死神は春に生まれ来て

死神は春に生まれ来て


東洋の島の
水仙咲く初春
生まれしは
美しき死神

眸は蛇で
鎌は持たず
ただ音を紡ぐ長い指
跨る馬の名は絶望

彼は唄った
借物の声で
只管唄えば
軈てその音は充たす
巨大な箱庭を

滅亡の年の
鈴蘭咲くときに
目覚めしは
麗しき死神

爪は珠玉
羽を持たず
ただ凛と立つ銀の背骨
発声器官の名は奇跡

彼は唄った
彼のその声で
只管唄えば
軈てその音は響く
無窮の地の果てへ

姿顕した死神
視覚すらも捧げて僕は
息も絶え絶えで悟る
待つのは清潔な破滅だと

彼は唄った
僕の眼の前で
慄える大気
嗚呼!そしてその音は運ぶ
秩序立つ狂気

僕は逃げ出した
迷い走り
末は出会った場所で
最早逃げ場などないと
総毛立つ脳髄

倒れ臥せば
青い、青い空を背負い
彼の笑う
逆しまの姿

いきさつ

米津玄師さんが好きすぎて数年前に書いたやつ。。僕が見てる彼を書いた

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