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子どもの心に「響く言葉」とは?教師現役時代の記録から紐解く「コトバノチカラ」

12月初の週末が終わりを迎えようとしています。

1年の最後の1ヵ月。よいスタートは切れましたでしょうか😊

この日曜日の午後を最後のエネルギーチャージにして、明日からも気愛を入れて過ごしていきたいですね🎵

共育LIBRARYへよくぞおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


子どもたちを成長させたい。
我が子が成長してほしい。

そのような願いは、子どもがいる親御さん、子どもに関わる仕事や事業をしている人が、誰しももっているもの。

そして、子どもの成長に欠かせないのが、

「周囲からどのような言葉掛けをされたか」

だと筆者は思っています。

IKEAが行った

「植物をいじめた場合と褒めた場合を比較した実験」

をご存知でしょうか。

(IKEAが行った取り組みの動画。音声は英語。)

「バカ」
「醜い」
「嫌い」

などの言葉を浴び続けた植物は枯れて元気がなくなってしまう。

逆に、

「素敵だね」
「大好きだよ」
「きれいだね」

などの言葉を浴び続けた場合は、見事に成長し続ける。

例え、同じ土、同じ水をもらっていても。

「それだけコトバには力がある」

ということ。

少なくとも、筆者は、そう信じています。

では、具体的にどのような言葉をかければよいのか。

一般論的な答えはあると思いますが、今回は、筆者が教員現役時代に、子どもたちに残していたコメントの記録から、どのような考えで、どのような言葉を掛けていたのかをお伝えできればと思います。

子育て、教育、人材育成など、人を育てることに携わっている方にとって、何かのヒントになればと思います。

是非、最後までご覧ください。


筆者が残していた実際のコメント

筆者は、毎日日記を書かせ、それにコメントをしていました。

ただ、日記のコメントは子どもたちのノートに書いていたので、手元には残っていない。

一方で、保護者向けに発行していた学級通信には、様々な記録が残っています。

今回は、年度終わりに

「1年間の成長」

というテーマで書かせた子どもの作文に対する筆者のコメントを抽出し、どのような意図で、どのような言葉掛けをしていたのかをまとめていこうと思います。

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①子どもの作文の一部抜粋
②筆者のコメント(太字)
——————————————————————

という順番に掲載していきますね。

小学3年生の作文なので、ひらがな表記や、文脈の適切さなどはあしからず・・・

H君
一番成長したのは、「三重とび」。日記でも書きました。さいごの一文。「やっと」。なぜやっとと書いたのか。それは2ヵ月ぐらいかかり、なわのいたさに何度もたえ、何度もびびらなかったからです。ぼくは、その熱さになれたことが成長したことだと思います。

外見はクールに見えますが、その内には熱い焔が秘められています。真っ赤な焔ではなく、青い静かな焔です。自分が決めた目標に向かって、毎日、淡々と、絶やさずに、努力できる青い焔です。人が出来ない大きな努力をするのではなく、誰もができる簡単な努力を、誰もできないほど続けるのです。だから、H君は強い。そんなあなたの静かな熱さが、大好きです。4年生でも、必ず進化を遂げます。

T君
第三に、じゅぎょうのことで成長したのは、百人一首、国語、算数、理科、社会などを成長しました。その中で、一番苦手なじゅぎょうは算数でした。1学期から3学期、算数が楽しくなってきました。先生が、じゅぎょう中にほめてくれたから、算数がすきになりました。全部、先生がおしえてくれたから、べんきょう、なわとび、百人一首、てつぼうなど、いっぱい教えてくれたので、できたと思います。

T君は、この1年で大きく変化した人物です。勉強、運動だけではありません。心が、精神が、人格が、成長したのです。先生の中に強烈に残っているT君の姿。それは、算数や国語の授業の姿です。いつ、どんな時でも、100%全力で取り組み、誰よりも声を出し、誰よりも素早く取り組み、授業を何倍も明るくしてくれました。T君なしでは、最後まで走れませんでしたよ。友に温かく、優しく、穏やかなT君。例え自分1人になろうとも、淡々と縄跳びの練習に励んでいたT君。あなたの美点は、山のようにあります。

Kさん
わたしは、この1年間でいろいろなことが成長したと思います。成長したことは6こあります。・・・第五に、けつろんやひょうろん文を書くのが成長したと思います。なぜなら、2年生のころも、やっていたけれど、3年生で、長くなって10まいは書けるようになったからです。けつろんも、4ページや5ページ書けるようになったからです。

Kさんと聞いて、まず真っ先に浮かんでくるのが「日記」です。土曜日も、日曜日も、祝日も、夏休み、冬休みも全て、1日たりとも欠かすことなく、日記を書き続けました。大晦日や元旦にも書きました。それも、必ず1ページぎっしり。無理のない範囲ではあります。しかし、決して楽な量でもありません。Kさんは、その1.1倍の努力を実に300日以上積み重ねたのです。日記は総合力です。評論文の根拠の明確さは勿論のこと、やるなら全力でやろうという姿勢、人よりも時間がかかろうとも、必ず最後まで書き切る、やり抜く力。鉄棒で、毎日淡々と同じ技を練習できる根気。日記を通じて育てた力が、所々に、節々に、プラスの効果をもたらしています。あの、本田選手も日記を書き続けたといいます。Kさんも、是非。応援します。

Yさん
第二に、てつぼうの成長です。てつぼうは、今では、わたしと友だちのようなものです。わたしは、本当に、本当に、運動が苦手でした。けれど、先生が、「いちど、てつぼうをやってみましょう。」・・・その言葉が、その日、心の真ん中につきささりました。そして、努力して、色んなわざができるようになったのです!!ほぼ、先生のあったかい言葉のおかげです。

読んでいて、自然と笑みがこぼれました。「本当に、本当に、運動が苦手でした。」と書いてある。しかし、今はどうだろうか。苦手どころか
小学6年生でも滅多にできない技を、軽々とやってのけるようになりました。自分が苦手なことを、ここまで伸ばすことができる人間が果たしてどれだけいるのでしょう。あなたは、やってみなくては分からないということを知りました。あなたは、自分の中には、無限に湧き出る、可能性の泉があることを知りました。苦手なことを得意にできたのならば、この先何だってできます。それは、全て、先生の言うことを頑なに信じてくれたYさんの「素直さ」があったからこそ、できたことなのです。「素直な人は伸びる」という四つの伸びるタイプがありました。あなたを見て、それは本当なんだと、今、噛みしめています。

T君
第一に、ぼくは、4月、3ー○組に入って、このクラスはとてもやさしい人が多いんだなーと思いました。それで、先生が分からないところをすぐに教えてくれたから、成長したと思います。

人間性という面において、強く、強く心に残った人物。それがTくんです。あなたほど、接していて、実に気持ちがいい、清々しい気分になる人は、またといません。この一年、あなたのその気持ちのよさと、日記の言葉に、どれだけ励まされたことか・・・。あなたの気持ちのよさは、言い換えれば「素直さ」でもあります。あなたは先生が示した成長の方向を信じ、そこに向かって、常に全力投球で取り組みました。だから、どの分野でも伸びていけるのです。長縄大会で自然と涙を流したのも、長縄大会への思いを、あなたが人一倍、その心で受け止めていたからです。その「素直さ」。これからも磨き続けて。

Mさん
わたしは、この1年間でいろんなことが成長したと思います。まず、わたしはいろんなことが「できる」ようになりました。それは、こうもり、こうもりふりおり、後方かたひざかけ回転、二重とび、あやとびの5つです。たった5つだけでも、大きな成長です。なぜなら、1つ1つに思い出があるからです。・・・でも、わたしは、できるまであきらめませんでした。そして、ある日、やっと、こうもりふりおりができる日をむかえたのです。今の自分があるのも、あきらめなかったおかげです。わたしは、こうもりふりおり、たった1つができただけで、たくさんのことができるようになりました。これだけで、色々なことを学びました。

「こうもりふりおり、たった1つができただけで、たくさんのことができるようになりました。」と書いてあります。Mさんのこの1年のストーリーは、まさしくその通りでした。こうもりふりおりを皮切りに、後方片膝掛け回転、二重跳び、次々と、今まで取り組んできていた技を自分のものとしていきました。それはおそらく、本当の意味で「自分の可能性」を信じることができるようになったからだと思うのです。「例え、時間はかかっても、自分でも続ければできる」。このことを知ってしまった、この世界に一歩を踏み込んでしまったからだと思うのです。もともと、Mさんのやり抜く力は強い。それは、評論文や読書感想画でも感じました。そして、今、できないことでもできるようになる自分の可能性も信じることができるようになっているのです。この二つがあれば、鬼に金棒。あなたなら、どんなことも自分の力で切り開いていけます。苦手と言っていた運動で、ここまでの諦めない心を見せた、Mさん。あなたのことを尊敬します。

Y君
しかも、なぜ、これだけがんばれたかというと、たくさん体育かんや外で練習して、みんなあきらめずに、助け合いながらがんばったので、自分も成長したし、みんなも成長して、クラスも成長した。そして、この時は、もう成長ばかりだった。そして、運動会が終わるとみんなでよろこび合った。

Y君。あなたのこの1年の学び、成長は、通常の2年分に相当すると思っています。冷静に考えて、そう思うのです。人生が変わるほどの変容です。水泳、リレー、評論文、読書感想画、短縄、鉄棒、百人一首、暗唱、日記、あらゆる所であなたは成果を残しました。どの分野でも圧倒的に力を付けてきた感覚があります。圧倒的にです。しかし、それだけではない。それだけではないのです、本当に大切なのは。どんなことにも全力で取り組む姿勢、一度決めた自分の決意をやり抜く力、教師のアドバイスを頑なに信じ実行できる素直さ、何よりもその胸に燃え滾るやる気の炎。全てが突出しています。これをこのまま続けるのでならば、あなたは先生の予想を遥かに上回るとんでもない人物になります。これらの宝は、深く、深く、あなたの体の中に埋め込まれました。4年生で活躍することは間違いないです。

Kさん
次に長なわのいい話を書きます。長なわは、最初は「苦手なのに~」と思っていたけれど、やってくるうちに、楽しくなってきて、入るのもれんぞくになってきたり、タイミングがつかめるようになったり、色々いいことがありました。・・・そして、どんどん「〇(丸)」と言われていって、うれしかったです。もう感動です。

学校外のことは省かせてもらいましたが、原稿用紙25枚を超える量を叩きこんできたKさん。夜中まで書き続け、終わった瞬間倒れるように寝てしまったというKさん。その熱さを感じながら、日記を心に刻み付けるように、パソコンで打ち込みました。Kさん。あなたがこのクラスにいて本当によかった。どこまでも真っすぐなあなたのやる気。言われたことに100%の自分のエネルギーを注ぐ素直さ。「○○さん、すごい!!教えて!!」と自分をさらけ出して人に教えを乞うことができる心の奇麗さ。だからこそ、あなたは伸びました。この1年で、ありえないスピードで成長しました。その成長に、先生も励まされ、先生も自分の力を信じることができたのです。あなたがいれくれたから、先生はこの3年○組でよかったと、心から言うことができるのです。どんなことにも、心に熱い炎を燃やしていたあなたならば、4年生でも急上昇します。遠くから見守っているよ。

S君
さいごに、ホワイトこうもりを練習しました。練習しまくって、しまくって、やっとできるようになって、一発おりて、にんていしました。これがぼくの、一年間の成長です。

この1年で、だれが最も変わったのか。だれが最も成長したのか。それは、S君、あなたです。先生は、そう思っています。授業中、寝てしまうこともあった1学期。友達とトラブルを起こす度、なかなか素直に謝ることができなかったこともあった。けれど、今は、どうか。全くといっていいほど、違っている。誰が今までの、算数の授業を引っ張ってきたのか。それは、あなたです。あなたが常に、全力で、前を走り続けてきたからです。どんな隙間時間も無駄にしなかった。常に大きな声で計算手順を唱えていた。「書けました!」の声の速さからは、あなたの授業の集中度が如何に高いかが分かりました。それが、先生に力を与えてくれたのです。嬉しかった。あなたのことを先生は、仲間だと思っています。真に、信じられる仲間だと思っています。もし、他の誰かに悪く言われるようなことがあっても、居心地が悪くなる時があっても、先生は、いつもあなたの味方です。心はあなたと共にいます。

この年は3年生ということもあり、1つでも多くの成功体験を積ませるために、

「できることを増やす」

ということに主眼を置いて1年間の日々を過ごしていたようです。

分かりづらい取り組みや、内輪でしか分からない内容があるのは申し訳ありません。

それでも、このようなピックアップしたコメントを見てみると、幾つかのことを意識して声掛けをしていたことが思い出されます。

それは、

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

◆「あなたには力がある・可能性がある」ことを伝えている
◆その子どもの長所が生きる力になることを伝えている
◆子どものことを一個の人間として見ている

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

ということです。

以前、アドラー心理学をテーマにした記事を書きました。

このコメントの記録は、筆者が20代後半の時のものなので、当時、アドラー心理学を知っていたかは分かりません。

しかし、

人は

「自分には能力がある。自分には価値がある。」

と感じたときに勇気が湧いてくる。

という考えに近い、

「子どもがこれからの未来を前進していくための原動力となる言葉を投げかける」

ようなことを考えながら、日々、言葉を掛けていたのでしょう。偶発的にしろ。

とにかく、子どもの心に、魂に、火をつけたかったのです。

そして、具体的な成長の場面を描き、だからこそあなたにはこのような長所があるのだという、

「事実や根拠を示した長所」

を伝えていた。

ただ長所を伝えただけでは、

「本当かなー?」

で終わってしまうかもしれません。

しかし、事実や証拠を示しながらだと、

「確かにそうかも。」

となる。

「その差はでかい」

とおそらく考えていたのです。

そして、その長所がこの先の人生にどのような影響を与えるかを伝えることによって、「生きる力があなたには宿っている」という価値付けを行っていたのだと思います。

そして、最も大事なのが、

教師 対 子どもを、

上下関係で捉えていたのではなく、
クラスを共によくしていくためのチームメイト

と捉えていたところです。

これは今でもよく覚えています。

だからこそ、コメントにも「仲間」や「同志」、「共に」という言葉が出てくる。

当時は、まだ20代だったので、

「自分なんてたまたま早く生まれただけで、この子たちの師と呼ばれるような存在ではない。だから、せめて、共に前を向いて、教え合い、励まし合う存在でいよう」

という気持ちであったはず。

筆者は、この最後の

「子どもの横に立ち、共に前を向く」

という姿勢が、1番大事だと思っています。

そのマインドがあれば、自然と謙虚になれ、子どもへ投げかける言葉も変わってくるはずです。


まとめ

この記事に掲載したコメントは、保護者向けの学級通信に記載してあるものなので、若干、難しい言葉もコメントとして載せてあります。

ただ、保護者には、

「家で学級通信を子どもに読んであげてほしい」

と頼んでいたので、親にもそのコメントを読んでもらい、子どもに分かりやすく伝えてもらう中で、客観的に見た子どもの美点を親自身に知ってほしいという意図がありました。

当時は、この最後の「1年間の成長作文」と「コメント」を、泣きながらパソコンに打ち込んでいた記憶があります。

それまでも、毎日、日記を書いてはコメントを書き、ということを1年間繰り返しているので、子どもたちの「熱さ」や「思い」を感じる作文を読んで、溢れてくる思いが止まらなかったのでしょう。

1番最後の例として掲載したS君は、1年生の時から、ほとんど教室に入らず、授業中だろうとなんだろうと、校庭で遊んでいるような子どもだったことを他クラスの立場から見ていました。

1年の始めは、常にこちらを警戒している状態。

何かを言えば「反抗」で返してくる。

しかし、1年間の中で、算数の授業を牽引していく主要メンバーとなり、教師にも無邪気に抱き着いてくるような子どもになりました。

それだけ

「成功体験」
「投げかける言葉」

は、子どもを変える力をもっているのだと思います。

やはり、1番は、

「自分の内側から湧いてくる思いを自分の言葉で伝えること」。

人真似の上滑りする言葉ではなく、「子どもを伸ばす言葉の原則」を知りながらも、自分の思いを乗せるのが、それぞれの大人ができるベストな声掛けなのではないかと思っています。

読者の皆さんの中で心掛けている言葉掛けがあれば、是非、コメントでも教えてください。


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(2023.11.27~12.3)

【月曜日】
note100日目 フォロワー1000人達成の報告+共同運営マガジンの計画
【火曜日】
《多様性》組織が伸びるためには「反逆者」が必要!?多様性のメリット
【水曜日】
「頑張らなくても」記事を量産する!note記事作成の全行程を公開(一部有料)
【木曜日】
公立VS私立 それぞれのメリット・デメリット
【金曜日】
グレーゾーン・不登校児の進路はどうなる?発達凸凹進路早わかりマップ
【土曜日】
英語教育が失敗する理由+成功する英語教育の法則とは?
【日曜日】
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