「怒る上司」の部下になったら、「高い視座」と「広い視野」が身についた話。
今日、5ヶ月半ぶりに出社しました!出社できる人数は半分に調整されていたのですが、久しぶりにワイガヤで(距離をとって)雑談もしてきました。やっぱりいいですね。
その中で、部下から、「怒っているところやイラッとしているところを見たことがない」と言われました。
それ、自分で気をつけていることなんだよね、と思いつつ、心理的安全なんていう言葉を耳にする前から私が気を付けていること、その結果得た視座と視野との関係をメモ。
1、心理的安全
心理的安全性を最初に提唱したのは、ハーバードビジネススクールで組織行動学を研究するエイミー・C・エドモンドソン教授です。
教授は、心理的安全性を「対人関係のリスクを負うことに対して安全であるという、チームに共有された考え」と定義し、「メンバーが何か発言をしても否定されたり罰せられたりしないという確信がある状態であり、お互いを尊重し、信頼しあっていることから生まれる」としています。
広く知られるきっかけはGoogleが自社で行ったチームリサーチで最もチームの効果に影響する因子として挙げたことだと言われています。
Google自身がその結果のレポートについて公表しています。
こういうところはさすがですね(しかも日本語も)。
2、私が「怒らない人」となったきっかけ
実は、私は仕事で怒ったことはありません。
今では仕事で怒る人の方が珍しいかもしれませんが、私が社会人になった頃はまだまだいました。
特に現在の会社に入ったときは、全員転職組の新設部署ということもあって、いろんな人がいました。転職組の組織となると、採用する人の目がないとおかしな人でも管理職で入ってきてしまいます。
そんな環境で私の上司となった人が、機嫌を表に出しまくりで、もちろん機嫌が悪いときには怒る。その怒り方にもネチネチから怒鳴るまでバリエーション豊かな人でした。
当時は上司とはいっても、まだ組織がちゃんとしていなかったので、その上司を飛び越えていろんな指示が飛んできましたし、報告もしていましたので、そこまで影響はなかったのですが、だんだん組織の体をなしてくると、結構苦労しました。
一番辛いのは部下のことを信用していないことです。営業だったのですが、外回りで外出していると突然電話かかってきて、今どこなんだ、とか、信じられないことに、いる、と言った先に確認の電話を入れるようなことまでする人でした。当然人の話なんか聞きません。
まさに「心理的安全」が犯されている、という状態です。
仕事自体は好きだったことと、そんな上司でも、パターンを掴めると邪魔させない程度には付き合いができるようになったことで、転職などせず働いていました。
一方で、こういう人には絶対なるまい、と心に誓いました。
そのため、部下はいませんでしたが、周りに対しても感情をあらわにすることを抑え、よく話を聞くようにしていました。
とすると、面白いもので、相談がどんどんきます。平社員ですけど。そして情報がゴシップ含めてどんどん入ってきます。興味ないですけど。
興味がないので、誰にも言わないと、秘密を守る奴だ、となって更にいろんな話が入ってきます。引き続き興味はないですけど。
ただ、仕事上で、こちらがお願いするようなことがあっても、心よく引き受けてくれるので非常に助かりました。
そこで気づきました。
怒らずに、きちんと話を聞くだけで、こんなに仕事がしやすくなるんだ。
(=周りの方にとっては「心理的安全」が確保された状態)
3、怒らなくて済むようにする
当時、売り上げが急激に上がりましたが、人の採用が間に合いません。勢い1人あたりの仕事量が増えます。しかも教えている暇も相手もないので、過去経験のある、できる人(能力ではなく経験です)のところに仕事が集まってきます。
私は、ほぼ立ち上げからいましたし、怒らず、きちんと話を聞く私のところにはかなり仕事が集中しました。週末も出るようになりました。
これはまずい、ということで、考えたのが、先回りすることです。
仕事の幅と量と経験だけはありましたので、次に何が起こるか大体分かるようになっていました。
そこで、取引先から依頼が来る前に、社内の関連部署に予告をし、作業を始めてもらうようにしたり、おそらく必要になる情報を前もって集めたり、うるさい上司に不意打ちにならないように(急に決裁を求めるとどうでもいいことで一回はNoというので)情報を出しておいたり、予算が必要な場合には、先に申請先の担当者と話して内諾を取っておいたり、というようなことです。
これがうまく回ると、仕事量は変わらないのですが、予定外のことはほぼ起こらないので無理をせずとも、焦らないですし、当然怒ることもなく、人の話を聞く時間もある状態になります。
そこで気づきました。
怒るってことは、すでに起こってしまったことに対してだ。
怒るようなことが起こらないようにすれば、こんなにラクなんだ。
4、突然の異動で気が付く
それから十数年。今年初めのことです。心地いい環境から突然の異動。
全く土地勘のない仕事です。
これまで、過去の経験という遺産で涼しい顔で仕事していましたので、焦りました。
ところが着任してみて自分でも驚いたのですが、勘所というか見るべきところが最初から分かるのです。
初めて会う人がほとんどなのに。
初めての仕事なのに。
何故なのかと考えました。大きくは以下2つ。
☑️ 視座を上げることができるようになっていた
☑️ 視野を広くとることができるようになっていた
視座は常に、経営レベルを見るように意識してきました。
これは、能力ではなく、前の職場では経験が長かったため、実際の肩書以上に直接役員へ説明させられる機会が多かったこと、営業先も同様に、役員レベルの面談に引っ張り出されることが多かったこと、という、経験により獲得したものです。
視野も多くの仕事を、前もってこなそうとすると、仕事の上流から下流まで全て(社外含む)を理解し、どこがボトルネックになりそうか、ということを把握する必要があります。ですので、自然と守備範囲を超えて全体像を把握する癖がついた、ということです。
私の場合は、結果的に経験で身につけた能力ですが、これは、割と汎用性の高いポイントかと思い、ここで個人的な経験を書かせて頂く意味があろうかと思いました。
5、高い視座と広い視野を身につけるには
視座を高く、視野を広く、というのはよく言われることですが、どうしたら身につくでしょうか?
視座については、見たことのないものは見えません(意識して見える方はいらっしゃるのかもしれませんが、私のような凡人には難しいです)。
ですので、積極的に役員説明とか役員が話す機会があれば上司に頼んで同席させてもらったり参加させてもらったりするのが一番早いと思います。
あるいは経営者の書いた本を読むことでもいいかもしれませんが、その場合は、自社に置き換えて特定の役員に置き換えて考えることが必要だと思います。
そのあとが大事なのですが、何故そのタイミングでそいうことを言ったのか、やったのか、をよくよく考えることです。わからなければもう一段階経営に近い上司に聞いてみましょう。この繰り返しが重要です。
視野については、視座より簡単で、自分のやっている仕事の上流から下流までどこで何をやっているか、を知ることです。場合によっては社外までかもしれません。できれば、具体的な作業レベルまでわかるといいですね。
その上で、何と何が依存関係で、何がボトルネックなのか、といった視点でみて見る事です。
特に、なんでこんなことしてんだろ?ということがあれば、歴史的な(そこまで大袈裟ではないですが)背景があってそうなっているはずですのでそういったことも確認してみる。
その知見があれば、自分の仕事を離れて、上流では他にどんなことをしているのか、下流では、というように横に広げていく。場合によっては社外まで見れるかもしれません。
そうすれば私のように、わざわざ変な上司に当たらなくとも、あるいは、十数年掛けなくても、高い視座と広い視野が身につくと思います。
6、まとめ
高い視座、広い視野が身につくと、今やっている仕事が会社の中でどういう位置付けのものなのか、前にどういう工程があって、後ろにどういう工程が控えているのか、も見えるようになり、じゃぁ、こうした方がいいだろう、とか、あらかじめ一言知らせておこう、といった、ちょっとしたことができるようになって、周りから感謝されますし、自分も余裕を持って仕事ができるようになります。
今は、テレワークなどでどうしても視野が狭くなりがちです。こんな時ほど視座を高く、視野を広く、と意識することが自分のためにも、周りの人のためにもなるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
参考になることがあれば嬉しいです。
見えてくる範囲が広くなると、仕事がより楽しくなりますよ!
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