けゑすけ

生物学系大学院を卒業後、オーストラリアでギタリスト→高校で生物学講師→IT企業にプログ…

けゑすけ

生物学系大学院を卒業後、オーストラリアでギタリスト→高校で生物学講師→IT企業にプログラマーとして就職。 趣味は、魚釣り、読書。 インスタ->https://www.instagram.com/ksk_music.jp/?hl=ja

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  • メルボルン・バスキングデイ

    オーストラリアはメルボルンでの音楽活動をまとめました。

  • 台北バスキングデイズ

  • ニュージーランド・バスキングデイズ

最近の記事

メルボルン・バスキング・デイ vol.7

フラットメイト、ヒデ君 ラーメンには究極の一杯というのがあるらしい。同じラーメンでもその時の気温や湿度など諸々の条件が上手く揃った時に最高に上手い一杯が出来るという話だ。確かに昔良く通っていたラーメン屋でも時間帯によって味が大きく異なることを経験したことがあるし、分野は違うが京都の老舗の漬物屋はその日の湿度に合わせて漬け具合を調整するという話もあるらしいので、あながち起こりえる現象かもしれない。しかし、忘れてはいけないのは、そのラーメンが研究に研究を重ねて作られたものである

    • カレーとベースとラテン語 vol. 1

      ラテン語の話 自他と共に認める多趣味人間なんだ、私は。つくづく自分でもそう思うし、人にも良く言われる。しかし、多趣味なんて良く言えば、好奇心旺盛なのかもしれないが、悪く言えば落ち着きがないともとれるわけで、人によって印象が分かれるところであろう。でも、少なくない人に「この人実は飽き性なんじゃないか」と思われているかもしれない。思い返してみると、大学院生の頃にネットで受けた適職診断で、「何でもそつなくこなします。ただし三年で必ず飽きます」なんて身もふたもない判定を得てしまって

      • 台北・バスキング・デイズ vol. 9

        最終回 「これでなんとか35kgに納まりそうだ。」 受付で借りた手のひらサイズの電子計量器で、最後の荷物の重量測定を終え、私は安堵感に胸をなでおろした。 荷造りの真っ只中であるが最も気を使うのが預ける荷物の重さである。毎度お世話になっているジェットスターでは預ける荷物の重量によって料金プランが変わってくる上に、予約の段階であらかじめ重さを指定しておく必要がある。なので宿で軽量ができるのはとてもありがたかった。 売れ残ってしまったCDの山は、帰国の一週間前には送られてき

        • 台北・バスキング・デイズ vol. 8

          西門の片隅で愛を叫んだのけもの  「スーパーイタコモードが使えなくなってきている。」 ふと、そう思ったのは台北生活にもすっかり慣れてしまった頃だった。 1日のルーティンがほぼ決まっていて、昼前起床、156飯包で昼食、スタバで読書、この流れは天候に関係なく、夕方からは、晴れの日であれば5時ごろから西門町の片隅で二時間ほどバスキングをして、雨の日は宿のオープンスペースで読書、もしくは文章を書く作業をしている。 バスキングスタイルも定まってきて、台北に来て最初の週末は三時間

        メルボルン・バスキング・デイ vol.7

        マガジン

        • メルボルン・バスキングデイ
          7本
        • 台北バスキングデイズ
          10本
        • ニュージーランド・バスキングデイズ
          14本

        記事

          台北・バスキング・デイズ vol. 7

          雨が降るって君がいうから -後編 「雨っていうのはとても憂鬱な気分になっちまう。こう雨が続くと気持ちが沈んでしまって、学生時代の雨の日に、傘を忘れた気になる女の子に傘を渡せなかったなんていう、遠い昔の記憶をふと思い出したりして、感傷に浸ってしまうもんだ、コノヤロー」 なんて、若かりし頃の淡い思い出を台湾語で語ってそうな飯屋の親父さんも、さすがに元気がなさそうだった。 本日も雨。 台北はちょうど石垣島と緯度が同じで、亜熱帯気候に属している。よって、年間を通して雨がとても

          台北・バスキング・デイズ vol. 7

          台北・バスキング・デイズ vol. 6

          バスキング飯 !! 異国の地に長期間滞在する際にもっとも重要なことのひとつとして、自分がその土地で満足な食生活を送れるかどうか、ということが挙げられるんじゃないだろうか。 物価の高いメルボルンでは、ラーメンセットが30ドル(2400円)もするので、自ずと自炊に行き着いたが、マーケットで安くて良質の食材が豊富だったので、全くもって不便は感じなかった。 しかし、今回滞在しているこの台湾は、食事も美味しければ、物価がとても安いことで有名だ。 町をふらりと歩いてみると、色々な

          台北・バスキング・デイズ vol. 6

          台北・バスキング・デイズ vol. 5

          雨が降るって君がいうから-前編 「ケイスケさん、ちょっといいですか?」 と、昼前に目覚めた私に、プライベート保護のためベッドの端に天井から垂れ下がっている幕の隙間から、テゥさんが声をかけてきた。 テゥさんは私の下側のベッドを占有している台湾人で、日本での滞在歴もあり、ある程度日本語が話せる。あと、日本語の他に、アメリカやオーストラリアにも住んでいたので英語が話せ、韓国語も少し話せるそうだ。同室ということもあって、いつのまにかよく話す間柄になったわけだが。 彼は少し思い

          台北・バスキング・デイズ vol. 5

          台北・バスキング・デイズ vol. 4

          台北芸人と愉快な仲間たち あたりは熱気に包まれていた、というフレーズは、あまりにも常套句すぎて、現実味がわかないかもしれない。しかし、道行く人々は体からはエネルギーが溢れ出しているかのようで、決してただ単に夜のわりに気温が高いからというわけではなさそうだ。 まだ肌寒い日本から南国の島、台湾へと脱出してから一週間弱。日中は確かに半袖にならないと暑すぎるほどだが、かといって南国と言えど、京都の夏ほどの猛暑でもない。半袖のままで快適なぐらいだ。 しかし、日本と同じタイミングで

          台北・バスキング・デイズ vol. 4

          台北・バスキング・デイズ vol. 3

          台北芸人誕生!! 後編  新システムで鳴らした音はとてもクリアだった。いや、この音でいいんだろうか。 スピーカーの位置は私の前に置いているギターケースの横。西門駅の外壁を横に「西門町へようこそ」と書いていある門に向けて音を出している。よって、演奏中はスピーカーの後ろ方向に出ている音でしか、セッティングの良し悪しが確認できないわけだが、身を乗り出して適切な音が出ているのか、確認してみるもよくわからない。 判断しようにもブランクのせいか「こんなんでよかったっけ?」と疑心暗鬼

          台北・バスキング・デイズ vol. 3

          台北・バスキング・デイズ vol. 2

          台北芸人誕生!! 前編  台北についた翌朝、といっても昼前、まだ新しい元号が発表されていない時間帯に目覚めた私は買い物に繰り出した。 バスキングに必要な機材は全て持ってきているが、どうしても飛行機で運べないものがあった。それは、バッテリーだ。 飛行機に搭乗する際に安全性の問題から持ち込めない規則になっているが、厳密にいうとあるサイズまで持ち込み可能である。しかし、私の機材を満足な時間稼働させるには不十分なサイズだ。それに持ち込み荷物の重量が増えると追加料金を払わされて

          台北・バスキング・デイズ vol. 2

          台北・バスキング・デイズ vol. 1

          ただの旅行記回  台湾は、日本列島の南に位置し、時差は1時間ほど、緯度で言えば石垣島と同じぐらいで、飛行機を使えば関空から3時間ほどで来れてしまう。 昔、沖縄で地元のうみんちゅと釣り対決したことがあったが、その時と変わらない移動時間だったと思う。何せ夕方5時に関空を出発して夜の9時には台北のホテルに着いていたのだから、オーストラリアやアメリカよりもお手軽に遊びに来れる国じゃないだろうか。 そして、航空券が片道5000円という破格の安さで、勿論私の場合は機材などで荷物がそ

          台北・バスキング・デイズ vol. 1

          台北・バスキング・デイズ vol. 0

           台湾に行きたいって君が言うから 「平成最後の〜」なんて言葉が飛び交う三月、今年は比較的暖冬だと言われた京都の冬も終わり、徐々に暖かくなってきたのを肌に感じつつ、京都は河原町通りをふらふら歩いていた。 思えば、二年前のちょうどこの頃は失意のニュージーランド縦断バスキングを終え、帰国後すぐに京都府庁に履歴書を送っていた。その結果、金曜日に履歴書を提出したのに、次の月曜日には府庁の人事課から連絡があった。そしてトントン拍子に京都のある高校に常勤講師としての採用が決まったのであ

          台北・バスキング・デイズ vol. 0

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 13

          最終話 クィーンズタウンを去る日の朝は小雨がしとしと降っていた。 長距離バスのドライバーの指示に従い、CDがある程度は捌けた分、幾分かは軽くなったに違いない自分の荷物を積み込む。いつものような緊張感はもはやない。 これまでは長距離バスに乗り込むときは毎度のごとく、私の機材バッグが乗客に許された荷物の重量の上限値を明らかに大幅に上回るので、毎度のように「これは特例だ」と渋々許してもらっていたわけで、私はその度に「こんなに重量を超過してしまったのは私の勘違いでした。いやー、

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 13

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 12

          クイーンズタウンバスキングデイズ 土曜日の昼過ぎ、クイーンズタウンにいる残りの2週間はバスキングに明け暮れる覚悟を胸に、ザ・モールにて演奏を開始してからほどなくして、私の眼前にふらっとロカが現れた。 オークランドで別れてから一ヶ月ぶりの再会であったが、相も変わらずケラケラ笑っている。 変わったところと言えば、髪の毛がドレッドヘアーになっていて、黄色いアロハシャツを着て、なんだかジャマイカ人みたいだった。彼自身、元々陽気な性格なので違和感が全くなかったが。そして、韓国から来

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 12

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 11

          クイーンズタウン芸人の憂鬱 後編  頭の中では薄々感じていたが、大きなハズレではないか、クイーンズタウン。 その日の夜にミルフォードサウンドと呼ばれる、フィヨルドの日帰り観光から帰って来た、やや興奮気味のタツさんに話を聞くと、一、二週間ほど前はかなり人が多かったそうだが、それに比べると今は人が信じられないくらいに減っているとのことだった。 また、別のバスカー仲間に話を聞くとニュージーランドの年末年始の長期休暇は1月の15日までだそうで、その時期から国内の観光客が減ってい

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 11

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 10

          クイーンズタウン芸人の憂鬱 中編そして、迎えた出発の朝。と言っても昼過ぎの便なので、10時にチェックアウトを済ませるとビリヤード場のソファーに腰掛け時間をつぶした。 時間に余裕を持って、来たときと同じバスの停留所にたどり着き、チェックインを済ませて待っていると、出発予定時刻の15分前にバスが来た。荷物を積み込み、バスに乗り込む。 しかし、待っていても一向に出発する気配がない。何事かと思っていると、どうやらクライストチャーチから来るバスの乗客を待っているようで、そのバスが大

          ニュージーランド・バスキング・デイズ vol. 10