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『騙し絵の牙』公開中の映画原作はどんな話?出版社を舞台に、大泉洋をあてがきした編集長の嘘を見破れ!

2021年3月26日に映画が公開されたばかりの『騙し絵の牙』。

主演の大泉洋さんの不敵な笑みが印象的な予告と、「登場人物全員ウソをついている」というコピー通り、ラストに、あっと驚く仕掛けが待っている物語です。

今日はそんな『騙し絵の牙』の、原作となっている小説をご紹介。

映画をご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、ぜひ原作を読んでほしい!活字だけなのに、脳内で大泉洋が動き出す不思議な小説です。


『罪の声』の塩田武士さんが描く、大泉洋あてがき作品!


原作は、2017年に発売された、塩田武士さんの『騙し絵の牙』。

塩田さんといえば、2021年に小栗旬さんと星野源さんのダブル主演で映画化された『罪の声』の作者さんです。神戸新聞社で記者をされていた経験から、物事の裏にある人間の思惑や心理を描いた、ずっしりとした読み応えのある作品が得意な方だと思う。


さて、冒頭にも載せましたが、『騙し絵の牙』の表紙をご覧いただきたい。

そこにはすでに、大泉洋さんの姿が。この小説、芸能事務所との共同企画で生まれたもので、大泉洋さんをあてがきした主人公が登場するのです。「ぜったい映画化するじゃん!」と思いながら、ワクワクして買った記憶。

出版社を舞台に、出版業界の裏側をのぞき見できる1冊


さて、内容はというと、読書好きには興味深いであろう、出版社が舞台になっています。斜陽産業と言われて久しい出版業界を描いた社会派小説として、かなり読みごたえがあります。

社会派小説というと「お堅くて、読むの大変そう~」と思う方も多いかもしれません。しかし、そこは大泉洋さんをあてがきした人物が主人公なだけある。飄々とした雰囲気ただよう、読みやすい内容になっています。

主人公の速水輝也は、大手出版社の「薫風社」に努める会社員。ある日、自身が編集長を務める「トリニティ」が廃刊の危機にあることを告げられ、会社に翻弄されていく――。というお話です。

この速水輝也という人物がね、とても魅力的なの!人当たりが良くて、ウィットに富んだ会話やモノマネが得意な、全方位から愛される人たらし。大物作家相手に、同僚相手に繰り広げられる会話劇は、読んでいるだけで「ふふっ」となる。

物語の中で行われる、主人公と周りの人々の会話の応酬が、そのまま大泉洋さんがしゃべっているのが想像できて、コメディのよう。

コメディアンのような速水に、読んでいくうちに魅せられて、どんどん読みすすめちゃうのですが。冒頭にも書いた通り、ラストには色々な事実が浮き彫りになって「すべてが嘘だったのか……?」と驚くような結末が待っています。

これは、ぜひ小説でも味わってほしい!おすすめです。


余談ですが、表紙の雰囲気が星野源さんの作品アートワークに似ているなと思ったら、クリエイターさんが同じ吉田ユニさんでした。このパキッとしたモダンな感じ、おしゃれで好き。


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