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災害ではこころにも手当てを

 東日本大震災から10年、被害に遭われた皆様に、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。
HIPCom研究班 代表の島田恭子です。

 けがをしたらまず絆創膏で応急処置するように、こころにも応急の手当てが必要なときがありますよね。
災害ではまず身の安全が第一ですが、多くの人がこころにも傷を負います。たとえば目の前で大切な人が津波に流される姿をみた子どもは、どんなにかこころに傷を負うでしょう。
にもかかわらず災害のあわただしさのまま、適切な処置がされず、後遺症に苦しむケースが数多くあるのが現実です。

 自然災害や人災 (飛行機事故、犯罪・テロなど)で、被害を受けた方々と関わるとき、どのように声かけをし、どんなことに気をつけて接するのがいいかという声から生まれたのが、心理的応急処置(Psychological First Aid: PFA)です。突然、危機的なできごとが起こって、驚く間もなく苦しんでいる方の心理的回復をお支えするための、人道的・支持的・実践的支援をまとめたものです(個人的には後述する“3つのL”など、わかりやすくて好きです)。

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 世界中で一番多く用いられているWHO (世界保健機構) 版が日本に導入される際、その普及活動・指導者研修に、私も少しだけ関わらせていただきました。
 PFAはもともと現場で被災者支援にあたる専門職向けのものですが、その内容は被災者支援にあたる専門家だけでなく、非常時にわたしたちが、まわりにいる方々にどう接するか、まわりの人たちとどう助け合うかについても、とても役立つ情報だと感じています。
心理的(サイコロジカル)という言葉になっていますが、その後の社会的生活の支えあいや、災害弱者、支援者自身のケアも含まれた大変有用なパッケージです。
 またまわりにいる子どもたちに対しても、役に立つものになると思います。災害時は支援者自身も被災し、ストレス状況にいます。そんな非常事態では、簡単でわかりやすい、 “3つのL”などが頭に入っていれば、対応が大きく変わるでしょう。

<< 3つのL >>
(1)見る/Look : 子どもの安全確認、緊急対応が必要な子どもを探す、深刻なストレスを抱える子どもがいないか確認
(2)聴く/Listen : 支援が必要な子どもに寄り添う、話に耳を傾け、きもちを落ち着かせる
(3)つなぐ/Link : 適切なサポート、問題対処への手助け、支援につなぐ、必要な情報を提供する

 東日本大震災から10年、いつまた私たちの身の回りに大きな災害がおこるかわかりません。そんな時、私たち大人は、まわりの子どもたちにどう接したらよいのでしょう。
 わたしたち大人の心がけ、声かけ、行動次第で、その後の子どもたちのこころの傷の癒え方が、おおきく変わっていくでしょう。

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 Save the Children Japanさんが、子どものためのPFAを発行されています。https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/PFA_191003.pdf
震災から10年。ぜひこの機会にご参考になさっていただけたらと思います。

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