Others'〜蛇王の最期

翻る須臾の鱗を
聖騎士の矢が撃ったときいて
たしかに首級は見知った眸
まだ柔い頬にすべる指
でも待ってくれ、果敢な射手よ!
ファンファーレが鳴らないじゃないか!?

羽のないそのいきものが
しゅうと舌を出し哂ったときに
心臓がこう俘囚に甘んじ
論う死の馥郁を
気付けば愛してしまっていたのだ

「翻る須臾を射止めよ」
細動する、蠕動して煽動する、
緩い殺意は舐らるるままに。
でも待ってくれ、麗しき君よ!
その牙の毒をぼくに注いだら
ああ待ってくれ、ぼくはまだ君の
まだ君の名も知らないじゃないか!?

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