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「俺たちの本当の戦い」はもう始まっている

俺たちの本当の戦いはこれからだ!

みたいな、ジャンプ漫画の唐突な打ち切られ感満載のセリフ。

セットで
「〇〇先生の次回作にご期待下さい!」

これ実際に言っている人が結構いる気がする。
主に、現状に満足していない人。
子供の頃思い描いていた未来と現実が大きく乖離していて、それを認めたくない人。

うちの夫もそうでした。
ちなみに今は全く言わなくなりましたが、昔彼が鬱まみれになっていた頃、よく言っていました。
なにかにつけて「俺の人生、俺がまともに働き始めてから始まるんだ」と。

でも残念!
もう始まってるから。
あなたの人生40年近く前に始まっちゃってますから。

そして、その人生を私も隣で一緒に歩いていますから。
勝手に今この瞬間を無価値なものにしないでいただきたい。

夫は、働けなくなった現状を認めたくなくて「俺の人生」を一旦停止にしていた。

あと、こんなパターンもある。
「私の本当の人生は、彼と結婚してから始まるんだ」とか。
「俺の本当の人生はバンドで成功してからスタートなんだ!」とか。

時間は正確で時に残酷だ。
生きている限り、人生は一旦停止には出来ず、時は前に向かって進み続けるのみだ。

例え現状が、子供の頃に思い描いていた輝くものでなかったとしても、人生が輝く時まで息を殺して死んだふりをしているわけにはいかない。
人生を輝かせたいと思うなら、なおさら輝いていない「今」に注力するしかないのだ。
基本的に、何もせず待っていたって人生は勝手に輝き出したりしない。

思わぬ幸運が降ってくることがないとは言わない。
でもいつ振ってくるかは誰にも分からない。
3か月後に宝くじが大当たりすることが分かっているなら、私も今日からその日まで寝て暮らす。
そうさ、もう今日から仕事なんて適当にやり過ごしてひたすら幸運の日を待つさ。
あと、明日有休とって、ヴァンクリーフ&アーペルの、あのネックレス買ってくる!(未練)

でも幸運の日が30年後だったら?
私はこれから、その30年後に照準を合わせ生きていくのか?
自分のたった一度の人生の大半を、何かが起きるまでの長い待ち時間としちゃうのか?

人間に与えられた時間、それは「今」だけだ。
今が過去となり、今が未来となる。
そして、その「今」は、例え自分が立ち止まっていても無慈悲に勝手に前に前に進んで行ってしまう。


苦しい時に、立ち止まるなと言っているわけではない。
時には全てを投げ出してしまったっていい。
現実逃避だって立派な一つの生きる術となることがある。


かく言う私もあるのだ…
日々の生活に疲れて、というと大げさだけど仕事が忙しい時期の平日とか、「私はお仕事ロボット。目の前の仕事を滞りなく片付けることだけ考えるようプログラミングされている…」みたいな低燃費至上主義的思考になっちゃって、仕事以外の時間を蔑ろにすること。

夫が面白い話をしていても、息子が構ってほしそうでも「週末まで待って、月末まで待って。この仕事が無事終わったらたくさん話聞くし、いっぱい構ってあげるから」って。

一週間、一カ月仕事が無事終わるまでお仕事ロボットとして生きるの、私?
冷静に考えたらそんな生き方嫌だ。
これって「仕事が片付いてからが俺の本当の人生スタートだ!」という思考じゃないか!

あれが片付くまで、これが終わるまで…なんてことを繰り返しているうちにきっと人生はあっという間に終わってしまう。

5分でいいから今、夫と他愛のない話をして笑い合うこと。
5分でいいから今、息子を抱きしめて頬っぺたすりすりすること。
仕事の時間も大事だけどむしろこっちのほうが私個人の人生での重要度は、断然高い。
無理のない範囲で、でもどんな時も今を大切に生きること。

そんな時間の積み重ねがいつの間にか人の人生を輝やかせる。

生まれた時から否応なしに始まる人生は、正確に残酷に、でも公平にひたすら前へ進んでいく。
なかったことにしたくても、無かったことにはならない、この、ままならない人生。

「俺たちの戦い」はもうずっと前から始まっている。
そして、マンガと違ってあなたの人生の「次回作」は、多分ない。
(生まれ変わりとか輪廻転生とかのことは私には分からないけどね)

どんな「今」でも生きよう。



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