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4月27日 箱根駅伝放送のスポンサーは10億円支払っているが、選手には一銭も入らない!?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための問いの例はこちら。

→学生スポーツに金銭が絡むことを良しとしない日本。一方で、箱根駅伝をはじめとした人気コンテンツには高額なスポンサー費用などが確かに飛び交っている。参加校や選手に何らか還元できるスキームにはどんなことが考えられるだろうか?


1917年のこの日、京都・三条大橋から東京・上野不忍池までの508kmを3日間かけて走る東海道五十三次駅伝競争が行われた、「駅伝誕生の日」です。

駅伝
もっとも有名な駅伝といえばやはり箱根駅伝でしょう。
関東の大学しか出れないというものを取り上げるのもやや気が引けますが今回は箱根駅伝の主に経済面について調べてみました。

1920年に始まった箱根駅伝ですが、これだけメジャーになったのは、1987年に日本テレビが中継を始めた頃からとされています。

現在では平均視聴率20〜30%という人気コンテンツです。ちなみに2022年の視聴率は往路が26.2%、往路が28.4%とだったそうです。


さて、これだけの人気コンテンツ、しかも正月の2日間に渡って朝8時のスタート前から午後2時までという長時間(野球やサッカーと比べても長いですよね)というのは広告効果も高いでしょう。

公表されていないので正確には分かりませんが、中継当初からメインスポンサーであるサントリーのスポンサー料は10億円とも言われています。

これだけの人気コンテンツ、通常プロスポーツであれば当然その放映権料などを受け取った競技団体から選手や参加チームに還元されますが、箱根駅伝はないそうです。

これを、「箱根駅伝の財務内容を明らかにしませんか」とオリンピアンである為末大さんがSNSに投稿して話題になりました。もちろん何の開示もされなかったそうですが、確かにどうなっているんでしょうね?

それとは別の動きとして、2019年12月にWA広告規程が改定されたことを受けて日本陸連でもユニフォームへの広告の表示が2020年4月から認められることになりました。認められる範囲は以下の通りです(下図、日本陸連「競技会における広告及び展示物に関する規程」)。


さて、この「広告枠」の価値について、スポーツスポンサーシップに係るコンサルティングを提供する株式会社Eraが、TV中継で映る時間とTVCMのコストとを比較する形で算出を試みています。

それによると、箱根駅伝の出場チームに広告を出す効果は約7千万円だそうです。

ちなみに、実際の相場は数百万円から1千万円と言われているそうですので、費用対効果は高いと言えそうです。

実際には、
☑️ 青学は合宿でお世話になっている妙高市に100万円
☑️ 東洋大学は18年から麦茶を提供している伊藤園の健康ミネラル麦茶
☑️ 明治大学は「カーボローディング」に「サトウの切り餅」を使っていたことから「サトウのごはん」
☑️ 法政大学は20年前から支援を受けていたビルメンテナンス会社の「郵生」

という感じでこれまでのご縁から、というのが多かったようです。

なお、東洋大学、明治大学のスポンサー料は非公開、法政大学はこれまでの恩返しで、無料、ということです。

最後に、出場する大学にとっての効果の一つである出願者数の増加、ですが、東洋大学の初優勝により大幅に増えた、という報道が多い中、実際に受験者数は増えたが、それは大学が都心にキャンパスを移転するなどした影響だ、と冷静に分析(以下等)して無関係、と結論を出している論文「箱根駅伝優勝による大学評価への影響について」をご紹介します。


→学生スポーツだから、確かに手弁当だろう。一方で、強豪校は長期に渡って合宿したり用具を揃えたりすることで費用がかかるのは事実である。今回の広告枠の解禁は一歩だが参加校や選手に何らか還元できるスキームは他にどんなことが考えられるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

こうした「頭の体操」ネタを一昨年7月から続けています。
だいぶ溜まりました。よろしかったら見てみてください。


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