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記事一覧

さよならいつまでも

君と離れなきゃ行けなくなった時、
僕は君のこと忘れないと思ってた。

いま、僕は君のことを忘れて過ごしてて、
きっと、君も僕のことを忘れて過ごしてる。

綺麗な景色を見ても、
君が横にいたらな、とか
君にも見せたいな、とか
君ならなんて言うかな、とか
そんなこと考えなくなっちゃった。

そんな自分に気づいて、
薄情だなぁってたのしくてかなしくなる。

少しずつ、僕の中の君は少くなっていってる。

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『歩道橋の上で』

無理しないでね、なんて嘘よ
あたしのために無理してよ、

なんてね、嘘よ

こんなこと考えてしまうのはきっと、
今周りが真っ暗だからね
こんなこと考えてしまうのはきっと、
今夜が特別寒いからだね
こんなこと考えてしまうのはきっと、
私以外誰も歩いていないからね

来た道は戻りたくなくて
でも家には帰らなきゃいけなくて

だから歩道橋を通って違う道を進むことにしたの

歩道橋に登ったら空が近くなった

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『どうなんだろうか』

例えば、君が「どうしよう」と言ったら、
きっと、僕は「どうしたの」と訊くよ。

でも、
それって僕が君のことを好きなんじゃなくて、
僕が誰にも嫌われたくないからなのかなとか、
罪悪感に似た何かが僕を支配するよ。

たぶん、君は僕に全てを話してはいないし、
なんか、僕も君に全てを話せてないよ。

そんなことを思うのは、
全てを知りたいと、
知って欲しいと
望んでいるからなのかな。
そうなんだろうな。

なのか。

死にたくないけど死にたい、なのか。

死にたいけど死にたくない、なのか。

生きたいから死にたい、なのか。

そんなことを考える毎日であります。

それでも僕は

僕はなぜ死にたいのでしょう

僕はなぜ死のうとしないのでしょう

僕はなぜいきたくないのでしょう

僕はなぜ皆がいってしまうと取り残されたと思うのでしょう

僕はなぜ付いていかないのでしょう

僕はなぜ全てを捨てたくなるのでしょう

僕はなぜ壊れたくなるのでしょう

僕はなぜ満たされないのでしょう

僕はなぜ深い悲しみに浸りたいのでしょう

僕はなぜ理由が欲しいのでしょう

僕はなぜ僕なのでしょう

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あかの玉

くらくて ふかい ふあんていな あかの玉

のばしたら しってる あかのいろ

たまると くらくて ふかい あかの玉
ながれる たまる かたまる

『例えば、きっと、たぶん、』

君に伝える為に
僕は話すのだけど、
ソレについて考えてしまうことがあります。

声に出して、
言葉を音にした瞬間、
頭の中にあったソレを
僕は手放すのだろう。

一部でもあった僕とソレを離すことは、
不安やら苦痛やらが伴うし、
ソレを君に向けることは、
ものすごく恐怖を感じてる。

ソレを否定されること、
ソレが受け入れてもらえないこと、
ソレに反応してもらえないこと、
ソレで離れてしまうこと、

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『カラフルな世界で』

赤い空が僕を見てる

壊れた自転車を引いて
好きな歌を口ずさむ僕を

「おかえり。」の声はないけど
「ただいま。」と言ってドアを開けた

黒い部屋が僕を見てる

疲れた身体を投げて
大きくため息を吐く僕を

「おやすみ。」の声は出さずに
「ひとりだ。」と言って目を閉じた

白い画面が僕を見てる

見慣れた名前に止まって
慌てて通話を押す僕を

「たまには、」と笑いながら
「帰っておいで。」と声が聞

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『ぼくらのことば』

僕ら言葉をうたうけど
なぜだろう、

僕ら言葉をうたうのに
はなせない、

僕ら言葉をうたうのは
しらせたい、

僕ら言葉をうたうから
いっしょかも、

僕ら言葉をうたうため
つたえない、

僕ら言葉をうたうとは
はなすこと、

『壊れた自転車』

今日もサービス残業を終わらせた
貼り付けた笑顔剥がして
街灯一つの駐輪場が広く感じる

いつまでこんな生活が続くんだろうって
白い息が消えてった

コンビニ寄って缶コーヒーと握り飯買って
今日は雑誌の発売日だから
500円玉貯金できないなぁとか頭の中でひとり言

サドルにまたがって大きな違和感
後ろのタイヤの空気がなくなってた
消えたはずの白い息が重く落ちてった

今夜は帰るのが30分は遅くなるな

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『サルビア』

懐かしい道 歩いてた
教えてもらった赤い花

「これとっても甘いんだよ」って
誰かが笑って赤を取る
帰り道が遅くなったりして

一本を摘んで蜜の味
こんな甘くなかったのか?
こんな甘くなかったのか。
思い出すのは赤と黒が並んでいたこと

分からない道 知りたくて
入って目にした赤い花

「ソレッテスゴクキタナイヨ」って
誰かが顰(ヒソ)めて赤が散る
帰り道が重くなってしまって

一瞬で忘れた蜜

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『少年が揺れる、』

黒板とにらみ合う少年が一人、
その理由は問題を解くためじゃない。
それを消す道具を手にした少年は、
「今日こそは、」と意気込んだ。

黒板の一番上、背伸びした少年では届かない。
それを見ていた少女が「私もなの」とふわり笑う。
教室には友を待つ少女と、バスを待つ少年が二人。

もう高くはならないこの目線
「これでいい。君と話せるなら、」
たとえ少女の口から少年以外の名前が零れても、

そして少年はバ

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