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7月14日 なぜ内視鏡だけが世界シェア1位を取れたのか?

普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→内視鏡では世界シェアを日本企業がほぼ独占するが、他の医療器具では市場規模が大きい市場ではシェアが低いものが多い。この差はどうしてできたのだろうか?


東京都渋谷区代々木に事務局を置き、内視鏡医学に関する研究を奨励助成するなどの事業を行う公益財団法人・内視鏡医学研究振興財団が2006年(平成18年)に制定した「内視鏡の日」です。
日付は「な(7)い(1)し(4)きょう」(内視鏡)と読む語呂合わせから。1950年(昭和25年)、内視鏡は日本において世界で初めて胃カメラによる胃内撮影に成功したことに因みます。


内視鏡。
調べてみました。

まず、内視鏡の市場規模ですが、NEDOの「平成28年度日本企業のモノとサービス・ソフトウェアの国際競争ポジションに関する情報収集」によると、グローバルで1,209億円となっています。


驚くのは日系企業のシェアがほぼ100%であることです。

他の医療機器では日本企業のシェアは非常に低くなっています。
NTTデータ研究所「我が国医療機器・ヘルスケア産業における競争力調査」のなかで、NEDOのデータをもとに機器別の市場規模と日系企業の世界シェアと売上高をまとめたものがあります。

これを見ると、日系企業が50%以上のシェアを持つのは、内視鏡、医療用光源、眼底カメラの3つであり、市場規模が大きく、シェアも高い、という右上に位置するものがないことが分かります。

ちなみに、日・米・欧を全て並べたものがこちら。

右上は米系企業が占めていることが分かります。
ちなみに、右上4つの市場は右から、コンタクトレンズ、人工膝関節、人工股関節、ステント、です。

内視鏡が属する医療機器の市場規模は、世界的な人口増と高齢化によって成長が予測されていて、2016年実績で3,400億ドル(約37兆円)、現在では40兆円を超える規模となっていると思われます。


日本の市場規模ですが、国立研究開発法人日本医療研究開発機構「医療機器開発を巡る社会・技術・産業の動向について」によると、日本における医療機器市場規模は、2015年時点で約2.7兆円となっています。

同資料には2016年ではありますが、世界の医療機器メーカーの売上高順位上位25社のリストが掲載されています。

日系企業は3社が入っていますが、全てを合計しても6位相当にしかなりません。


話が内視鏡を超えた、医療機器まで膨らんでしまいましたが、最後に、日系企業が強い内視鏡マーケット、具体的にどんなメーカーかをご紹介します。

消化器内視鏡シェアで7割のシェアを持つのがオリンパスです(出典:オリンパス資料)。そのほかには富士フィルム、HOYAが主なメーカーとなります。


最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様の頭の体操ネタが1つでもあれば嬉しいです。

一昨年からこうした投稿をしてきました。以下のマガジンにまとめています。


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