クボタマサヒコ
BOY meets MUSIC ストーリーズ
ブック・レビュー
自作レシピ集
その怪、それは奇。
沖縄とわたし。
春が終わり夏はもうすぐその角まで。 たまたま先月くらいから、ブッチャーズを心なしかいつもより聴き返していたり、吉村さんの出身地である留萌の場所を何の気なしにGoogle Mapで見たりしていて。 で、5月に入ったゴールデンウィークの最中、ライブツアー仕事で札幌に行く用が出来て、あぁそういえば吉村さんと初めてちゃんと会話したのも札幌のZeppだったなとか、今はどうしてるのかなあっちでもいいちこやら余市やら飲んでるのかなとか取り留めもなく考えたりしてたら、あれ今までぜんぜんお墓
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -9 バンドは団体戦だ。 クラスの片隅でひとり、どんなに鬱屈として世間を呪ってみたところで、その一瞬で世界を一変させる1,2,3,4の奇跡の4カウントは、教室の窓の外からも気になるあの子の寝言からもまるで聞こえてきやしない。 どんなにコミュニケート不得手だろうが、仲間を集めないことには音楽は鳴り始まらないのだ。これはゲームではない。 そしてベーシストとボーカルが不在なまま、僕らは中学最期の春を迎えた。 *現在の
ずっと気づかないフリをしていたけど、もうすぐそこまで来てしまった存在をこれ以上無視している訳にもいかず、僕は観念して駅前の魚屋に足を運び、程度の良い鰤と大根を買い求めた。 街がようやく静まった時分、もう去って行ってしまったポストサマーに想いを馳せ、台所で鰤と大根をコトコト煮る間にこれを書き始めた訳なんだけど、いつの間にかそんな季節になってしまったよね。 そんな夏の終わり、『解放 ポストサマー』と題したライブイベントに先月、以前から只の一ファンでありながらもご縁あってSO
みたいな話を、先日SFメイトでもあるNovoiski氏と夜な夜な語っていたのだけれど(クリストファー・ノーラン的なやつ)、もし、万が一にでも過去の時代に移動する事が可能だとするのならば、迷わず僕は「江戸時代」に行ってみたい。 浅草にある母方の実家のお寺を住処にして、当時の華やかな江戸の暮らしを余す事なく享受してみたい。 その理由はだいたい百個くらいあって(ない)、1つ目は何といっても魚とか鰻とか寿司とか蕎麦とか、兎に角食べものが絶対美味しいに違いないだろうという事(環境汚
雲は低く、蓋をした様に空を覆っている。まだ風も強い。 ここ最近は世の中もだいぶ通常モードになってきて、仕事先に出向いて行くことも多くなった。そんな訳で今日は久しぶりのまっさらな休日だ。 連日の台風の影響もなんとか収まったので、寝起き早々恒例の洗濯機2回しを敢行。その間に顔を洗い、軽くスキンケアをする。髪もだいぶ伸びたな、忙しさにかまけてたけど、そろそろサロン行かなきゃだ。 それにしてもすっかり寒い。中間コーデを色々楽しみたかったのに、いつだって秋って人は足早だ。もはや実
【第二夜】 先日お話した怪奇には続きがある。 後日のある夜、その彼女と車で出かけた帰りに自宅まで送っていき、かなり遅い時間になっていたので、一帯が閑静な住宅地というのもあり家の1ブロック手前くらいで車を停めエンジンを切った。 そのまま車の中で何となく話を続けていたのだが、そのうちに何か気に入らないことでもあったのか彼女がだんだんと不機嫌になり、しまいには相当な剣幕で一方的に責め立てられるという事態になってしまった。 「もう、一体どういうこと?!」 「いや、そう言われて
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -8 えっ、そこは普通ベースだろ…! そう思いっきり突っ込みたいところだったが、ここでヒサミツの気分を害してしまっては元も子もない。ようやくこの道に引きずり込んだ貴重なメンバー候補だ。パートはともかく今は仲間を集めるのが先決なのは間違いない。 そうして僕は、メンバー探しに奔走することになった。 といっても学年にたった4クラスしかない小さな学校だ。そういう意味では探しまわるのはラクだが、適切な人選は困難を極めるのが
気付いたら夏が行ってしまった。 カレンダーが9月に捲られた途端、まるで会期を終えた催し物かのように夏は夏であることをやめてしまったようだ。 窓の外の抜けるような青空を見て、回していた洗濯機からシーツと枕カバーを取り出し、ベランダに1枚ずつきっちりと干していく。心なしか真夏よりすっきりとした青い空と綺麗なコントラストとなって風に揺れていた。 まだ涼しいとは言えないけれど、もう夏ではない何かを胸に吸い込んだ。 それにしてもこの一週間はなかなかハードだった。 半分はリモートワ
沖縄とわたし ④ 沖縄に台風9号が接近し、かなり大型だということで、島に暮らす知人達も籠城を覚悟している様子が、SNS上で多く見受けられた。 現在のところ連絡をくれた友人含め皆無事だったけれど、家のガラスが割れたという話や、ニュースでも街中でそれなりの被害が報じられていた。 今日は、70m級の「吹き返し」(初めて聞いた言葉だ)の風が吹いているらしく、これ以上の被害が出ないことを祈りたい。 若干、不謹慎ではあるが、今回どれくらい危険な台風だったかというバロメーターが、沖縄
【第一夜】 これはもうずいぶん前の話になる。 その頃、お付き合いをしていた女の子と車で都内へライブを観に行った帰り、かなり遅い時間になって、僕の運転で横浜郊外の環状線を走っていた時のことだ。 その時間になるともう他に走る車もなく、僕らはとりとめのないライブの感想などを交わしながら、夜の街道を進んでいた。 沿道には人影はもちろん、建物すらなくかなり視界がひらけていて見通しがよすぎるくらいの道路だった。 道はしばらくまっすぐだったが、当時はカーナビも付いていなかったので
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -7 昨夜の日曜洋画劇場で『ベスト・キッド』を観たおかげで、興奮して寝付けずに絵に描いたような寝坊を喫した僕は、遅刻ギリギリで教室に飛び込んだ。 真っ白な開襟シャツはすでに汗でぐっしょりだ。 しかし今や気分はKARATEの達人、僕に案ずることなど何もない。 これしきの事は「心頭滅却すれば火もまた涼し」、である。 (このオープニング・タイトルの出方よ…最高だな。。) 席に着き、ミヤギ師匠から教わった(教わってない)
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』中学生編 -6 「何だよ、見せたいのって。」 ヒサミツが訝しげな顔をして、僕の部屋の本棚を手持ちぶさたに品定めをしている。 遙か古(いにしえ)から、初めて訪れた部屋において繰り返し行われてきたであろう、ささやかな通過儀礼である。 しかし、僕の一番の愛蔵書である宮沢賢治大全集には微塵たりと興味を惹かれなかったようであり、遺憾ながら彼は早々にテレビの前に座を移してきた。 (僕はその全集の附録であった著者近影のフォトスタンドを
これはまずい、溶ける。 「見ろ、化粧が泥のようだ…!」(見ないで) 本来なら今日はお盆休みだったはずだったのが、よりによって急きょ対面の打合せが入り、この冗談みたいな日差しの中、赤坂にあるオフィスビルまで出向いてきた。 どうやらこの業界の人の元にはご先祖様は帰ってこない世界線らしい。 自宅から電車だと30分かからない程度の距離なので、久々のこの状況だし自転車で向かうことにした。(あとでこれはミステイクだと後悔する事になる) Bianchiのスポーツタイプ、軽くて取り回しの
沖縄とわたし ③ そうやって歌舞伎町で沖縄(料理)の洗礼を受けた僕だったが、その後スムーズに行く機会が訪れることもなく、気付けば数年が経ってしまっていた。 今でこそ沖縄はポピュラーな旅先だけれど(現在は現在でまた大変だが)同じ日本でも、当時はわりとハードルが高いイメージだった。 そんなある年の事、僕がやっていたバンドpopcatcherとレーベルメイトだった静岡・沼津を代表するGOOFY'S HOLIDAYという盟友バンドが、彼らのアルバムのリリースに合わせた全国ツアーの
ムダに長いZOOM会議が終わって、いったんノートブックを閉じ、ふーっと息をついた。 あの人なかなか話終わらないんだよな…。わたし的にはPDFに全部要約して出してるのに何故に一から説明させるかね。ぶつぶつ。 少し換気しておこうと閉めきったサッシを開けると、狂わんばかりの蝉の鳴き声と共に、むっとした熱気が飛び込んできた。 ベランダに出てみると室外機の排熱と相俟って、地獄みたいな状態になっている。これはまいっちゃうな。たまらずにヘアゴムで髪をまとめ、プランターの子達の様子を見てま
つい先日のレバノンの事故、あの映像をみなさんも目にしているかと思う。 見たこともないような爆発と爆風。亡くなった方も大勢いて既に30万人もの人々が家を失っているという。 それを、あくまでテレビやスマートフォン越しの世界として認識しているけれど、 「もしあの爆発が自分の住む街で起きていたら…」と想像した人も少なくはないだろう。 そんなこの日本で、75年前の今日、 もっと凄惨で酷たらしい爆発が広島で起きた。 おそらくレバノンのさらに数倍であろう規模(その甚大な被害も)の爆発