学部教授・千田有紀「海外で話題のトランスジェンダー本が日本で発売中止」社会学者が「とうとうそこまできたか」と思ったワケ性別違和に悩む子どもたちの助けになったのではないか」が公開された。

2024年(令和6年)1月22日、前橋地裁が54歳の新井祥子被告と共謀し、草津町の黒岩信忠町長の名誉を傷つけたとして、57歳の飯塚玲児が名誉毀損により懲役1年執行猶予3年を言い渡した。

2024年(令和6年)2月16日、アニメイトが、21日発売予定の暇空茜著『ネトゲ戦記』(KADOKAWA、税込み1,650円)の取り扱いを中止すると発表した。
暇空茜によると、「暇空茜の本を販売するなら京アニ事件を起こしてやるとの脅迫が届いた」ためだとされるが、この事件をマスメディアは一切報じなかった。

2024年(令和6年)2月21日、暇空茜著『ネトゲ戦記』(KADOKAWA、税込み1,650円)が刊行された。

2024年(令和6年)4月3日、産経新聞出版から、アビゲイル・シュライアー著、岩波明監修、村山美雪高橋知子寺尾まち子訳『トランスジェンダーになりたい少女たちSNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』が刊行された。

2024年(令和6年)6月8日、KADOKAWAグループが「BlackSuit」を名乗るハッカー集団によるランサムウェアを含むサイバー攻撃を受け、システム障害が継続したばかりか、個人情報のデータが大量に盗まれた。

2024年(令和6年)6月12日夜、3人組のロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の日本コカコーラ新型FREED」のCM新曲「コロンブス」のミュージックビデオがYouTube上で開された。
アメリカ大陸の先住民を類人猿に見立てていることが問題視されたため、すぐに公開停止され、日本コカコーラは同曲を使用したすべての広告素材の放映の停止を決定した。

2024年(令和6年)6月20日、暇空茜が「ひまそらあかね」の候補者名で2024年東京都知事選挙に立候補した。

2024年(令和6年)6月27日、50歳の津田大介(1973年11月15日~)のポリタスTVのYouTubeチャンネルで津田と40歳の辻田真佐憲(つだ。まさのり、1984年~)との対談動画「「コロンブス」MV炎上から考える歴史上の人物評価の変化社会の価値観の変化で変わる歴史上の人物の評価とどう向き合うべきか」(70分20秒)が公開された。
対談の中で、15分過ぎ頃、津田が、KADOKAWAのサイバー攻撃事件に触れ、辻田がこう述べた。

「まあだから、最初はね、一週間ぐらいで復旧するのかと思ったら、NewsPicksの報道[6月23日公開の「【検証】専門家は、KADOKAWAをどう見るか」]がありまして」
「まあ、もちろんNewsPicksの内容がどこまで正しいかっていうのは、わからないですけれども、第三者はね」
「もし事実なんだとすれば、かなり、まあ個人情報とかも抜かれてるんだ、という話ですから、で、KADOKAWAの動画は、その、私やってませんけど、角川書店とは取引とかもしてるので、当然、住所とか銀行口座とか、なあ、そういうふうにいっぱいあるわけよ」
「で、場合によっては、ほら、覆面作家みたいに本名出してないでやってる人もいるわけじゃないですか。そういう人もだから住所とか名前とか出ちゃったりする……」

この発言を受け、津田がこう述べた。

「いや、だからインフルエンサー本、KADOKAWAたくさん出してるからね、そういうものが全部わかってしまうみたいな……。ていうか、ていうか、あれが出てますよね、確か。それこそ暇空茜(ひまそら・あかね)氏の『ネトゲ戦記』っていうの、確かKADOKAWAからでしょ、あれ?」
「そういうのだけ流出すればいいっていうの。普通にね、それだけね、みんなに見れるよう流出すればいいっていう気がしますけど」

2024年(令和6年)7月11日、ダイヤモンド社のビジネスパーソン向け情報サイト『ダイヤモンド・オンライン』で、会員限定記事、橘玲(たちばな・あきら、1959年~)「話題の書『トランスジェンダーになりたい少女たち』を読んで考えたこと」が公開された。

最初に述べておくならば、本書はトランスジェンダーを差別したり、偏見を植えつけたりするようなものではなく、そもそもトランスジェンダーについて述べたものですらない。著者の主張を要約するなら、「2000年代になってから、アメリカではトランスジェンダーが10代の(主に白人の)女の子のあいだでファッション化し、それによって多くの弊害が生じている」になるだろう。トランスジェンダーは、このCraze(文化的熱狂)の被害者なのだ。

『トランスジェンダーになりたい少女たち』で書かれているのはいまのアメリカ社会で現実に起きていることであり、親が不安に思うのも当然だろう。だが本書がトランスジェンダーの活動家たちから強い反発を受けたのは、「最初に結論(善良な母親が突然、トランスジェンダーになった娘に翻弄される)があって、それに合わせた事例を集めているのではないか」と思われたからではないだろうか。
 だからといって出版を中止させる理由にはならないが、キャンセル運動が起きた背景には納得できるものがある。

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