月-yue-

怪文書を吐く人

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最近の記事

生きている

君の好きなボーカリストが歌ってる 気怠い低気圧の夜のような 頭痛のようなうたを歌ってる 君の好きなバンドのライブに行ったんだ ひとりで行きました 今度行こうねって話してたけど 僕はひとりで行ったよ 会えぬ人が死びとと変わらぬのであれば 僕の心もきっと解けてゆきましょう 答え合わせが怖いだけだ 合わせる顔もないしな 君の好きなボーカリストが生きている 死んでるみたいでも生きている 僕の希望はそれだけなんだ ほんとそれだけ

    • 死神は春に生まれ来て

      死神は春に生まれ来て 東洋の島の 水仙咲く初春 生まれしは 美しき死神 眸は蛇で 鎌は持たず ただ音を紡ぐ長い指 跨る馬の名は絶望 彼は唄った 借物の声で 只管唄えば 軈てその音は充たす 巨大な箱庭を 滅亡の年の 鈴蘭咲くときに 目覚めしは 麗しき死神 爪は珠玉 羽を持たず ただ凛と立つ銀の背骨 発声器官の名は奇跡 彼は唄った 彼のその声で 只管唄えば 軈てその音は響く 無窮の地の果てへ 姿顕した死神 視覚すらも捧げて僕は 息も絶え絶えで悟る 待つのは清潔な破滅だ

      • RASEN phobia

        Die Zeit heilt alle Wunden!? ずっとほざいてろ おまえなんかな 嫌い 嫌い 嫌いだ みんなみんな死んだぜんぶ ぼくの前を通りすぎて だけどだけど変だなんか なんでなんで奴がここに? 貴様の屍体は六月に 朧に月をかくしただろう!? 貴様の屍体は九月末 地面のシミも消えただろう???!!? DOKTOR!!!! そうかこれはわるい夢か はやく醒めてしまわないと だけどまたも替わる大気 なんで奴らまでがここに??? 貴様の屍体は十月の 紅葉

        • 告解

          腐敗を経て二度死なせたくて きみのはじめてを火葬すんだよ 解せぬことばかり越えたさ べたべたと厭らしく纏い付くね 経験ってものは いつだってそうで だれだってそうで 識るほど汚れていくのがわかって まだ恋はパレイドリアでも 優しい停滞を求めてる わかるよ わからないってわかるよ わからないって愛想で笑って 後で中指立てんのもわかる いつだって僕は写実主義だよ ちっとばかし夢想家なだけの 悲しい理屈屋 そんで上手く死ねないだけの 高機能な扁桃体に 見つかっちゃったきみには 内緒

        生きている

          4番線の葩

          ぴんく ぴんく 白 きいろ 赤、 赤、赤、赤、赤、線路の葩よ 牙を抜かれた獣はいまこそ 毒を纏いて生まれ変わった 悲鳴 悲鳴 呆然と怒号 もっと花弁を散らせよ葩よ 痛みなど最早、恐るるに足らず 総て暴け世界の欺瞞を 京王電鉄駅員の 溜息はもうエコーチェンバーさ そして憂世は死んでいく ゴム手袋越しに死ぬんだね ぴんく ぴんく 白 きいろ 美辞も麗句もただ真空で ならば何度でも咲けよ葩よ キミも知らない答えを見せてよ

          4番線の葩

          Others'〜蛇王の最期

          翻る須臾の鱗を 聖騎士の矢が撃ったときいて たしかに首級は見知った眸 まだ柔い頬にすべる指 でも待ってくれ、果敢な射手よ! ファンファーレが鳴らないじゃないか!? 羽のないそのいきものが しゅうと舌を出し哂ったときに 心臓がこう俘囚に甘んじ 論う死の馥郁を 気付けば愛してしまっていたのだ 「翻る須臾を射止めよ」 細動する、蠕動して煽動する、 緩い殺意は舐らるるままに。 でも待ってくれ、麗しき君よ! その牙の毒をぼくに注いだら ああ待ってくれ、ぼくはまだ君の まだ君の名も知

          Others'〜蛇王の最期

          天は粟を雨降らし、

          ジュラルミンの棺桶と汗ばんだ君の手と 混ぜ合わせた絵の具のように道徳は滲んでく この儘ぼくらはどこにでも行けるだろうか それとも死体になるまでここで 無味の幸福を愛でるのだろうか 酩酊と悪夢のあわいの束の間の現実が だらしなく垂れる長針をことさらに光らせる 騎馬の嘶きがやっとの眠りを妨げて 不快を顕にした儘で君は左の口角を上げた 髪の長い友人がこの程甘味を口にしないのは 痺れの中に焦燥の味を聴くからだと謂う その白い腕と剃刀の刃との番う地点こそ 永遠であれかしとぼくらは譫

          天は粟を雨降らし、

          飛蝗ナツキくん☆電撃AVデビュー!!

          前世は神の愛犬なのさと ユメに託けてわらった 、、 べえ その実ただのメンヘラのくせに ユメを見ていた彼の話だ。 銀河のフリスビー投げ合った 遠い夏はもうここにないね 回旋塔の薄長い影で いびつな恋が音もなく割れた きっと間違ってなかったんだよ ただ痛みの前では正しさなど無力なだけで 愛されたい訳じゃないから 一晩だけで構わないから 真実などは彼自身にすら分からないからね ボクには君しかいないから 今夜は飲みで遅くなるから 饐えた自己愛で酔い潰れては 毎朝二日酔いだし

          飛蝗ナツキくん☆電撃AVデビュー!!

          MasKed bOY

          仮面の下ぢゃきみの素顔が 哭いてたってだれもみてません それって悲しいことかい そう思うならってどうもならんやん 道化のメイクがとっても上手さ 人心ツカむの、もっと上手さ 呆気なく生まれ変わッても まぁそれはそれでいいんじゃないすか 1.「涅槃」「嗜虐」と「弑逆」注いで 2.「規範」「無力」に「感」を少し塗り 3.上澄みの「愛」で香り付けたら 4.あとは美味しくいただきます! ねーそこのきみ 僕とROCK致しませんこと?それか 一緒に踊りませんか?一晩だけだが 輝かしい

          眼球アナルと死の腺液

          ――13丁目の麻辣通りで 悪夢の欠けらが見つかりました。 捜査は難航、残る手掛かりの 味醂の匂いをたどるイヌ 「鷺浦市連続脳内ハック事件」の 被害者への聴取は困難―― 主犯はいう。死を想え。 共犯Aはただ哂う。 共犯Bは彼此3日も融かした脂肪で声明文を綴り続けてる。 主犯はいう。生をみよ。 共犯Aは指を咬む。 共犯Bは彼此3日も砂糖を舐めて推敲作業の手を止めずいる。 彼らは指を搦めたままで。 ――「鷺浦市連続脳内ハック事件」の 被疑者は意味不明の供述を―― 眼孔鶏姦と謂

          眼球アナルと死の腺液

          統合に難があっても長谷部くんは陽キャです

          宇宙総司令部が彼を付け狙ってます 宇宙総司令部が彼を付け狙ってます どっかの宗教団体が彼を付け狙ってます どっかの宗教団体が彼を付け狙ってます だから闘わなくちゃね長谷部くん だれも耳を貸さないし 皆が君を嗤うだろうが 選ばれし者の矜恃のもとに 「闘わなくちゃ」と長谷部くん 統合に難があっても長谷部くんは陽キャです 行ったり来たりの袋小路、軽く飛び越えた壁 人生はなんといっても伽藍堂の伏魔殿 装飾された地獄にあんのは絢爛豪華なウソ そりゃノーミソだって嫌気がさして イタ

          統合に難があっても長谷部くんは陽キャです

          シオランの墓標

          罷り間違う不在 ラディカルな厄災 番い I am 奴隷 愛玩具な存在 アナーキー・ダーティ・ワーク「無罪」 マニアックな崇拝 死体→ライラック→腐敗。在りますか?救済 重い命がとっても軽くて 尊い命は使い捨て 切なる願い「死にたくないよ」を 嘲笑うように時は経つ やめてよ、その墓標には 唾を吐かないでそっとしといて 何に縋ればいいんだ? 何を歌えばいいんだ? 帰れない、首を吊らなけりゃ 眠ってもなんも終わっちゃくれない 僕に出会えてよかった? それで満足かい、そう

          シオランの墓標

          笑うかいじゅうと泣くかいじゅう、それから。

          笑ウかいじゅう名をガティアと云います 種族はかいじゅうです でも自らをヒトと信じたまま 大人になりました 当たり前のことが 蜘蛛の糸みたいに 張り巡らされてるこんな世界を 嘲笑しています 奴が「右を向け」って言った みんな右を向いて命令を待ってる 彼はhi-liteに火をつけて ゲーセンに向かいます ただしいひとが石を投げりゃ 彼はコンクリ片で そいつの頭をカチ割るんです ニヤリと嗤い 笑うかいじゅう ガティアくんです 名をガティアと云います 思考が大好きです 彼

          笑うかいじゅうと泣くかいじゅう、それから。

          ウツロねこ症候群

          機能しないシステムも システムの機能だよって 誰か言ったならそいつ呼んできて 0も弐もグラハム数も ここに収束するよって 誰か言ったならそいつ連れてきて ハチワレのニャーゴ 車に轢かれて カナヘビのカナト 虫かごで死んで ニンゲンの僕はNotサピエンス 待て 偉大なる同志の御前だ! 量子もつれとデスマスク 言いたいことってそれだけ?ばーか 痴情のもつれとてピラルク アンタの好きなサカナ飼えばいい

          ウツロねこ症候群

          ぼくのハンス

          さっきのサラダと糞便、ザーメンで君は歓喜した。描破せらるべき凄艶、誓言にぶちまけてんだ。まるで。 身体は即ち、皹入った電球の遺骸。膺懲せられるべきぼくらのまだ明けぬ夜は終わらせない。 ブツ切った蛇のスープ。 調味料は適当で良し。 それと鮪の目玉。 山葵は多めが宜しい。 ねェ? まったくこんな要らん器官に拠り誰も彼も泣いてんじゃん? 「決して侵しちゃいかん」欺瞞だけ正常なみたいな顔な、何なの。 明日は牧場にでも出掛けるかい? さっきのサラダにスパイス、流血で君は狂喜した。斬首

          ぼくのハンス