眼球アナルと死の腺液

――13丁目の麻辣通りで
悪夢の欠けらが見つかりました。
捜査は難航、残る手掛かりの
味醂の匂いをたどるイヌ
「鷺浦市連続脳内ハック事件」の
被害者への聴取は困難――

主犯はいう。死を想え。
共犯Aはただ哂う。
共犯Bは彼此3日も融かした脂肪で声明文を綴り続けてる。
主犯はいう。生をみよ。
共犯Aは指を咬む。
共犯Bは彼此3日も砂糖を舐めて推敲作業の手を止めずいる。
彼らは指を搦めたままで。

――「鷺浦市連続脳内ハック事件」の
被疑者は意味不明の供述を――

眼孔鶏姦と謂うは此のソドムに於いても紛うことなき罪といわれます、但し一体なにものが其れを咎められるというのか、咎められぬというならば、きみ、其れを罪業たらしめるものが見えますか、悪と戒とは鏡写しでは無かったか、生と死のその在り方もそうだ、生きずに死ぬことができますか、其のものを視認できぬということが、其れの非存在を斯くも鮮やかに確定してしまうことの残酷さ!……われわれは其れを恐れたのです、畏怖などではない純粋なる恐怖です、すべての恐怖の核に対峙し、動けぬことこそ真に恐ろしいものでしょう、そうです、無効を承知でわれわれは恐怖を陵辱したのです、眼孔鶏姦と謂うは喜劇的な悲劇の欠けらです。きみ、われわれは「紛うことなき罪人」でありますか。

――13丁目の麻辣通りで悪夢の欠けらが見つかった、通称「鷺浦市連続脳内ハック事件」の続報です。被疑者の少年が獄中死。現場より中継です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?