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長編小説 ロング・キャトル・ドライヴ

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連載小説   1890年代 アメリカを舞台に フェルディナンドとユーレク 少年二人の旅を描きます。
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2022年11月の記事一覧

ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載4/4 「霧夜のワルツ」

ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載4/4 「霧夜のワルツ」

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これまでのあらすじ

1859年
ガットリンバーグの天使と云わしめる
美しいアルビノの双子姉妹
アレクサンドラとソフィアは14歳となった。

アラバスター彫刻を彷彿とさせる
透明な白い肌__

彼女たちの存在は宗教絵画から
飛び出してきた天使と思える程に
その美貌はこの世の奇跡と云ってよかった。

ノックスビルはおろか遠くの都会からも
噂を聞いた

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ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載3/4 「アルビノの双子姉妹」

ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載3/4 「アルビノの双子姉妹」

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これまでのあらすじ

ユーレクはかがみ込むようにして、
泣き出すソフィアをなだめている光景は
傍目から見ると滑稽に映るかも知れない。

大人である中年男性がさめざめと泣いていて
少年が頭を撫でて慰めているのだから。

ユーレクはとても親身になって
ソフィアの話す言葉に耳を傾けていた。

「アレクサンドラって、君の双子姉妹かい?」
とユーレクが訊ね

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ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載2/4 「憑依」

ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載2/4 「憑依」

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これまでのあらすじ

後ろ姿で橋の上に立っている
双子の少女たち__

若い馭者とユーレクの目撃した内容は
ことごとく一致していた。

しかしながら、
俺には全く見えていなかった。

ユーレクの妄想かと思いきや、
目撃者がもう一人現れたことで真実味を帯びる。

そして、もう一人
中年男性の馭者の様子が気になった。 

「叔父さん!起きるんだ。」

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ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載1/4 「フラッシュ・バックする幻影」

ロング・キャトル・ドライヴ  第三部 連載1/4 「フラッシュ・バックする幻影」

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これまでのあらすじ

第三部

日曜日は教会で祈りを捧げる__ 。

敬虔なカトリック教徒である
エリザベスにとっては
ごく当たり前の習慣である。

最近、入ってきたオリヴィアも
すんなりと人の輪に溶け込んでいた。

彼女は気配りが効いていて、
面倒見が良い姐御肌の雰囲気があった。

エリザベスもいつの間にか、
他愛のない話しや身の上話をする間柄

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