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「店長の仕事」顧客満足と従業員満足

企業である以上、継続的に収益を上げていかなければいけません。そのためには、安定した売上が欠かせません。又同時に、以前の記事“「店長の仕事」お店の数字のつくり方”でもお話しした効率的な経費の使い方も大切です。

この両輪がうまく機能しない限り、収益を上げ続けることはできません。どちらか一方が欠けても ダメなのです。

この両方に深くかかわってくるのが、今回のテーマ“顧客満足と従業員満足”です。

売上は顧客満足に大きく左右されます。経費のうち大きなウエイトを占める人件費を効率よく使うことで、従業員の満足度も上がり、売上に直結します。業績向上のため、この両方を上げる努力が欠かせないのです。


<顧客満足>

まず、人が物を買う場面を考えてみましょう。

何かを買うときは、

  • ☺お店が気に入って

  • ☺スタッフが気に入って

  • ☺商品が気に入って

  • ☺値段が気に入って、

お金を払うことになります。

どれか一つでも気に入らないところがあると、なかなか買う気になりません。これらすべて気に入ってもらうことが、顧客満足ということになります。

売り場について、スタッフや商品について、別記事で書いていますので、チェックしてみてください。

お金を払うというとき、人は自分にとってそれ以上の価値があると思って、お金とその価値を交換するのです。その方が得だと思うから交換できるのです。この価値が高ければ高いほど顧客満足度が高いことになります。

(お客様の声)

顧客満足度・不満足度を知る一つの方法として、“お客様の声”の活用があります。

ただ自由に記入いただく欄があるだけのもの、アンケート形式のもの、その両方を備えたものなど、形式や記入内容も様々です。又店内に用紙と回収BOXを設置する場合、お会計時にお渡しして次回持参いただく、または郵送で回収する方法など設置方法も様々です。記入時に特典を付ける方法などして回収率を上げることもいいでしょう。店舗の事情や経費のかけ方を考慮してやり易い方法を選んでください。

質問例をいくつか挙げると

  • どこでお店を知りましたか?

  • 何をお探しでしたか?見つかりましたか?

  • 購入前に何か気になることはありましたか?

  • 購入を決めたポイントは何ですか?

  • ご利用されたことのある方に、お使いになって満足されていますか?

  • 何かご要望はございますか?

  • ご自由にお書きください。

回収したお客様の声によって、不満や不安な点を改善していくきっかけになりますし、お褒めの言葉をいただければ、嬉しさこの上なくやる気もアップするでしょう。いいことも悪いことも一人の責任や喜びとせずに、スタッフ全員と共有していくことが大切です。

人は他人に何かをしてもらうと、お返しをしようと思います。気持ちよく買い物ができた時には、またここで買ってあげたいとリピート買いとなり、新規顧客紹介となり、口コミ向上となり、次々とお客様がお客様を呼ぶ好循環が生まれるのです。

その役割を担っているのが、スタッフです。顧客満足度を上げるカギを握っているのが、スタッフなのです。

<従業員満足>

人はなんのために働くのでしょう。“お金を稼ぐため”、それだけでしょうか。お金以外の目的の一つが“やりがいがあるから”です。

店長が考えなければいけないことは、ここにあります。

ただ給料がいいからというだけで入ってきた人は、ほかにもっといい条件の会社が見つかれば、さっさと移っていってしまいます。“金の切れ目が縁の切れ目”。「せっかく育ててやったのに」と、くたびれもうけに終わってしまうのです。

「給料はそれほど高いわけではないけれど、やりがいがあるから続けられる」、というのは非常に重要なことです。

楽しく働けるようにすること

店長には、スタッフに楽しく仕事をしてもらえるようにする義務があると私は考えています。

楽しそうに働いているスタッフには、お客様も好感を持ち、自然と人が集まってきます。逆に、いやいやながら仕事をしている、やる気の無いのが見て取れるようなスタッフには、お客様は近寄りたくもありません。当然のことながら、売上は上がりません。

極端に言えば、楽しく仕事ができる環境さえあれば、売上は黙っていても上がってくるのです。

(インセンティブプラン)

給料を闇雲に上げても、売上アップに直結するわけではありません。必要最低限平均的なものは確保する必要がありますが、人件費を上げるだけでは、経費ばかりかさんで収益を圧迫します。そのうち実績も上げていないのに、昇給欲求がどんどん膨らんでくることになりかねません。

給料とは、あくまで働いた成果に対する報酬対価なのです。

少し前に、能力給や歩合給に移行することがもてはやされました。基本給の大部分を業績連動型にするものです。しかし思った通り、ものの数年ほどで廃れていってしまいました。企業側が経費削減効果を優先させすぎて、従業員満足を高めるという意識が欠落していたのです。

成功報酬のメリットは、やったらやっただけ給料が上がるというものですが、デメリットとして、思うように成果が上がらない時に、給料が下がりすぎて生活に困るということです。少し成果が出ないだけでそうなっては、やる気は出なくなってしまいます。能力給の場合も、正当な評価とはどんなものか、答えを出さないまま、安易に、いい加減にスタートしてしまい、社員を正しく評価できていないために不公平感が募る結果となってしまったのです。まったく行き過ぎた制度で、最初から結果は見えていたと言えるでしょう。

私は大学を出てまず、証券会社に入社しました。この時それほど偏った歩合給ではなかったのですが、それでも仕事の出来る人とそうでない人の給料の格差は、月給ベースで数百万円ありました。これでは出来る社員でさえ、一歩間違えれば転落するのではという不安に駆られてしまいます。のびのびと能力を発揮できる環境ではありませんでした。

前述の“「店長の仕事」お店の数字のつくり方”でも書きましたが、私が提案するのは、インセンティブプランを充実させるということです。

インセンティブプランとは、基本給はそのままにして、一定の達成条件のもと、それを達成すれば、何らかの報酬が得られるというものです。

スタッフからすると、その条件が達成できなくても給料が下がるわけではないので取り組みやすくなります。条件を達成した時に味わえる達成感と報酬、これは格別です。これこそが従業員満足ではないでしょうか。

インセンティブプラン
  • 月間売上**達成で、一人当たり**円支給

  • 第1ターゲット***円、第2ターゲット**円達成で、それぞれ**円、**円支給

  • 1日の新記録更新、**支給

  • この商品を月間**個売れば、**を進呈

  • このアイテムの月間売上上位3名に**を進呈

など、インセンティブプランの達成条件設定案は無数にあります。スタッフの希望に基づいたものにしてもいいでしょう。定期的にいろいろ変えて実施すれば、都度都度達成感を味わえることになり、モチベーションアップつながります。報酬はそれほど高くする必要はありません。少し頑張れば届きそうな目標を設定し、何度も達成して成功の余韻に浸ることが重要なのです。高すぎる目標はやる気をそぎます。高くするなら、第2ターゲットを設定すべきです。この条件設定は店長の腕の見せ所の一つです。店舗ごとの事情に合わせたものにしてください。

手が届きそうで届かない。届いたときは皆で大いに喜び合う。こうしたことを常にゲーム感覚で楽しみます。

楽しいことに人は意欲的になり、気持ちが前向きになるため、いいアイデアも生まれやすくなります。定期的に実施しましょう。

(各スタッフに寄り添う)

スタッフのおしりをたたくだけでは疲れてしまいます。時にはスタッフに心から寄り添うことも必要です。

毎朝出勤してきたときの表情から、各スタッフの心の変化を読み取ります。気になることが続くようであれば、声をかけてみます。仕事のこと、プライベートのことなど何でも構いません。

スタッフの“心のとげ”を抜いてあげることで、又そのスタッフが活発に動き始めることができます。

心のとげを抜いてあげよう

同僚ではダメなのです。店長がしっかりスタッフの話を聞いてあげることが大事なのです。

スタッフの心の不安を取り除いてあげる、たとえそれが出来なくても、その姿勢を示すことです。

人は、愛情をかければかけるほど、豊かになってゆき、大きく育つのです。

愛情を注ぐといいことが待っている

以前の記事“「接客の心得」お客様がどんどん増えていく”でも触れたように、スタッフは出荷されてきた製品に息吹を与え、商品に仕上げる大事な役割を担っています。

これは出荷時だけではありません。運悪くお買いいただけなかった商品に再び輝きを与えるという作業も含まれます。マイナスイメージが植え付けられた商品から、これを取り除き、再び生き生きとよみがえらせるのはスタッフしかいません。

こうしたことには結構エネルギーを消費します。店長がスタッフにすることと同じように、スタッフは、商品にも、お客様にも愛情を注ぐのです。このためには、まず健康でなければいけません。

「あのお店に行ったら、いつも元気が出るわ」、と言ってもらわなければいけないのです。それには、心もからだも健康でいなければなりません。

店長は自分の健康だけでなく、スタッフの健康管理にも気を配ってください。

こうしたことにより、従業員との信頼関係が徐々に築かれていくのです。強い信頼関係は、仕事上の満足度を高めることにつながります。こうしてスタッフ一丸となって、目標達成に向かう事が出来るようになるのです。

自分一人で何もかもしようとせず、スタッフの得意なことをどんどん任せて責任を負わせることで、やりがいを高める事にもなるのです。

仕事上の満足をどこで感じるかというのは人それぞれです。スタッフ一人一人をよく観察し、理解することを最優先に考えていけば、きっとうまくいくでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。参考になれば嬉しいです。良ければスキ・フォローをお願いします。次回も「店長の仕事」シリーズを予定していますので、引き続きよろしくお願いします。

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