岸本 たくみ

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岸本 たくみ

1997|日記・コラム・フォトエッセイ・まとめ記事|トキドキ執筆・撮影| https://lit.link/en/tkm1212ampm

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記事一覧

雑記 _ Duplication

 空間のなか過去脈々とかたちづくられてきた歴史文化は、そのなかに居続ける個人の意思に長い歳月をかけて浸透を続ける。  排他的になり、合理性や創造性をわすれ、個々…

3

全方位欲

自分の写真を見返してみると、常になにかしらの「実験」を繰り返していることに気がついた。 新しい技法、誰にも真似できないひと癖、個性、というかなんというか。 それ…

岸本 たくみ
3週間前
7

写真。やるなら、もっと「見るもの」と「見ること」に気を配らなくちゃ。

岸本 たくみ
1か月前
3

溶けゆく肌

「境界」は、そう簡単に弛みをみせることがない。 たとえば昨日と今日。眠りが分断しているようで、そこにある明らかな時間的継続を否定することはできない。 旧友。場所…

岸本 たくみ
1か月前
2

頭の中を卓上に

綴ろうとおもえない中を、強いて言葉を絞り出そうとするのはどうしてだろう。 夜遅くにみた映画のせいだか、そうでなければ、捗らない作品づくりのせいだろうか。 静かに…

岸本 たくみ
1か月前
4

心象日記

もうあと半年、という所までたどり着いた。 その間にこちらは、27歳を迎える年になってしまった。 大学を中退し飲食業を興して職や住まいを転々としていて、ずっと見て見…

岸本 たくみ
2か月前
16

2024年5月22日 銀座にて

意思疎通について言うが、誰しも最初は、極めて率直で感情も丸裸なコミュニケーションを取っていたのだった。 嫌なものがあれば泣き叫んで拒絶し、不都合があれば人目をは…

岸本 たくみ
4か月前
4

言葉の不感症

とあるシットコムを見ていた時 "It's relatable!" というフレーズに出くわした。 コンパクトにまとまる訳がパッと浮かばず、《relatable》をググってみたところ、「関わり…

岸本 たくみ
4か月前

心の筋肉とひとの暮らし

朝、日の差さない湿り気の多いベッドで目を覚す。 平日の11時だというのに、二段ベットの階下に横たわる同居人の一人は未だまどろみの中にいるようだ。 誰もいないリビン…

岸本 たくみ
5か月前
3

ピュンとの会話

写真はいつか死ぬのかな。 ハッセルで撮った曲線滑らかな写真やフジの鮮やかな発色の写真も、全部ぜんぶがAIに取って変わってしまうのかな。 『これが私のオリジナルだ!…

岸本 たくみ
5か月前
3

満ちた気泡

深く息を吸うと鼻の奥がキッと締まって、何かまずいものでも吸い込んだような心地になる。 瞬間、それが何一つ害悪のないものだと悟る。体中に、暖かで力強くほど走る気泡…

岸本 たくみ
6か月前
2

心の筋肉

ヒトが食べたものは、咀嚼し粉砕され分解されて、必要な栄養分が吸収されて生きるための糧となっている。 人が抱く感情も、同じような過程を経て私たちの生きるエネルギー…

岸本 たくみ
6か月前
3

「誰も見なくとも、誰も関心を向けなくとも、ひたすらに何かをつくり続ける」

正直そんなこと、虚しくて無益で非生産的で自己満足的で、一体何のためにやるのか分からなかった。でも、今それはそれを生活の主軸に向けようとしているし、それを以てして生きていることを感じようとしている。

岸本 たくみ
6か月前

前髪を下ろした時

前髪を下ろした時、その日一日がどうも風変わりなものになる。 まず、どうしてか突然、割り箸を皮切りに環境トークに花が咲き、林業に興味をむけるきっかけがひょんと生ま…

岸本 たくみ
6か月前

おかねのはなし

大学の時分は、最低賃金スレスレの格好ばかりのバーのバイトバーテンダーだったわけで。どの年の私にも、たいした収入はなかった。 他にももう2店舗同じようなバーで掛け…

岸本 たくみ
6か月前
1

予定の長さ、少年少女と大人のそれは

『来週末で』『明日に』『今日の夜から』 気のせいだろうか。どんどんと年齢を重ねるにつれ、決められる予定のスパンが短くなってきている。 友人と会うのは …1週間先の…

岸本 たくみ
7か月前
雑記 _ Duplication

雑記 _ Duplication

 空間のなか過去脈々とかたちづくられてきた歴史文化は、そのなかに居続ける個人の意思に長い歳月をかけて浸透を続ける。
 排他的になり、合理性や創造性をわすれ、個々人はそこで調和する。

 そんな嫌気の差す姿勢が板についたのも、その浸透が着々と進んでいるからに違いない。こうして諦観できるうち、次いで起こることは自ずと決まって抵抗か諦めかのいずれかにある。

・・・

 「脳裏に何か描こうとする時、人は

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全方位欲

全方位欲

自分の写真を見返してみると、常になにかしらの「実験」を繰り返していることに気がついた。

新しい技法、誰にも真似できないひと癖、個性、というかなんというか。

それがゆえに、はたから見れば簡単に面白おかしい写真をでっち上げることがでる。事実すでにそれは出来ていて、それはそれで完成されている。
ただ、立て続けにかれこれ10近くの国内外フォトグランプリに落選しまくっているのは、どうもその小手先のでっち

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写真。やるなら、もっと「見るもの」と「見ること」に気を配らなくちゃ。

溶けゆく肌

溶けゆく肌

「境界」は、そう簡単に弛みをみせることがない。

たとえば昨日と今日。眠りが分断しているようで、そこにある明らかな時間的継続を否定することはできない。
旧友。場所を隔てようにも、切っても切れない堅固な糸が破綻を無意識に阻む。
そのほかに、血の繋がりはどうだろう。家族や親族同士の肉体的・骨格的な傾向は、歩き方、食事、性格など、生きる中にあらわれるあらゆる要所にその継承があることを、側からも見て取れる

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頭の中を卓上に

頭の中を卓上に

綴ろうとおもえない中を、強いて言葉を絞り出そうとするのはどうしてだろう。

夜遅くにみた映画のせいだか、そうでなければ、捗らない作品づくりのせいだろうか。
静かに唸るMacと、時おり山手通りを走らせる車のエンジンをよそにして、タイピングでテーブルのグラスの氷が揺れる。ヘンに古い映画のせいか、シューマンを徐ろに聴いてみたりする。

ー 高校の学園祭のように、義務感も使命感すらもない心地で、ひとと一緒

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心象日記

心象日記

もうあと半年、という所までたどり着いた。
その間にこちらは、27歳を迎える年になってしまった。

大学を中退し飲食業を興して職や住まいを転々としていて、ずっと見て見ぬふりをしていた負債。それでも知らないふりを続けていると、家に届く封書の色がどんどん毒々しくなっていって、仕舞いには実家にまで封書が届いて両親を飛び上がらせるまでになっていた。
もうこのままだと手に追えなくなってしまって、20代・30代

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2024年5月22日 銀座にて

2024年5月22日 銀座にて

意思疎通について言うが、誰しも最初は、極めて率直で感情も丸裸なコミュニケーションを取っていたのだった。

嫌なものがあれば泣き叫んで拒絶し、不都合があれば人目をはばらず大声を上げ、反対に愉快な気分になると諄いくらいに肢体をともなって声を上げながらはしゃぎ回る。

それがいつからか、可笑しいことがあっても押し黙り、相手の機嫌を伺って自身の考えを述べるのを脇に据え置き、自らを、首肯せざるを得ない状況へ

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言葉の不感症

言葉の不感症

とあるシットコムを見ていた時 "It's relatable!" というフレーズに出くわした。

コンパクトにまとまる訳がパッと浮かばず、《relatable》をググってみたところ、「関わりを持ち得る / その経験などに類似性を見出し、理解や共感を催し得る」という定義が記されていた。しっくりこない。
日本語字幕を見てみると、『それ分かる〜!』とだけ訳されていた。

◾️

じつに4年ぶりに一人暮ら

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心の筋肉とひとの暮らし

心の筋肉とひとの暮らし

朝、日の差さない湿り気の多いベッドで目を覚す。

平日の11時だというのに、二段ベットの階下に横たわる同居人の一人は未だまどろみの中にいるようだ。

誰もいないリビングに降り立つ。
それについて取り立てて驚くこともなく、そういえば昨日はシャワーを浴びずにベッドに入ったことを思い出し、おもむろに浴室へ立ち入る。相も変わらずかびに塗れた壁の先から、西武線のけたたましい轟音と踏切のサイレンが響く。

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ピュンとの会話

ピュンとの会話

写真はいつか死ぬのかな。

ハッセルで撮った曲線滑らかな写真やフジの鮮やかな発色の写真も、全部ぜんぶがAIに取って変わってしまうのかな。
『これが私のオリジナルだ!』と思って撮る写真も、同じように?

なら何のために撮ろうか?
何を撮るために生きようか?

ただ一つそれを考え続けることだけが、あなたの写真を写真たらしめるのだろう。

満ちた気泡

満ちた気泡

深く息を吸うと鼻の奥がキッと締まって、何かまずいものでも吸い込んだような心地になる。

瞬間、それが何一つ害悪のないものだと悟る。体中に、暖かで力強くほど走る気泡が充ち満ちるために。

それを「春」と呼べるのが、どれほど心地の良いことか。

人が新たな場所へ舞い降りる。
愛し憎みそれでも向かい続けたなにかを離れ去り、未到の世界へ踏み入れる私的な世紀の瞬間。

惜別の念、希望の空気、寂寞の中の躍動。

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心の筋肉

心の筋肉

ヒトが食べたものは、咀嚼し粉砕され分解されて、必要な栄養分が吸収されて生きるための糧となっている。

人が抱く感情も、同じような過程を経て私たちの生きるエネルギーになっているのだろうか。

感情。

『心の筋肉』といわれ、ないものは『馬鹿だ』といわれる始末だ。
身体において精神が未熟だと馬鹿だといわれるけれど、肉体がなくても馬鹿だと言われないのはどうしてなんだろうか。

舌打ち一つ。棘ついた言葉一

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「誰も見なくとも、誰も関心を向けなくとも、ひたすらに何かをつくり続ける」

正直そんなこと、虚しくて無益で非生産的で自己満足的で、一体何のためにやるのか分からなかった。でも、今それはそれを生活の主軸に向けようとしているし、それを以てして生きていることを感じようとしている。

前髪を下ろした時

前髪を下ろした時

前髪を下ろした時、その日一日がどうも風変わりなものになる。

まず、どうしてか突然、割り箸を皮切りに環境トークに花が咲き、林業に興味をむけるきっかけがひょんと生まれた。
『嘘を吐くから今こんなのなんじゃないのか』と、決してネガティブなニュアンスでなく内省させられるような記事を目にする。
社用車をガードレールに擦ったのを事細かに確認しようとする先輩を横目に、素直に立派だと思っていることに気がつく。

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おかねのはなし

おかねのはなし

大学の時分は、最低賃金スレスレの格好ばかりのバーのバイトバーテンダーだったわけで。どの年の私にも、たいした収入はなかった。

他にももう2店舗同じようなバーで掛け持ちバイトをしていたけれども『同業種で同じエリアだからねえ』と各店のオーナーに告げられ、結局最初の最低賃金バーだけで大学時代の私の生活は支えられていた。
繁忙期の年末。アルコールで喉がへしゃげるほど飲んで働いて、月に10万円くらいが限度だ

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予定の長さ、少年少女と大人のそれは

予定の長さ、少年少女と大人のそれは

『来週末で』『明日に』『今日の夜から』
気のせいだろうか。どんどんと年齢を重ねるにつれ、決められる予定のスパンが短くなってきている。

友人と会うのは …1週間先の週末?
同僚との飲み会は … 数時間後の退勤時刻?
年イチの旅行なら … 2ヶ月先のゴールデンウィーク?

ずっと今より小さかった頃、夏休みはあっという間だった。
いつもそれが終わる頃には、もう次の夏休みのことを考えていた。
憧れていた

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