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「店長の仕事」お店の数字のつくり方

店長の仕事の最終目的は、売上を上げて会社に収益をもたらすことです。そこには必ず数字というものが付いて回ります。数字が読めなければ、効率よく少ない労力で収益を上げることができません。

上がった売上から経費を差し引きした残りの収益をいかに増やすかが課題です。つまり、収益を大きく伸ばすには、ただ売上を上げればいいというわけではなく、いかに少ない経費で運営するかを考えることででも実現できるのです。

今回は、そうしたお店に関係する数字の見方、作り方をわかりやすくお話しします。

まず、売上を上げること、そして経費を削減することの順に見ていきましょう。


<売上を上げる>

(売上の分解)

売上というのは、お客様が店に来て商品を買う事で生まれます。

  • たくさんのお客様が来て、買っていただければ、売上はどんどん上がります。(件数)

  • お客様が少なくても、一度にたくさんのまとめ買いをしていただければ、売上は上がります。(個数)

  • 又、高額な商品を少しだけでも買っていただければ、売上は大いに上がります。(単価)

これを整理してみると、次のようになります。

売上高=何をどれだけ売ったか=1件当たり客単価×件数=(1個当たり単価×お買い上げ個数)×お客様数

先ほどの例で見てもわかるように、売上を上げるポイントは3つあります。

  1. 1個当たりの単価が高い商品を売ること

  2. 一人のお客様に、たくさんの商品を買ったいただくこと

  3. たくさんのお客様に来店いただき、買っていただくこと

しかし、経理から回ってくる月次決算の損益計算書には、売上高や売上原価、各営業費用、そして損益という項目が並ぶだけで、店長が知りたい数字、こうした数字は書かれていません。

店長は、これらの数字をうまく結びつけなければいけないのです。必要な数字がないなら、自分で作ればいいのです。(経理には、出来る限りの協力をお願いすることも忘れずに)

先ほどの売上を分解した数式を見てください。売上を作る要素は、客単価と件数、そしてそれは、1個当たり単価とお買い上げ個数、そしてお客様数の3つです。

  • どんな価格の商品が売れたのか(1個当たり単価)

  • いったい何個売れたのか(お買い上げ個数)

  • そして何人のお客様に売れたのか(お客様数)

これらの数字をつかむことが店長の仕事の第1歩です。

(1個当たり単価を上げる)

高いものを売れば、売上は一気に上がります。しかし高額商品が飛ぶように売れることはあまりありませんね。ではどうすればいいでしょう。

それは安いと思っていただくことです。

商品の価格よりも、その価値がずっと上だと思う事が出来れば、その価格は安いものになります。

人気があって、市場価格が店頭価格を上回ることもありますが、これをあてにすることはできません。お店が、スタッフが、その商品に付加価値を与えることが出来れば、お客様は納得して、お金を払ってくれます。

付加価値とは何でしょう。私は“魅力”だと思っています。

その商品の魅力を存分に引き出してお客様にお見せするのです。日ごろから自分の手で触ってみて、自分なりにその商品の良さを感じておくのです。それを3つくらい用意しておき、お客様に熱意を持って訴えかけるのです。自分で使ってみた時の感想や、身に着けてみた時の印象などがあればより現実味を帯びたものになり、説得力を増すことになります。店の商品は必ず試しておきましょう。

商品の魅力の他には、お店の魅力とスタッフの魅力があります。

お店の売り場づくりについては別の記事「店長の仕事 売れる売り場づくり」で書いていますので、よければこちらもご覧ください。

あのスタッフが扱うと、安い商品も高く見えるという事があります。それはその商品の良さをうまく引き出している証拠です。先ほどのように商品の魅力を感じたら、それを尊重して丁寧に扱ってあげることで商品が生き生きとして輝きを増し、いい商品に見えてくるのです。

そして、お客様に、「この人から買ってあげたい」と、喜んでいただくことで購入につなげることができるのです。

輝いた商品を輝いた人から買う事が出来れば、安い買い物をしたと思っていただけると思います。

時間はかかるかもしれませんが、出来るようになれば、楽に売上が上がるようになりますので、店長はじめ、スタッフ全員で、休まずあきらめずに実行していってください。

「接客の心得 お客様がどんどん増えていく3つのポイント」でも触れていますので、参考にしてください。

(お買い上げ個数を増やす)

お客様は皆、出来るだけ安く買いたいと思っています。そうした価格の低い商品でも、“塵も積もれば山となる”と言われるように、たくさんの数を売ることが出来れば、大きな売上を上げることができます。たくさんの数を売るためには、

  1. たくさんのお客様に来店いただいて買っていただく、

  2. 一人のお客様にたくさん買っていただく、ことが必要です。

(1)については後述しますので、(2)の“一人の方に如何にたくさん買っていただくか”について考えてみましょう。

その答えの一つが“まとめ買い効果”です。

2つ以上のお買い上げで、値引きをしたり、プレゼントを差し上げたりするのです。

「今なら2点お買い上げで10%引き、3点以上お買い上げなら20%引き」とか、「3点お買い上げで、もう1点差し上げます」とか、「3点お買い上げの方に豪華なプレゼントを差し上げます」など、まとめ買いをすることのお買い得感を訴えるのです。

同じ商品でなくても、例えば、スキンケアの洗顔・化粧水・美容液・乳液をまとめたセットに、ギフトとしておしゃれなポーチを入れたギフトボックスを作るというのもいいでしょう。

こうした限定キャンペーンは数量を稼ぐ上で効果的です。

この時のポイントは2つ。値ごろ感のある値引き価格設定をいくらにするかということ、そしてお客様が、欲しいと思うような魅力的なギフトをつけることができるかです。

こうしたキャンペーンを打たなくても、出来る事があります。それは日々の“関連販売”です。

ハンドバッグをお求めの方に、同じシリーズの財布を紹介する、腕時計をお買いの方に、その時計に合うデザインのブレスレットを提案する、こうした関連商品を同時に販売することで、販売戸数は上がっていきます。これは、スタッフのアイデア次第で大きく変わるのです。

「これが売れたら、これを一緒に紹介しよう」というものを常に用意し、必ず忘れずに言うようにします。どの商品にどれを関連付けるか、スタッフと相談しながら、アイデアを出し合って決めていけばいいでしょう。

そして、それらを近くにディスプレイすることも重要です。おなじショーケースにあらかじめディスプレイできればいいですし、出来なくても近くにまとめておくといいでしょう。奥に走っていくようでは「あ、もういいよ」となってしまいますので。

この関連販売は、お客様にとっても、新しい発見が伴うので、接客してお客様になっていただくうえで重要なアクションになりますので、日ごろから念頭に置いておきましょう。

(お客様数を増やす)

来店される方を増やすことが出来れば、それに応じてお買いいただくお客様の数も増えてきます。

来店客数を増やすには、広告やDM、協賛、そして紹介などがあります。

いずれも、いかに多くの方に存在を知ってもらい来店していただくかがキーとなります。

これは仕組みや仕掛けの問題となります。DMの場合を見ても、100人に送っても、一人来ていただければいい方です。後述する経費的な問題もあるので、店長一人の問題ではなく会社として取り組むべき問題です。

店長が日ごろ考えるべき点は3つ、

  1. 来店された方のうち、いかに多くの方に買っていただくか、

  2. お買いいただいた方にいかにして再来店していただくか、

  3. その方にいかにして友達を連れて来てもらうか、といったことです。

これらはすべて、先に述べたように商品もスタッフもお店も魅力的になることです。お店やスタッフのファンになっていただくことです。

「あのスタッフと又会ってみたい」、「又話がしたい」、「このことを友達にも伝えたい」、「一緒に来て友達にもファンになってもらいたい」、こうしたことはお金をかけずに出来る、最大の集客方法です。

そのための手助けとなることがあります。再来店や紹介で友人を連れてきていただいた方に対するメリットを用意することです。

お会計の際に、次回来店時に使えるクーポン券をお渡しするとか、お友達を連れてきていただいて、購入に結び付けば、割引やギフトがもらえるといったサービスです。ポイントカードを発行していれば、ポイント倍増といったこともいいでしょう。お客様が喜びそうなアイデアを考えましょう。

<経費を減らす>

いくら売上があっても、それ以上費用を使ってしまっては、利益が残るどころか赤字になってしまいます。逆に、売上が上がらなくても、経費をうまく削減することが出来れば、収益は上がります。経費を精査し、コントロールすることも店長の仕事の一つと思ってください。

その経費には様々なものがあります。店長がかかわる代表的なものとして、商品の原価、レジペーパーやコピー用紙等の消耗品、仕入れに伴う配送料といったような、物に関する費用。これらは売上と正比例するので、変動費と言います。そしてスタッフの人件費のように、人に関する費用があります。こちらは売上がなくても給料を払う必要があるので、固定費と言います。

前者は、原価の低い商品に力を入れる、古くなって大幅値引きしなくてもいいように、日ごろから頭において商品を動かしていく、万引きされて商品がなくなることのないように、什器やスタッフの配置を考える(防犯システムも有効です)、不必要なコピーを減らす、配送費の安い業者に乗り換える、仕入れの回数を減らす、といったことが考えられます。これらの費用の無駄は減らすことが求められますが、後者の人件費はむやみに削減したりはできません。

人件費を有効に使うのはどうしたらいいか。

私は、人件費の変動費化と考えています。

固定費である人件費を変動費のように売上によって増減させようというものです。これは、歩合給のような過激なものではなく、インセンティブを最大限に活用しようというものです。

歩合制の場合、売上が下がると、歩合給が下がります。基本給が低いので給料は大幅に下がることになります。これではスタッフのモチベーション維持には逆効果です。低いモチベーションでは、売上が上がるはずもありません。

そうではなく、基本給はそのままに、売上ターゲット達成でのインセンティブを充実させる方が達成感も味わえて、はるかに効果的です。インセンティブも現金支給以外にもいろいろあります。豪華賞品とか、社員販売の割引優先券とか、設定次第でちょっとしたゲーム感覚で仕事を楽しむことができるのです。ターゲットも第1ターゲット第2ターゲットと、段階的に設定することで、モチベーションを維持することができます。1日の目標設定から、1か月の目標、或いは特定の商品の販売個数目標など、その方法は無数にあります。スタッフを飽きさせないように、定期的に変えて実施すればいいでしょう。

又それ以外にも、店長として考えなければいけないのが、スタッフの効率的な配置です。

  • どの場所がよく売れるのか、

  • どの商品がよく売れるのか、

  • どの時間帯がよく売れるのか、

  • どの曜日、日、月にお客様がよく入るのか、

  • 誰がよく売るのか

  • どの客様がどの日によく来られるのか、

  • その担当はだれなのか、

スタッフの配置に抑えておくべきポイントはたくさんあります。これにスタッフの希望の休みも入れてシフトを作らなければいけません。結構大変な作業になりますが、これをうまくやるか、やらないかで、売上は大きく変わってくるので、よくスタッフを把握しておかなければいけません。

このように、入る方と出る方の両方をコントロールして初めて安定した収益が確保でき、うまく店舗を運営できているという事になるのです。

以上ここまでが「店長の仕事お店の数字のつくり方」になります。参考になる点がありましたら嬉しいです。良ければスキ・フォローをお願いします。次回も「店長の仕事」シリーズを予定していますおで、見に来てください。よろしくお願いします。

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