仕事と日本と外国人⑧<ほどこし>

34歳。
1年程前から、都内で外国人を日本企業に紹介する小さい会社をしています。徒然なるままに書きますので、取り留めのない文章になります。

過去記事からの流れもある部分もありますので、もしよろしければ過去記事もご覧ください。   
https://note.com/latin0626/n/n1279240b1dbe https://note.com/latin0626/n/nb4131294c97a https://note.com/latin0626/n/nb2e74cbbfe32 https://note.com/latin0626/n/nb1c5067c80fe
https://note.com/latin0626/n/n3d4d5f30f8a4
https://note.com/latin0626/n/n82486a582908
https://note.com/latin0626/n/n3a5fcdc9a635
すべてが当てはまるわけではなく、日本で外国人が住んでるとそういうこともあるんだねって感じで読んでください。

<今日のお題 ほどこし>
「一口ちょうだい!」
子供の頃や大人になってからでも、誰もが一度は言ったことであろうセリフですよね。

これは僕が以前働いてた会社の時の仕事で、カンボジアに1ヶ月程滞在していた時の事です。
僕は、飲食を中心に何店舗かをグループでやっている会社のマネージャーとして勤務していました。
その中にカンボジア・シアヌークビルというビーチリゾートを開発しているエリアで、2Fがシェアハウス、1Fがラーメン屋さんをやっているお店がありました。
その当時のカンボジアは、まだ中国資本が入る前で、白人やバックパッカー、日本人がほんの少しいる程度。当然、現地で雇用しているカンボジア人にとっては日本人が珍しく、最初はよく中国人と間違えられました(笑)
そして彼らの給与は、月/100ドル(約1万円)です。日給では月給がです。
その時の物価は日本に比べたら大体7分の1ぐらいですが、生活するにはギリギリです。
そんな中のある平日の夕方、スコール(日本でいうゲリラ豪雨が頻繁に起こります)があったこともあり、夕飯にはまだ少し早い時間なので、お店はヒマでした。テラス席でスタッフ達3人ぐらいとダラダラと世間話をしていると、一人の女の子のスタッフが屋台(高速ボートの乗り口が真横にあって、その前の広場にはよくリアカー引いたおっちゃんやおばちゃんが屋台を出していました)からマンゴーを買ってきました。
カンボジアは日本で言う完熟の黄色いマンゴーとまだ熟れる前の緑のマンゴーなど複数あり、彼女は緑の少し硬いマンゴー(日本でいうりんごの食感に近いもの)を買ってきました。
すこし大きくカットして5,6切れぐらいが入ったのを、一つ20円か30円ぐらいで買ってきたマンゴーをその場にいたみんなに配り出しました。
みんなも当然のようにすっと手を出して、もらいます。
最後に僕のところに来て、「あなたはまだマンゴー食べた事ないでしょ?一つ取って、ここにあるトウガラシパウダーを付けて食べてね!」って言うんです(緑のマンゴーは少し硬くて甘味があまりないので、こういった辛いものと食べるそうです。日本人的に言うとスイカに塩的なやつです)
彼女が差し出す容器を見るともう2つか3つぐらいしか残ってなかったと思います。
僕は「いや、僕は大丈夫だから、せっかく君が自分のお金で買って来たんだから、食べなよ!もう2つか3つぐらいしか残ってないよ」って伝えました。そうすると彼女が「大丈夫!食べて」って笑顔で言うんです。
一つ取って、いただきました。僕は辛いのが苦手なのですが、彼女の言う通りにパウダーを付けて食べました。美味しいけど、やっぱり辛い!(笑)
けれど、なんかすごく美味しかった。
彼女に「美味しかったよ、ありがとう」って伝えると彼女も嬉しそうに笑顔で頷きました。
僕はこの時の経験がすごく印象に残っています。
それは「ほどこす」ということを自然にやっているから。
日本人はさり気なくとか、嫌味なくは出来ると思います。
ただ、あのあげるのが当然という空気というか、雰囲気は出せないなーっと思いました。
ここだけを書くとすごく美しいですが、彼ら、彼女らはもらうということも自然にできるからだと思います。
マンゴーをもらう数日前に、僕がレジのお金を計算している時に、横を通りかかったさっきの彼女は笑顔で手を差し出します。
僕が「んっ?」みたいな顔をすると、「10ドルー」と言いながら笑っています。「おい!」っとツッコミを入れるとそのまま笑顔で去って行きます。

持っていればあげる、持っている人にもらおうとすることが自然にできる。
いいか悪いかではなく、彼らにはこれが文化にあるんだなと。
そういった彼らの自然体は僕はすごく好きです。
では、また。

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