『漂泊の王の伝説』(ラウラ・ガジェゴ・ガルシア)に頭を殴られてからというもの、スペイン語圏の文学に興味が芽生えて時々読んでいます。とくに翻訳者の宇野和美さんがか…
岩手の小さな村で夏休みを持てあまし気味の小5の真は、河童伝説のある森で、都会から来た順矢と出会った。順矢の第一印象は最悪だったけれど、同い年でもあり、真は毎日…
私はテーマを決めた読書というのを時々やります。にわか司書になったつもりで、自分の書棚から関連書を抜き出し、勝手に自分にお勧めするのです。自己満足以外の何ものでも…
「――人生いろいろなことがあるよね。でも、どんなときだって、こういう瞬間があれば、救われるっていうもんだ。そうじゃないか?」p.167他 森川成美さん『はなの街オ…
黒川裕子
2021年9月4日 14:26
『漂泊の王の伝説』(ラウラ・ガジェゴ・ガルシア)に頭を殴られてからというもの、スペイン語圏の文学に興味が芽生えて時々読んでいます。とくに翻訳者の宇野和美さんがかかわった出版物を追うようにしています。本作も、とてもよかったです。私には魅力的な読書体験でしたが、この小説家の肌感覚、好き嫌いがはっきり分かれるのではないかなと思います。第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞受賞作。メキシコの
2021年6月28日 15:42
岩手の小さな村で夏休みを持てあまし気味の小5の真は、河童伝説のある森で、都会から来た順矢と出会った。順矢の第一印象は最悪だったけれど、同い年でもあり、真は毎日一緒に行動するように。しかし、順矢が映画で有名な子役だという秘密と、真がいじめにあっているという嘘が、祭りの夜に明らかになり、傷ついた順矢が東京へ帰ってしまう……。現在の悩みと向き合い、未来を真剣に考えることになった少年たちの特別な夏を描
2021年5月31日 15:59
私はテーマを決めた読書というのを時々やります。にわか司書になったつもりで、自分の書棚から関連書を抜き出し、勝手に自分にお勧めするのです。自己満足以外の何ものでもないのですが、手当たり次第乱読ぎみの普段とはまた違った読書体験が得られてよいものです。先週末は、図書室つながりをテーマにした怪奇読書を楽しみました。一冊目はマイケル・ドズワース・クック著/山田順子訳『図書室の怪 四編の奇怪な物語』(創元
2021年5月2日 12:41
「――人生いろいろなことがあるよね。でも、どんなときだって、こういう瞬間があれば、救われるっていうもんだ。そうじゃないか?」p.167他森川成美さん『はなの街オペラ』(くもん出版)を読みました。これまで見知らぬハワイの島々や、遠い昔の平泉に私を連れていってくれた森川成美さんが、今度は活力に満ちた大正時代に案内してくれました。いろいろな映画や漫画で描かれてきた大正という時代。映像であれば一コ