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『コンビニエンスストア様』村田沙耶香によるラブレター調エッセイ。コンビニ人間の読者は必読!

2016年に芥川賞を受賞した『コンビニ人間』。

そのキャッチ―なタイトルから、ふだん、あまり本を読まない層にも爆売れ。売り切れ続出の大ブームになりました。

今日はそんな『コンビニ人間』を読んだ人にはぜひ読んでほしい、『コンビニエンスストア様』のご紹介。著者の村田沙耶香さんが、コンビニに向けてつづった、ラブレター調のエッセイです。

もともとは『ラヴレターズ』というアンソロジーに収録された作品なので、16ページ程度と短め。サクッと読めます。Kindleなら無料なのでぜひ。


擬人化のぶっ飛び具合に、あなたもきっと引き込まれる


著者の村田さんは、実際に大学時代からコンビニでアルバイトを続けてきた方。『コンビニエンスストア様』では、村田さんとコンビニの思い出がつづられています。

帰り道、ふと、貴方の困った顔が見たくなった私は、貴方にこう声をかけました。「コンビニエンスストアと人間って、セックスできると思いますか?」私は顔が赤くなったり、戸惑ったりするだろうと思いました。けれど、貴方はさらりと答えました。

へ?セックス?コンビニと?なんて混乱していたら、あっという間に村田ワールドへ。

村田さんのコンビニへの偏愛具合がすごすぎて、読んでいると、「あれ?コンビニって、実は人間なのかな?」と錯覚してしまう。擬人化の域を優に超えてる。

好きになった理由も書かれているんだけど、これが泣ける。なんて切実な恋なの。

貴方はヒトではない、と皆は言いますが、貴方と出会うまで、ヒトではないのは私のほうでした。少なくとも、上手に人間ができる人間ではありませんでした。貴方の側にいることで、初めて、私は人間になったのです。

『コンビニ人間』の、あとがき的エッセイだと思います。気になる方、スキマ時間にぜひ読んでみてね。

『コンビニ人間』を未読であれば、そちらからどうぞ。

2020年に芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』と同様、主人公の生き辛さ、社会になじめない違和感、それを救う存在。そんな関係性を言語化してくれています。


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