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『盲目的な恋と友情』辻村深月が描く、絡み合う恐怖の人間関係!ベストセラー『かがみの孤城』とは一味違う1冊

本のジャケ買いって、なんて楽しいのー!

以前、このブログでも取り上げた人気画家、ヒグチユウコさんの表紙が印象的な『盲目的な恋と友情』。数多くのファンを持つ人気作家、辻村深月さんの書き下ろし作品です。

かがみの孤城』や『鍵のない夢を見る』などが有名ですが、こちらもぜひ読んでほしい!盲目的で、痛くてヒリヒリとした人間関係に、どんどんと読み進めてしまう1冊です。

破滅的な恋愛と、歪んだ友情


構成としては、タイトル通り「恋」と「友情」の2本立て。

「恋」は、主人公の蘭花が、茂美星近(しげみ ほしちか)という男性にのめり込み、どんな事件が起きても絶対に別れず、盲目的に愛している様が描かれています。

どうしてみんな、茂美の美しさに、気づかないの。あなたたちのその凡庸な彼氏とは明らかに違うのに、何故みな、そんな、美しくない、特別でもない相手で、満足できるの――。

この「恋」を読み終わった時点で、実は「ふーん」で終わってたの。べつに、紹介しなくてもいいかなって。でも、「友情」を読んで、サーっと鳥肌が立って、一気に引き込まれてしまった。

「あぁ、推理小説みたい」と思う構成なの。「恋」は、主人公の蘭花視点、つまり、盲目的な人間の視点で描かれているから気づかなかったけれど、違和感は少しずつ散らばってたなって。

怒涛の伏線回収のような「友情」で、んああああおすすめしなくちゃー!とうなってしまいました。とても生々しい物語だった。

ひとつ悩みがあったりすると、「なんでこんなことも気づかなかったんだろう?」ってくらい、他のことに目がいかなくなりませんか?それをまざまざと見せられた感じです。

これは!ぜひぜひ、これ以上の情報を仕入れずに読んでみてほしい。おすすめです。

■次はコレ!この本が好きなら、これも好きなはずシリーズ
『夜の向こうの蛹たち』近藤史恵――出版業界を舞台に、小説家2人と秘書、3人の女性が織りなす心理サスペンス
『噛みあわない会話と、ある過去について』辻村深月――過去の怒りは消えないけれど、どう向き合うかはあなた次第
『ナイルパーチの女子会』柚木麻子――人との距離感に悩むすべての人に読んでほしい1冊

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