遠山桂

行政書士と消費生活相談員と大学非常勤講師(日本福祉大学経済学部)。 ネット取引と消費者…

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行政書士と消費生活相談員と大学非常勤講師(日本福祉大学経済学部)。 ネット取引と消費者法の考察やショートストーリーを投稿します。 |Webビジネスの契約書→https://keiyaku-web.com/  |継続サービスの契約書→https://tokutei.biz/

最近の記事

「飲むだけで痩せると国が認めた成分」というアフィリエイト広告に景品表示法の措置命令

「飲むだけで痩せる」 「国が効果を認めた成分」 「我慢しないでも痩せられる」 「1日1粒飲むだけ」  こうしたキャッチコピーやマンガ、比較画像を列挙して、健康食品(機能性表示食品)を販売するためにアフィリエイト広告を行ったスポンサー2社に対して、東京都の生活文化スポーツ局が景品表示法の不当広告として措置命令を下しました。(2024年3月27日) SNS上のバナー広告から遷移したアフィリエイト広告により不当な広告を行っていた通信販売事業者2社に景品表示法に基づく措置命令|東

    • 【小説】(第8話)消費生活相談員の憂鬱と矜持

       消費生活相談員とは、地方公共団体の消費生活相談センター及び消費生活相談窓口において消費生活相談やあっせんに対応する専門職だ。(消費者庁ウェブサイトより)  消費生活センターの数は、2023年4月1日現在、全国で856ヶ所、市区町村における消費生活に関する相談窓口を設置している自治体数は、1,721 自治体(設置率 100.0%)となっており、そこで相談対応にあたる消費生活相談員の人数は3,313人だ。  消費生活相談員の採用形態については全体の83%が非常勤職員であり、

      • 不当表示を行うアフィリエイターやインフルエンサーの罰則適用について(2023年5月公布の改正景品表示法)

         2023年10月1日施行の景品表示法の改正事項では、ステルスマーケティングが禁止行為に指定されました。  これにより事業者が広告であることを隠して、自ら行う自作自演のなりすまし投稿や第三者に依頼して行う投稿などが不当表示にあたるとして禁止されました。この禁止行為に違反した事業者は措置命令や課徴金納付命令の対象になります。 <参考> 景品表示法のステルスマーケティング禁止の告示追加による広告主の注意事項|遠山桂ブログ(2023年09月22日)  インターネットを広報ツール

        • 鶴瓶が日銀に提訴されるとか福山雅治が重体とか詐欺広告を放置するFacebookの闇

          FacebookやX(旧Twitter)等のSNSに表示される有名人の広告がことごとくフェイクや詐欺的取引への誘導であって開いた口が塞がりません。 (Google検索の表示結果にも有料枠で詐欺広告が表示されています)。 そのフェイク広告に使用されている有名人の画像は無断掲載であり、当の本人がFacebookを運営するMeta社に掲載を止めるよう申し入れしても改まらない無法かつ無策ぶりです。 しかもフェイク広告から誘導されるウェブページには、詐欺的な投資商品や代金だけを詐取

        「飲むだけで痩せると国が認めた成分」というアフィリエイト広告に景品表示法の措置命令

        • 【小説】(第8話)消費生活相談員の憂鬱と矜持

        • 不当表示を行うアフィリエイターやインフルエンサーの罰則適用について(2023年5月公布の改正景品表示法)

        • 鶴瓶が日銀に提訴されるとか福山雅治が重体とか詐欺広告を放置するFacebookの闇

          Facebookの詐欺広告からクレジット契約したカード会社への返金請求の経緯書の書き方

          FacebookやGoogle検索では詐欺的な悪質広告があふれています。 “笑福亭鶴瓶”「自分のやったことが恥ずかしい」 生放送での発言で日銀が提訴 “福山雅治さんが重体で入院” 見知らぬ男が後頭部を撃った “三木谷浩史氏が勧める投資” 毎月2,000,000円を稼ぎましょう これらは実際にFacebookで表示されていた広告のキャッチコピーです。 有名人の画像と興味を湧き立てるキャッチコピーで、詳細を知りたくて思わずタップしたくなるのも無理はありません。 し

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          Facebookの詐欺広告からクレジット契約したカード会社への…

          訪問販売や電話勧誘販売の規制対象拡大への対応と契約書の交付

          ネット通販でのショッピングはクーリングオフができず、事業者の契約書交付の義務もありません。  これが訪問販売や電話勧誘の場合だと、クーリングオフが可能となり、事業者には契約書交付の義務が求められます。  こうしたクーリングオフや契約書交付義務についてのルールは特定商取引法により定められています。 通信販売は、消費者が自分自身で主体的に情報収集をして契約をするものなので、そこには不意打ち性はなく、クーリングオフ対応や契約書の交付は必要ないとされています。 しかし、訪問販売や

          訪問販売や電話勧誘販売の規制対象拡大への対応と契約書の交付

          LINE等のメッセージ交信により商材やオンラインサロンの販売をするには契約書が必要です

          ネット販売ビジネスについては、事業者はクーリングオフや返金請求に対応しなくてもよいことになっています。 なぜなら特定商取引法の通信販売ルールでは、通販ビジネスはクーリングオフ制度の対象外になっているためです。 通信販売は店頭販売と同じく、消費者が自らの意思でショッピングをするものであり、そこには不意打ち性が認められないとされているのです。 ただし、消費者がウェブサイトからの申込手続きをしたとしても、その前段階や後段階でLINEやZOOMなどのツールを利用して商品説明などの

          LINE等のメッセージ交信により商材やオンラインサロンの販売をするには契約書が必要です

          不当なGoogleクチコミやFacebook虚偽広告を放置するデジタルプラットフォーマーの現状と課題について

           Google検索エンジンやMAP機能を提供するAlphabetやSNS(Facebook・Instagram・Threads)を運営するMetaといった巨大デジタルプラットフォーマーは、とても便利で快適なサービスを人々に提供しています。僕もそうした機能を無償で利用させてもらっており、とてもありがたく思っています。  そうしたデジタルプラットフォームは、膨大なユーザーが利用するサービスですから、システムの維持や利用者問合せへの対応など、運営事業者の作業負担もかなり厳しいもの

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          2023年におけるインターネット取引と消費者問題の5つの課題

          ※本文は筆者が著述した「インターネット取引と消費者法」(PDF文書)の”おわりに”を抜粋したものです。 おわりに  本テキストでは、インターネット取引を巡る事業者と消費者間の取引について適用される消費者法の基本的事項について解説をしております。  インターネット取引における消費者法という射程範囲では、契約面での規律である消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法等の各種業法、広告表示規制に関わる景品表示法や薬機、情報法の個人情報保護法、競争法の独占禁止法等の様々な分野の法律

          2023年におけるインターネット取引と消費者問題の5つの課題

          ネットショッピングでは現金や電子マネーよりクレジットカードが安全というお話

          ネットを利用していろいろな商品やサービスの注文をするのは手軽で楽しいものです。 ただ、そんなネットショッピングにも落とし穴があるのは事実です。 海外詐欺サイトやインチキなセキュリティソフト、詐欺的な情報商材や出会い系サイトなど、トラブルは多発しています。 海外詐欺サイトとは、見た目はブランド品を扱う日本の通販ショップでありながら、実態は海外の悪質業者が運営する詐欺的なサイトです。ブランドのファッション用品がありえない安さで販売しており、その価格に魅せられて現金振り込み

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          キャッシュレス決済の普及と規制法

          ※本文は筆者が著述した「インターネット取引と消費者法」(PDF文書)の第6章の一部を抜粋したものです。 インターネット取引では、その決済方法としてクレジットカード等のキャッシュレス決済を利用する比重が高まっています。2018年に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」によれば、2015年時点での日本国内でのキャッシュレス決済の利用比率は18.4%であり、諸外国との比較では立ち遅れている状態です。これを2025年まで40%まで高め、将来的には80%の水準を目指すとして

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          定期購入契約の解約をする場合の通知書の書き方

           ネット通販や動画視聴サービスなど、定期購入(サブスクリプション)の契約が増えており、便利な一方で契約解除の手続が面倒で難しいというトラブルも生じています。  通販の契約は消費者が主体的に注文を行うことから不意打ち性はないとされており、クリーングオフの適用はできず、販売業者がウェブサイト内に表示する利用規約の内容が優先適用されるのが原則になります。  その利用規約に、例えば「6ヶ月以内に解約する場合は、違約金として3万円の支払いを要します」と記載されていれば、契約をした消費

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          定期購入契約の解約をする場合の通知書の書き方

          クーリングオフの文例(書き方)と手続について

           電話勧誘や訪問勧誘によって契約をした場合には、基本的にはクーリングオフが出来ます。(例外的に出来ないケースもあります)。  このクーリングオフ制度というのは法律で利用できる条件が定められていて、店舗に出向いての購入やネット通販では適用されません。  クーリングオフが適用されるのは、電話勧誘などの不意打ち的な取引であり、店舗購入や通販は消費者が自らの意思で買い物をしているのだから不意打ち性はないとされており、クーリングオフの対象にはなりません。  本記事では、クーリングオ

          クーリングオフの文例(書き方)と手続について

          訪問勧誘や電話勧誘のビジネスの契約書を作成するポイント

           訪問販売や電話勧誘販売といったアウトバウンド営業のビジネスを行う場合には、特定商取引法のルールを守らなくてはなりません。 同法ではクーリングオフに応じる義務や取引条件を記載した書面(契約書等)を消費者に交付する義務が定められています。  そうした義務に違反すると業務停止処分や罰金といった行政罰、契約の撤回や返金といった民事的ペナルティの対象になってしまいます。 持続的なビジネスを続けていくためにはコンプライアンスを徹底する必要があるので、特定商取引法のルールは把握しておく

          訪問勧誘や電話勧誘のビジネスの契約書を作成するポイント

          ネット事業者のための「特定商取引法に基づく表示」の書き方

          ネット通販サイトやSNS、各種プラットフォーム等の有償サービスの運営を行う場合には、ウェブサイトに「特定商取引法に基づく表示事項」を掲載する必要があります。 この「特定商取引法に基づく表示事項」ですが、よくわからないままに同業他社の掲載例をマネして書き写すことで済ませているケースはないでしょうか? これは特定商取引法という法律によって、通信販売事業者がウェブサイト等に表示すべきと義務付けされた事項なので、取り扱いをしているビジネスの内容を正確に記載する必要があるものです。

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          ネット事業者のための「特定商取引法に基づく表示」の書き…

          【第8話】ステマ通販とインチキ電話勧誘|特定商取引法ストーリー

           古びたアパートの1LDKの部屋に住むようになって半年が過ぎた。窓際や机の上にはストライクフリーダムや初代ガンダムのプラモデル、いわゆるガンプラが10機ほど鎮座している。長尾颯太は大学3年の期末試験を終え、明日からの春休みの予定についてボンヤリと考えながらガンプラを眺めていた。実家に帰ればガンプラはこの3倍の量があるが、これ以上は増やすなと親に口うるさく言われている。  春休みといっても、バイト以外の予定は何もない。アニメ研究会のメンバーは帰省や旅行で不在となり、大学に行って

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          【第8話】ステマ通販とインチキ電話勧誘|特定商取引法ス…