遠山桂

行政書士と消費生活相談員と大学非常勤講師(日本福祉大学経済学部)。 ネット取引と消費者…

遠山桂

行政書士と消費生活相談員と大学非常勤講師(日本福祉大学経済学部)。 ネット取引と消費者法の考察やショートストーリーを投稿します。 メディア一覧>https://profu.link/u/tohyama

最近の記事

InstagramやX等のSNS利用のビジネスやネット通販の広告ルールと契約書【うっかり法令違反をしないために】

 SEOは競合が厳しくなり、ネット広告は費用が高騰し、ウェブサイトへの集客は難しくなる一方です。  そうした流れの中でSNSをビジネス活用する機会が増えており、InstagramやX等のSNSからウェブサイトやLINEに誘引するノウハウが注目されています。そのようなSNSアカウントを運営するには、広告や取引条件に関する法律やルールを把握しておく必要があります。  SNSをビジネス利用する場合には、その広告や取引条件について、景品表示法と特定商取引法(通信販売規定)のルールが

    • 景品表示法のステマ規制で初の措置命令|割引の条件としてクチコミ高評価が違反認定

       2024年6月7日に消費者庁は景品表示法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)に違反したとして、東京都のクリニックに措置命令を発したことを公表しました。  認定された違反事実としては、Googleマップ内のクリニックのクチコミ欄に評価として星5か星3の投稿をした投稿者には、インフルエンザワクチン接種費用の割引をすると伝え、それに応じた投稿内容がステルスマーケティングに該当したというものです。  その投稿は、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっていると

      • 契約書を交付してもクーリングオフになるリスクを防止するための注意事項

         ネットで注文した商品が想像と違っていたからクーリングオフしたい。そういう声はよく耳にするものです。  しかし、インターネット・ビジネスは特定商取引法の通信販売ルールが適用されるため、基本的には一度有効に成立した契約を消費者側から取消しをすることが認められていません。  そのため原則としてはクーリングオフが適用されることはありません。  なぜ通信販売にはクーリングオフが認められていないかといえば、訪問販売や電話勧誘販売とは異なり、消費者がウェブサイト等の広告を見て自主的に

        • グーグルマップのクチコミに医院の悪評投稿で200万円賠償の判決(名誉棄損とステマのシーソーゲーム)

           グーグルマップにはクチコミ機能があって、実際に飲食店やクリニックを利用したコメントは大いに参考になるものはあります。  その一方で悪意を持って投稿されたコメントには名誉棄損の問題があり、事業者の自画自賛(自作自演)の投稿にはステルスマーケティングの問題もあります。  クチコミ機能とは、悪評と真実公開、好評と事業者のステマなどの要素がシーソーゲームのようなバランスで成立していることを認識する必要があるようです。  2024年5月31日の大阪地裁判決では、グーグルマップの口

        InstagramやX等のSNS利用のビジネスやネット通販の広告ルールと契約書【うっかり法令違反をしないために】

        • 景品表示法のステマ規制で初の措置命令|割引の条件としてクチコミ高評価が違反認定

        • 契約書を交付してもクーリングオフになるリスクを防止するための注意事項

        • グーグルマップのクチコミに医院の悪評投稿で200万円賠償の判決(名誉棄損とステマのシーソーゲーム)

          頂き女子への対抗は借用書!どんな間柄でもお金を貸すなら契約書の作成を

           マッチングアプリで知り合った多数の男性に色恋を持ちかけ、金銭をだまし取る手口をマニュアル化して販売していた「頂き女子」の「りりちゃん」逮捕のニュースはインパクトがありました。  その「頂き女子」マニュアルに沿って同様の色恋による金銭詐取をしたことで名古屋市の22歳女が逮捕、起訴されたことがデイリー新潮に掲載されました。 【デイリー新潮の記事】 名古屋「22歳頂き女子」に新たな被害者「1カ月ラブラブLINEが続いた後、“お母さんの入院費が…”」プロフィール写真とあまりに違う

          頂き女子への対抗は借用書!どんな間柄でもお金を貸すなら契約書の作成を

          ネット事業者のための脱ダークパターン!顧客満足度アップのテクニック

           インターネット・ビジネスの成長は続いていますが、参入業者も増加しているため競争は激化しています。  検索エンジンの上位表示(SEO)はGoogleによる公的機関や大手企業の優遇のため難しくなっており、ネット広告の入札額も高騰を続けています。  InstagramやX、Youtubeのコンテンツも供給過剰で閲覧数を増やすのは容易ではありません。  そのような中で自社のコンテンツにたどり着き、商品やサービスに関心を持ってもらった閲覧者には、気持ちよく買い物をして頂きたいもので

          ネット事業者のための脱ダークパターン!顧客満足度アップのテクニック

          ダークパターンの種類と景品表示法・特定商取引法の規制の課題|OECD2022年文書の要点(図解)

          「安いと思ってクリックしたら実は定期購入だった」 「退会したいのに、なかなか退会方法に辿り着けない」 「カウントダウンのタイマーにせかされて、思わず商品を買ってしまった」  このような閲覧者が無意識のうちに、不利な判断に誘導されてしまうウェブデザインや広告表現のことをダークパターンといい、それが消費者に損害を与えるものとして問題視されています。  ダークパターンは海外でも大きな問題となっており、OECD(経済協力開発機構)が「ダーク・コマーシャル・パターン|OECDデジタ

          ダークパターンの種類と景品表示法・特定商取引法の規制の課題|OECD2022年文書の要点(図解)

          「飲むだけで痩せると国が認めた成分」というアフィリエイト広告に景品表示法の措置命令

          「飲むだけで痩せる」 「国が効果を認めた成分」 「我慢しないでも痩せられる」 「1日1粒飲むだけ」  こうしたキャッチコピーやマンガ、比較画像を列挙して、健康食品(機能性表示食品)を販売するためにアフィリエイト広告を行ったスポンサー2社に対して、東京都の生活文化スポーツ局が景品表示法の不当広告として措置命令を下しました。(2024年3月27日) SNS上のバナー広告から遷移したアフィリエイト広告により不当な広告を行っていた通信販売事業者2社に景品表示法に基づく措置命令|東

          「飲むだけで痩せると国が認めた成分」というアフィリエイト広告に景品表示法の措置命令

          【小説】(第9話)消費生活相談員の憂鬱と矜持

           消費生活相談員とは、地方公共団体の消費生活相談センター及び消費生活相談窓口において消費生活相談やあっせんに対応する専門職だ。(消費者庁ウェブサイトより)  消費生活センターの数は、2023年4月1日現在、全国で856ヶ所、市区町村における消費生活に関する相談窓口を設置している自治体数は、1,721 自治体(設置率 100.0%)となっており、そこで相談対応にあたる消費生活相談員の人数は3,313人だ。  消費生活相談員の採用形態については全体の83%が非常勤職員であり、

          【小説】(第9話)消費生活相談員の憂鬱と矜持

          不当表示を行うアフィリエイターやインフルエンサーの罰則適用について(2023年5月公布の改正景品表示法)

           2023年10月1日施行の景品表示法の改正事項では、ステルスマーケティングが禁止行為に指定されました。  これにより事業者が広告であることを隠して、自ら行う自作自演のなりすまし投稿や第三者に依頼して行う投稿などが不当表示にあたるとして禁止されました。この禁止行為に違反した事業者は措置命令や課徴金納付命令の対象になります。 <参考> 景品表示法のステルスマーケティング禁止の告示追加による広告主の注意事項|遠山桂ブログ(2023年09月22日)  インターネットを広報ツール

          不当表示を行うアフィリエイターやインフルエンサーの罰則適用について(2023年5月公布の改正景品表示法)

          鶴瓶が日銀に提訴されるとか福山雅治が重体とか詐欺広告を放置するFacebookの闇

          FacebookやX(旧Twitter)等のSNSに表示される有名人の広告がことごとくフェイクや詐欺的取引への誘導であって開いた口が塞がりません。 (Google検索の表示結果にも有料枠で詐欺広告が表示されています)。 そのフェイク広告に使用されている有名人の画像は無断掲載であり、当の本人がFacebookを運営するMeta社に掲載を止めるよう申し入れしても改まらない無法かつ無策ぶりです。 しかもフェイク広告から誘導されるウェブページには、詐欺的な投資商品や代金だけを詐取

          鶴瓶が日銀に提訴されるとか福山雅治が重体とか詐欺広告を放置するFacebookの闇

          Facebookの詐欺広告からクレジット契約したカード会社への返金請求の経緯書の書き方

          FacebookやGoogle検索では詐欺的な悪質広告があふれています。 “笑福亭鶴瓶”「自分のやったことが恥ずかしい」 生放送での発言で日銀が提訴 “福山雅治さんが重体で入院” 見知らぬ男が後頭部を撃った “三木谷浩史氏が勧める投資” 毎月2,000,000円を稼ぎましょう これらは実際にFacebookで表示されていた広告のキャッチコピーです。 有名人の画像と興味を湧き立てるキャッチコピーで、詳細を知りたくて思わずタップしたくなるのも無理はありません。 し

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          Facebookの詐欺広告からクレジット契約したカード会社への…

          訪問販売や電話勧誘販売の規制対象拡大への対応と契約書の交付

          ネット通販でのショッピングはクーリングオフができず、事業者の契約書交付の義務もありません。  これが訪問販売や電話勧誘の場合だと、クーリングオフが可能となり、事業者には契約書交付の義務が求められます。  こうしたクーリングオフや契約書交付義務についてのルールは特定商取引法により定められています。 通信販売は、消費者が自分自身で主体的に情報収集をして契約をするものなので、そこには不意打ち性はなく、クーリングオフ対応や契約書の交付は必要ないとされています。 しかし、訪問販売や

          訪問販売や電話勧誘販売の規制対象拡大への対応と契約書の交付

          LINE等のメッセージ交信により商材やオンラインサロンの販売をするには契約書が必要です

          ネット販売ビジネスについては、事業者はクーリングオフや返金請求に対応しなくてもよいことになっています。 なぜなら特定商取引法の通信販売ルールでは、通販ビジネスはクーリングオフ制度の対象外になっているためです。 通信販売は店頭販売と同じく、消費者が自らの意思でショッピングをするものであり、そこには不意打ち性が認められないとされているのです。 ただし、消費者がウェブサイトからの申込手続きをしたとしても、その前段階や後段階でLINEやZOOMなどのツールを利用して商品説明などの

          LINE等のメッセージ交信により商材やオンラインサロンの販売をするには契約書が必要です

          不当なGoogleクチコミやFacebook虚偽広告を放置するデジタルプラットフォーマーの現状と課題について

           Google検索エンジンやMAP機能を提供するAlphabetやSNS(Facebook・Instagram・Threads)を運営するMetaといった巨大デジタルプラットフォーマーは、とても便利で快適なサービスを人々に提供しています。僕もそうした機能を無償で利用させてもらっており、とてもありがたく思っています。  そうしたデジタルプラットフォームは、膨大なユーザーが利用するサービスですから、システムの維持や利用者問合せへの対応など、運営事業者の作業負担もかなり厳しいもの

          不当なGoogleクチコミやFacebook虚偽広告を放置するデジタルプラットフォーマーの現状と課題について

          2023年におけるインターネット取引と消費者問題の5つの課題

          ※本文は筆者が著述した「インターネット取引と消費者法」(PDF文書)の”おわりに”を抜粋したものです。 おわりに  本テキストでは、インターネット取引を巡る事業者と消費者間の取引について適用される消費者法の基本的事項について解説をしております。  インターネット取引における消費者法という射程範囲では、契約面での規律である消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法等の各種業法、広告表示規制に関わる景品表示法や薬機、情報法の個人情報保護法、競争法の独占禁止法等の様々な分野の法律

          2023年におけるインターネット取引と消費者問題の5つの課題