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秩父夜祭に行ってみた

こんにちは

12月となり2022年の終わりに近づいてきました。
師も忙しく走り回る、という一説の意からそう呼ばれる旧暦の「師走」
師は僧侶や神職の方々を指しているようで、いわゆる「先生」のような立場の人ですらも忙しく立ち回るような月、ということのようです。
※諸説あり

旧暦の各月の名称が好きで、言葉の響きや付けられた名の意味や背景が日本文化っぽくて、素敵だな、って思うんです。

そう、昔からずっと続けてきた事やその時期になると行う伝統的な行事を風習だったり、風物詩とも言ったり。
その季節、その時々の味わいを表現するときに旧暦の名称の方がグッと、日本文化を感じられる気がします。

と、余談はこの辺としまして、
ボクにとって「師走」を感じられる一つが、12月(2日が宵宮、3日が大祭)に埼玉県秩父市で開催される「秩父夜祭」なんです。

以前から良く足を運んでいたのですが、コロナ禍となってから3年振りの開催ということもあって久しぶりに行ってきました。

シンプルにお祭りを楽しみつつも、祭事の空間を構成している事柄は何か、を考える学びの時間にもなります。

ということで、今回は「秩父夜祭に行ってみたお話」を綴っていきますね。
お付き合いくださると嬉しいです。

それではどうぞ


■地域に根差した御祭禮

まずは、「秩父夜祭」とは、から知っていきたいと思います。

歴史という大きな括りで見ていくと、今ボクらが目にする「秩父夜祭」(笠鉾・屋台が巡行する形)は約300年前から続くお祭り。
下記に秩父神社ホームページより夜祭の歴史について一部抜粋をさせていただきましたので、一読していただければと思います。

「秩父夜祭」の名で知られる秩父神社の例祭は、能楽を想わせる典雅な神代神楽に勇壮な屋台囃子、豪華な笠鉾・屋台の曳き回しに呼応する盛大な打ち上げ花火の競演など、人々を魅了するお祭りとして知られ、例年20万人以上の人出が見込まれています。
そもそもこのお祭りは、ご祭神である妙見様にちなんだ祭礼であり、かつては旧暦11月3日に行われていたものが、明治の改暦によって12月3日となり、現在に至っています。
妙見信仰とは、古代バビロニアにはじまり、インドと中国を経て、仏教と共に我が国に伝来したものが、平安時代に献灯をもってする北辰祭として都に流行し、時を経て上野(今の群馬県)の国衙に近い花園妙見寺から秩父平氏が招来したもので、北辰(北極星)・北斗(七星)を神座とする星辰の信仰として伝えられました。
秩父夜祭が、武甲山の男神と秩父神社の女神との年に一度の逢瀬の物語として語られることも、中世以来の信仰史の育てた風土のロマンにまつわるものと考えられます。
秩父神社HPより抜粋

調べていくと地域の一年が神様(自然)と共にあって、暮らしと信仰がとても深く根差していることを知ります。
それだけ、自然の力は大きく現代のような発展がしていない時代では一つ一つの季節に願いを込めた祈り、その年の終わりには無事に暮らすことが出来たこと、あるいは自然の恵みに「感謝」を現す事柄としてお祭りは大切な儀式だったのではないでしょうか。

御旅所に集まった笠鉾・屋台

お祭りは楽しく賑やかな印象がありますし、実際そのような娯楽的一面があります。

ただ、祭禮の儀式としてみていくと、地域の繁栄、泰平の世、五穀豊穣、などなど、、
そうした想いや祈りや感謝が込められています。
お祭りだけではなく、各地の伝統的な民家や民藝品ようなモノにも同様なことが言えるのではないかなと思います。

地域と龍神との関係を彫物で表現

モノ・コトに想いや祈りをのせてきた文化はとても日本的に感じますし、そこに感銘を受けて自分が設計するモノにもそうした背景を持たせることをしています。

KURAMOCO商品「紙木365」はまさにそれです。
365日に人それぞれの想いを込めるモノ、というコンセプトが背景にあります。

話がちょっと逸れましたが、秩父夜祭はその名前の通り「夜」という暗闇に提灯の灯りの揺らぎと共に笠鉾・屋台が浮かび上がった風景は幻想的で美しいの一言です。

皆さんにもぜひ味わってほしいと思います。

■音と匂いでつくるお祭り空間

ここからは、ボクの個人的な話が中心になるのですが、、

お祭りって人の気持ちを高揚させる力があるなぁと思うんです。
お祭りはハレの日と言われていて普段の街並みからガラッとお祭り仕様の空間に一変して、非日常な雰囲気に包まれます。

建具や建築的な視点で考えていくと、お祭り空間を作り上げているモノの多くは仮設的ですし、短時間で場を変容させる道具によって設えている点が浮かぶ上がってきます。

冬の花火

もう少し言うと、
まず神社に幟旗が立ち、が張られ、家々の玄関先には提灯が掛けられて祭禮の始まりを予感させます。

さらにお祭りが始まると聞こえてくる太鼓の音

ドンドン、テンテン、カンカン

あの音を聞くだけでなんだか心が躍ります。

露店
通りに御仮屋

街に出てみると通りには露天商の屋台がズラッと並び風にのって食べ物の匂いが漂い、誘われるように歩みを進めてしまいます。
太鼓の音、食の匂い、幕や提灯、食べ歩き、その一つ一つの要素が重なり合って楽しいお祭りの空間を作っていると感じています。

大枠の空間が整ったところに山車が巡行し、空には花火が打ちあがり、お囃子の音が街を包みこんでいく中に、人が行き交い、賑わいが発生していきどんどんお祭り空間に深みが増し、非日常のハレの世界が広がっていくのかなぁ、なんて思うんです。

それでいて、ハレの時間は有限であることがより一層、、を味わいたくさせてくれますし、クリスト&ジャンヌ・クロード的な「ひと時」に近いかもしれません。

日本の伝統的な文化はやはり面白いです。

と、ちょっと長くなってきましたのでこの辺りでおしまいとさせていただきます。
これからも秩父夜祭のように地域に根差した文化を学んでいこうと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

ではまた。

追記
▼ショート動画も作ってみました


▼秩父神社ホームページ
秩父夜祭の由来や地域の歴史まで丁寧に載っていますので、とても参考になります。

▼KURAMOCO商品「紙木365」
日本的な願いや謂われのストーリーからアイデアが生まれた製品です。









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