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『か「」く「」し「」ご「」と「』若者からの絶大支持!キミスイ作者・住野よるが送る、かわいい能力者たちの青春物語

カッコがバキバキに多いタイトル。しかも最後、閉じてない。

そう言われると「あー!気になる!最後、閉じてないの気になる!!」って方がいるかもしれませんが、これにはワケがあるのです。

今日の一冊は、『君の膵臓を食べたい』や『青くて痛くて脆い』の作者、住野よるさんの『か「」く「」し「」ご「」と「』をご紹介。

学生時代に味わったはずなのに、大人になって忘れていた感情がギュッとつまった青春小説です。読み味は、サイダーみたいにさわやか。なんというか、シュワシュワなの。雰囲気はこちらの映像で伝わるかしら。

住野よるさんの小説って、大人は敬遠しがちなのですが(熊野ねこ調べ)、大人にこそ読んでほしい!と、わたしは訴え続けます。


それぞれが持つ、自分だけの「かくしごと」


学生時代、とりわけ高校時代というものは、自意識がぐんと成長する時期だと思うのです。その結果、自分と周りの違いを知って、思いやりを学ぶというか。

この物語に出てくる5人のクラスメイトも、お互いに相手の気持ちを汲んで思いやりつつ、空回りつつ、絆を深めていくのです。それぞれが持つ、自分だけの「かくしごと」を駆使して。

ここから少しファンタジーが入りますが、それぞれの「かくしごと」とは、相手の気持ちや感情が、記号になって見える能力なのです。

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なんじゃ、このかわいい設定は。サンリオ?

懐かしくてくすぐったい、大人のための青春小説


初読では、単純に「青春×ファンタジー」かと思っていたのですが、たぶん違う。思春期ならではの機微や自意識を、「記号が見える能力」として表現したんじゃないか?と、再読していて思った。

こういうファンタジー感とか、思春期の自意識が見え隠れしがちな主人公とかが、大人に苦手意識を持たれがちな要素なのかも。

だけど、物語はホントにありふれた学園生活を描いているのです。文化祭とか修学旅行とか、放課後の図書館とか。ゆるく、ゆるーく伏線を張ったり回収したりしながら、高校生の日常に起きる出来事を描いた作品。

だからこそ、大人が読むと、懐かしくてくすぐったくて、愛おしい気持ちがあふれてくる。

なーんも考えずに、日常を忘れて、学生時代のきらきらを味わいたいときにオススメです。


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