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#456 ホンダF1に見る、「撤退」の難しさ。

ホンダといえば言わずと知れた日本で初めてF1に挑んだメーカー。その参戦と撤退の歴史を見ていて思ったことを、メモ。


1、昨日はホンダの創業記念日

9月24日は本田技研工業の創業日、です。
以下の投稿でも触れている通り、「より自由な発想で研究開発に専念できるように」と、開発部隊を別会社(本田技術研究所)としてしまうような、創造性を重視する企業です。

また、まだ企業規模が小さいうちから、二輪での世界最高峰のマン島のレースに参戦したり、四輪でもF1に参戦したり、と挑戦とそこで技術を磨く、という社風を持つ企業でもあります。

その社風と研究開発を別会社としたことによる具体的な効果としては、たとえば、二足歩行ロボットのASIMO、事業されたホンダジェット、といった、本業とは無縁に見える成果として我々も目にしています。

一方で、技術にこだわるあまり自動車の開発もこだわりが強く、コスト高につながることもあり、一昨年組織変更がされました。
(こちらは先ほどの投稿で詳しく触れています)


2、F1参戦と撤退の歴史

先ほどの投稿を行うにあたって色々と調べていて、ホンダのF1の撤退のタイミングというのは、必ずしも良いものではないなぁ、撤退というのは判断が難しいなぁ、と感じました。

ちょっと歴史を見てみましょう。

☑️ 第1期 1964年〜1968年(5シーズン)
☑️ 第2期 1983年〜1992年(10シーズン)
☑️ 第3期 2000年〜2008年(9シーズン)
☑️ 第4期 2015年〜2021年(7シーズン)

それぞれの撤退理由です。
☑️ 第1期 排ガス規制強化への対応
☑️ 第2期 業績不振
☑️ 第3期 業績不振(リーマンショック)
☑️ 第4期 カーボンニュートラルへの対応


個人的に車が好きでF1もみているし、ホンダが参戦しているときは応援しているのですが、撤退に関していうとちょっと「?」と思うことが多くあります。

たとえば、直近では、昨シーズンで撤退していますが、最後の2021年シーズンではエンジンを提供しているレッドブルというチームのフェルスタッペン選手がワールドチャンピオンになっています。
それまで、7年シーズン連続でメルセデスチームの選手がワールドチャンピオンですから快挙です。ホンダエンジンを供給するようになってたった3シーズン目の出来事です。まさにいよいよこれから!というタイミングでの撤退です。

理由は、「カーボンニュートラルに向けた技術開発にリソースを集中するため」。まぁ、わからんでもないですが、同じく世界的自動車メーカーであるメルセデスやルノーは参戦を継続しています。
しかも、F1は、2019年の時点で2030年にはカーボンニュートラルを達成することを表明し、2026年にはCO2排出ゼロを目指すことを発表しています。


厳しいレースという環境で技術を磨くため、ということであれば、カーボンニュートラルという面でも参戦を続けても良い気がしてしまいます。
もっとも、燃料自体が特殊なものを使う、ということで現実の世界では使えない、という判断かもしれませんが…

しかも、リソースをカーボンユートラルにシフトするために撤退する、と言いながら、実はHRC(ホンダレーシング)というグループ会社を通じて引き続きエンジンは供給していて、現在、ドライバーだけでなく、コンストラクターの部門でもぶっちぎりで独走状態です。でもホンダの名前はなくHRCと小さなロゴがあるだけ、です…

このようなことは、第2期と第3期の間にもあって、この間は「無限」という別会社がエンジンを供給していたのです。


また、2000年から2008年の第3期はもっと悲しくて(個人の感想です)、2006年からは既存チームの株式を買い取ってエンジンだけでなく車体も作る(第2期はエンジン供給のみ)フルコンストラクターとして参戦することになります。通常はスポンサーの広告が占める車体を地球柄(?)にして話題になりました(日本ではそうでもなかった気がしますが…)。

この第3期はリーマンショックによる業績悪化により突然終了します。

チームの株式はほぼ開発の終わっていた車体と共に「1ポンド」(約140円程度)で売却され「ブラウンGP」として参戦。
初戦でいきなり優勝。これは、ホンダ時代に開発した車体のコンセプトが画期的だったことによります。
そして、その勢いで年間チャンピオンに…
タラレバ、ではありますが、そのまま踏みとどまっていれば、これは「ホンダ」の実績となっていたはずです…

さらにさらに、このチームはその翌年メルセデスチームに売却され、2014年から19年まで7年連続でチャンピオンとなります…

間が悪いというか、なんというか…


3、まとめ(所感)


いかがでしたでしょうか?

後からならなんとでも言えますから、ホンダさんの判断がイマイチだった、と言うつもりはありません。

ただ、事業の参入、撤退ということの難しさ、の例として捉えるとこれほど示唆に富むものもないかと。

皆様はどのように評価されますか?

個人的には、なぜ参入するのか、その目的はどれくらいの期間で達成され、どのような状態が継続すれば満たされるのか、といった基準・合意(=撤退基準でもある)を明確としてから参入すべきだ、と感じました。

「続けられないことは始めてはいけない」ということです。


なんだかんだ書きましたが、ホンダ(HRCですが…)のF1での活躍、引き続き応援しています!いよいよ鈴鹿ですね!

最後までお読みいただきありがとうございました。

なんか似たようなことをむかーし投稿していました。




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