奇妙な味の短編

本

奇妙な味の短編を集めてしまった。

運営しているクリエイター: 空想さん

#ユーモア

空想さん

2021年10月1日 11:22

静かな安心

バラバラになった夫はもう怖くなかったので夕食を作ってあげることにした。
また失敗して焦がしてしまった。
お前には時間の感覚もないのかと怒られてばかりだった。
殴られてばかりだった。
でも、もうあの手では殴れないよね。
今では浴室で静かにしている。
静かにしている夫のことは今でも好きみたい。

了

空想さん

2021年9月27日 14:57

必ず当たる先生の数字

「さっきあの先生に8と言われたんだけどなんだったんだろ？」
「言われたんだ？」
「うん。あの先生時々数字だけ口にするのなんなんだろね」
「知らなかったの？」
「なに？」
「受験が成功する生徒の数よ。先月は9だったわ」
「私…」
「必ず当たるから怖いのよね」

了

空想さん

2021年9月19日 10:27

教えなくてよかった

昨日の夜電話くれた？

深夜に知らない番号からメッセージ入っていたからさ。

あまりに小さくぼそぼそ言ってたんで聞き取れなくて、もしかしたらそうかなと思ったけど。

えっ、前から掛け続けていたの？

五年も前からずっと？

手当たり次第にずっと？

080から090から続く番号をずっと？

へぇ、君らしいね。

了
#眠れない夜に