見出し画像

Tanemakiのロゴは、可能性の塊です

こんにちは、くんちゃんです。
2021年7月にTanemakiという屋号で開業し、フリーでブランディングやロゴデザイン、Webサイト制作をしています。

この記事はTanemakiのロゴマークのコンセプトやデザインについて、そしてそれができるまでのストーリーを綴っています。
ロゴマークに興味がある方、コンセプトメイキングとデザインに興味がある方に読んでいただけると嬉しいのはもちろん、私のようにセルフブランディングに興味はあるけれど仕事に追われて後回しにしてしまいがちな方々にとって、何か少しでもポジティブな後押しになれば幸いです。

Tanemakiについて

Tanemakiは個人事業主として活動する私の屋号です。
フリーでブランディングやロゴデザイン、Webサイト制作をしています。

その屋号の由来は、営業用語の「たねまき」から来ています。

営業用語で「たねまき」とは、「ご縁のある方々と更なる良好な関係を築き、新規ご発注や事業成果を実現させるために行う定期的かつ継続的な取り組みのこと」です。

以前私は都内の印刷会社で法人営業をしていたのですが、抱えている既存顧客の全てから毎月コンスタントな発注が入るわけではありませんでした。いわゆる休眠顧客と呼ばれるお客様もたくさん抱えていました。
印刷業なのでそもそも印刷する企画が無いと発注できないでしょうし、都内には他に様々な印刷会社さんがあるので、予算や仕様によって他の印刷会社さんとお取引をすることもあったのだと思います。
では休眠顧客からは発注が来るまでただ待っていればいいのかというと、そんなことはありません。お取引が無い状態でも営業にできることはたくさんあります。それが「たねまき」と呼ばれるものです。
定期的な新商材の紹介やご挨拶に出向き、クライアント様の近況や課題をヒアリングして、抱えている課題に対して効果的な商材をご紹介します。
アプローチの仕方は違えど、この「たねまき」の作業は新規見込み顧客に対しても重要です。広報活動や既存顧客からのご紹介からご縁は始まることが多いと思うのですが、「印刷といったら○○さん」と思ってもらえるように関係を構築します。付かず離れず、擦り込んでゆきます。
そんな「たねまき」活動の積み重ねがご発注に繋がります。

わたし自身が営業時代にたねまきを実らせることにやりがいを感じていたというのもありますが、今後はお客様の「たねまき」をブランディングやデザインを通してサポートさせていただきたいと思い、屋号を「Tanemaki」としました。

どんなロゴにしよう

個人事業主として始動するにあたり屋号はすぐに決めることができたのですが、ロゴマークがなかなか決まりませんでした。
ポートフォリオを作ろうにもロゴマークという芯の部分が決まっていないので、なんだかふわっとしている。

そうこうしている間にありがたいご縁に恵まれながらお仕事の機会を色々といただくことができ、ロゴマークもポートフォリオサイトも無いけれどWebデザイナーとして活動し、生計を立てることができるようになりました。(ポートフォリオはもちろんあります!)

でもずっと心の中に引っかかっていたのです。屋号のロゴマークを作らねばと言う思いが。

ロゴマークやポートフォリオサイトが無くても活躍されている素敵なクリエイターさんは沢山いらっしゃいますが、私には必要でした。
自分のロゴマークが無いのに「あなたのロゴを作ります」とは、なかなか自信を持って言えなかったのです。

そして自分に何ができてどんな方向を見ているのかを発信しないと、私はいずれ何もできなくなるように思ったのです。

5年後・10年後、今ある仕事がAIにとって変わられたり誰でもできるようになったら?・・・私はそのとき自信を持って自分の仕事に取り組めているのだろうかという自問。
そして今は幸運なことにご縁が続いてお仕事をいただけているけれど、それは本当に誰かのお気持ちのおかげ。

本当はそのご縁を自ら作り出せるようになりたい。
自分は何に根差して何ができて何を見ているのかを的確に発信し、お互いの事業に共感し合えるお客様と楽しくお仕事がしたい!

そんな気持ちが定期的に押し寄せてくるので、その解決手段の一歩として私には対内的にも対外的にもロゴマークの存在が必要となりました。

ロゴマークには自分の志の原点や未来への方向性を込めることができ、事業の「しるし」としてそれを掲げることができるから。


ふぅ。ちょっと熱く語ってしまいました。
一旦、愛犬の写真を挟みます。

画像1

はい、ありがとうございます。(たまらん・・・☺️)

というわけで、Tanemakiが何に根差して何ができて何を見ているのかを発信する土台を作り自分を後押しするために、屋号のロゴマークを制作しました。

制作期間

2021年8月初旬:屋号のロゴマークを作る必要性を感じる
2021年12月初旬:着手、アイデア集め
2022年2月初旬:コンセプトメイキング、デザイン開始(本腰入れて始動)
2022年3月20日:完成

ロゴマーク・シンボルマーク

スクリーンショット 2022-03-25 23.03.11

スクリーンショット 2022-03-25 23.01.08

ロゴマークのコンセプト

コンセプトを考える前提として、「自分は何に根差して何ができて何を見ているのか」をロゴマークへ込めて表したいと思いました。
少し噛み砕くと、下記のようになります。

自分は何に根差しているのか:
どんな人なのか、どんな考え方をする人なのか。

何ができるのか:
どのようなロゴマークを作るのか。

何を見ているのか:
事業の方向性、ビジョン

以上のことを念頭に置きながらコンセプトメイキングを行い、下記の4つのポイントを通して横断的にそれを表現することにしました。

(1)コンセプトからロゴマークを作る人だということ
ロゴマークを通して、そしてもちろんこのnoteの記事を通して、コンセプトメイキングに対するTanemakiの姿勢を表したいと思いました。

Tanemakiでは表面的なデザインを作るのではなく、その根底のコンセプトからデザインをします。

お客様と一緒に対話をしながら事業の原点や志や今後の展望をお伺いして核となる部分を抽出する。その工程を通してコンセプトを練り上げる作業、そのエッセンスをロゴマークとして表現する作業は、私にとってはやりがいと楽しさに溢れています。
(ちなみにTanemakiでは対話のみのご相談もお仕事としてお受けしています)

(2)戦略性
「うわー、いきなりお堅いコンセプト汗」と見出しを読んで感じた方もいらっしゃるかと思うのですが、大丈夫です。ここからは楽しい植物の話も取り入れていきますので、どうか気楽に読んでください。

Tanemakiのロゴマークのコンセプトを考えるにあたり、まずは「たねまき」という言葉を解体し、植物の種蒔きの方法や種類、そして種そのものについて様々な種類を調べ、そこから自分の事業へ通ずる点を抽出してみました。
(そのために私は図書館で子供たちに混ざって植物図鑑や絵本を読みました)

その結果、非常に興味深く感じ、且つ自分の取り組むブランディングやデザインの核に通ずる点として、「種の持つ生存戦略」に着目しました。
調べれば調べるほど、「種ってあんなに小さいのに凄いな」と驚くことばかりでした。

たとえば植物の種にとっては、親木からなるべく遠くへ離れた場所で発芽することは生き残っていくための重要な戦略の一つです。なぜなら親木のすぐ近くに落ちた種は昆虫や動物たちにすぐ見つかり食べられてしまうからです。
そのため植物には実った種をなるべく遠くへ運ぶ仕組みがそれぞれに備わっています。
たとえばタンポポは風を利用して種を遠くへ運んだり、カタバミは種が成長したときに勢いよく遠くまで飛び出していく構造をしていますし、ドングリはリスなどの動物に餌として自らを遠くへ運ばせ、その食べ残しから発芽します。

他にも種の形や発芽する時期やそれを察知する能力など、あの小さな種たちは生き残り育っていくための戦略をもっているのだと知りました。むしろ小さいが故に、生き残っていくための戦略的な術が必要なのだと思います。

先述したように、「戦略性」はブランディングやデザインにも通ずる点で、必要不可欠な要素だと私は考えます。
事業の内外環境をよく調べ、その方向性や展望をお客様と共有しながら言葉を用いて具体化し、そのサービスが届くようにデザインを通して整えながら発信する。

広がっていく種の姿を表現することで、そんなTanemakiのブランディングやデザインへの取り組む姿勢を象徴したいと思いました。

(3)可能性の広がり
事業の「たねまき」とは、トライ&エラーを繰り返しながらも未来のご発注や事業成果に向けて可能性を広げていくことだと思います。
そして植物の種が蒔かれて散らばっていく様も、まさに可能性が広がっていく姿であると思います。
何百何千という種が広がっていき、その先で芽吹き、根を生やし、また新たな命が広がってゆく。
数多の種のうち芽吹くのは僅かですが、それら発芽しなかった種も植物の生存戦略を支える存在なのかもしれません。

上記「戦略性」と「可能性の広がり 」を表しているのが、下記にあるロゴマークの後半部分です。

スクリーンショット 2022-03-25 14.47.38

カタバミの種をモチーフとした可能性のタネが、「i」の頭の中心から螺旋状に広がってゆきます。

またロゴマークの末尾に小さく佇む新芽。
とても小さいので、印刷された時などは「何かいる?」ぐらいの認識になるでしょう。
可能性の芽生えってそういうものかもしれない、とも思います。
ロゴマークを見た人に「もしかして、これって・・・!」とクスッと楽しんでもらえたら嬉しいです。

そして別の視点に立つと、このロゴマークが小さく印刷・表示されたとき、この新芽の部分はロゴマークにとって「,(カンマ)」のような立ち位置にも見えるかもしれません。
「,」のその先、Tanemakiの未来を想起させる小さな芽吹きがそこにあります。


スクリーンショット 2022-03-25 14.20.05

またこの種のモチーフはよく見ると、散らばっていく種のようにも、太陽のようにも、風車のようにも見えるかもしれません。
そんな見る人によって解釈がさまざまに受け取れる“可能性”も楽しんでもらえたらと思います。

(4)わくわく、楽しく
こちらは先程の「戦略性」や「可能性」に比べると、ソフトな見出しですね。

個人事業主として活動をしていますので、自分自身のもつ雰囲気や作るデザインが屋号のロゴマークとリンクするように心がけました。

たとえば私はブランディングやデザインを通してワクワクが増えていくのがとても好きですし、コミュニケーションに関しても「話しやすい」「その人の長所を見つけるのが上手い」「穏やか」と言っていただけることが多いです。(嬉しいので褒め言葉としてちゃっかりいただいています。)

ロゴマークにはそのように「くんちゃんらしいね」と思っていただける雰囲気を醸したいと思いました。また「戦略性」「可能性」というコンセプトがハードな印象を含む分、この「わくわく、楽しく」でロゴマークのバランスをとっている側面もあります。

実際にどのようにデザインに落とし込んだかは、後述の「書体選び」と「色選び」の項目に記載いたしましました🖋✨

書体選び

上記コンセプトの(4)わくわく、楽しくをビジュアライズするために、書体はドイツのLinotype社のAkko® Pro Rounded Bold Italicをベースとして使用しました。タイプディレクターの小林章さんが作られた書体です。
丸みを帯びたフォルムが可愛らしく、その一方で現代的で、マイルドな整然さを私は感じます。

またAkkoという書体をベースにしつつ、その足を僅かに太らせるよう形状を調整をしています。
少し太らせることでぷっくりとした愛らしい印象と、植物のように地面にしっかり根差しながら一歩一歩進んでいくイメージをプラスしています。

スクリーンショット 2022-03-25 14.06.18

この“ぷっくり化”のインスピレーションの源は我が愛犬です。
愛犬のかわいさについて語りだすと話が止まらなくなるので頑張って割愛しますが、散歩の時のトコトコと冒険に繰り出すかのような楽しい足取りからヒントを得ました。
ぜひ先ほどの愛犬の写真に写っている“あんよ”と見比べてみてください笑

色選び

配色には「太陽の光、実り、閃き」を表す橙と黄の中間色を用い、Tanemakiのメインカラーとして「wakuwaku-orangeYellow」と名付けました。

色選びの際にはユニバーサルデザインの観点から可読性を考慮し、色を明るくしすぎないように気をつけました。
黄×白の組み合わせは特に高齢者にとって認識しづらい配色となりうるので、明るい印象を保ちつつ明度差をつけて可読性を担保できるよう数値調整しています。

ロゴマークの展開

ロゴマークにとって大切なことの一つが、実用的な展開のしやすさだと思います。

今回の屋号のロゴマークを作る時点で、ポートフォリオサイトとプレゼン資料にロゴマークを展開して使用することは予め想定していました。
ですのでたとえばWebサイトのヘッダーへの収まりの良さや、下記のように資料フォーマットで活用しやすいモチーフは必要だなと考えながらデザインをしました。

画像5

上記のように種の広がる様を一つのモチーフとして展開できますし、もっとバリアブルに1粒もしくは1,000粒の種をモチーフとして展開することも可能です。

さまざまなシチュエーションに適応しながら展開できる面白さが、Tanemakiのロゴマークには含まれていると思います。

まとめ

このロゴマークのキーワードの1つは「可能性」です。
コンセプトにもそれは含まれていますし、見る人によってのモチーフの見え方やロゴマークの展開に関してもさまざまな可能性を含んでいます。
もしくは適応性や余白という言葉でも言い換えられるかもしれません。

この解釈や展開の可能性は、私にとってはわくわくの源でもあります。

このロゴマークを作ることで、改めて自分について主観的にも客観的にも考え、それをアウトプットして形にできたことで新たな一歩を踏み出せたように思います。
今回作ったロゴマークをTanemakiの「しるし」として掲げ、新たなスタートを楽んでいきます!

長い記事となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました🍀


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?