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読書ノート657「長い髪の少年たち」を読んだ
本書の存在は以前から知っていたのだが、あまり読んでみようという気にはならなかった。 しかし、ちょっと前の読書ノートで紹介した「幕間のパントマイム」https://amzn.as…
読書ノート660「「記憶」のなかの戦後史」を読んだ
いまや死語とさえいえるかもしれないが、社会派ルポライターという呼称が実にぴったりの向井承子さんの最新作。
向井さんとは、スペース96/エンパワメント研究所で
「たたかいは命はてる日まで 医師中新井邦夫の愛の実践」https://amzn.to/2rxjl2W
を復刻させていただいて以来のご縁。
その経緯については下記をお読みいただきたい。
「たたかいはいのち果てる日まで」復刻顛末記
https:
読書ノート659.5「おてあげ第3号」を読んだ
全文を読んだわけではないので、読書ノートとしてはノーカウント、備忘録として。
「困ってる人文編集者の会」による「本のまわりの困りごと」を寄せ集めたジン。
前回同様、ちょっとした打ち合わせもあって立ち寄った下北沢のB&Bでゲット。
つまみ食いした中では、装丁家による菊地信義について書かれた部分のある話が面白いというか、興味深く読めた。
菊地信義さんがどれほどすばらしい方かは、ご存じない方はググってく
読書ノート659「さえてるやつら」を読んだ
少し前に読んだ、同じ著者による「長い髪の少年たち」の続編ともいうべき作品。
登場人物や人間関係は前作とまったく異なるが、時代は1960年代末期、場面はある高校という設定は同じになっている。
ただし、前作が短編集であったのに対して、本作品は長編小説となっている。
前作同様、新左翼系の立場での高校生、民青系の高校生、共産党系の教師という枠組みの中で、彼らの論戦の内容などをとおして共産党系の立場、考え方
読書ノート658「ミレニアム 7 鉤爪に捕らわれた女(上)(下)」を読んだ
刊行されていたのを知らなかったが、書店の店頭で本書を見つけて、最初の時の面白さを再び味わいたいという思いでつい購入してしまった。
最初の三部作を書いたラーソンが急死して、10冊だか12冊までの構想は霧散してしまい、そのあと、ラーゲルクランツがひきついで三部作を書いたものの、やはり最初のダイナミックさは継承できなかった。
で、やめればいいのに、さらに今回、新たに三部作が別の作家によってとりくまれるこ
読書ノート657「長い髪の少年たち」を読んだ
本書の存在は以前から知っていたのだが、あまり読んでみようという気にはならなかった。
しかし、ちょっと前の読書ノートで紹介した「幕間のパントマイム」https://amzn.asia/d/1lDsPV6 と同時期に刊行された「よみがえれ!授業改革運動」https://amzn.asia/d/3IzM6SR という本の巻末に、本書が参考文献としてあげられていたのを知ったことがきっかけて読んでみる気にな
読書ノート656「北京から来た男(上)(下)」を読んだ
ヘニング・マンケルのヴァランダー刑事シリーズ以外の作品を読み始めたら、面白くて止められくなってしまったのだが、それも本作品で最後となってしまった。
あまり魅力的とも思えないタイトルなのに、すごいボリュームの本で、どんな内容なのか見当がつかなかったが、もしかするとマンケルの作品の中でもっともスケールの大きい作品といえるかもいれない内容だったのにびっくりさせられた。
刑事ヴァランダーシリーズの中でも本
読書ノート655「スウェディッシュ・ブーツ」を読んだ
ヘニング・マンケルにはまり続けて、「イタリアン・シューズ」の続編と聞いて読まざるを得なかった。
「イタリアン・シューズ」から8年たったという設定になっているのだが、冒頭、就寝中に孤島の家が全焼して焼け出されるというショッキングな場面から始まり、すわ、今回はミステリーかと思わされるのだが、全体としてはその火事の犯人探しがメインのストーリーというものではなかった。
前作の「イタリアン・シューズ」にも、
読書ノート654「恋しくて」を読んだ
この本を読んだきっかけは、朝日新聞の天声人語。
不勉強で知らなかったのだが、短編の巨匠といわれ、ノーベル文学賞も受賞しているアリス・マンローが亡くなったことにふれ、「ジャック・ランダ・ホテル」は、翻訳した村上春樹をして「芸だよなあ」と言わしめた作品と紹介されていたから。
で、さっそく、その作品が掲載されている本書を入手して読んでみた。
しかし、残念ながら個人的にははずれという印象だったなあ。
本書
読書ノート653「イタリアン・シューズ」を読んだ
ヘニング・マンケルの刑事ヴァランダーシリーズを読み終えて、さすがに満腹状態だったのだが、久しぶりにマンケルの作品をよんでみるかと思い、買い置きしてあった同シリーズ以外の作品にも手を出して「タンゴステップ」を読んだら、素晴らしい作品だったという話は前回の読書ノートで書いた。
それじゃ、まだまだ他の作品も面白いはずと、これまた買い置き(世間では積読といいますね)してあった「イタリアン・シューズ」を読ん
読書ノート652「タンゴステップ」を読んだ
ヘニング・マンケルのヴァランダー警部のシリーズを読破して、さすがに、もうちょっとマンケルは一休みと思っていたが、同シリーズ以外の長編も買い溜めしてしまっていた。
ヴァランダーを読み終えてからしばらくたったこともあり、久しぶりに、その買い溜めしてあった1冊を手に取って読み始めたら、これがもう面白くて、他の読んでた本を押しのけて一気読みしてしまった。
どうして、こういう深くて幅のある作品を書けるのか、
読書ノート651「夜のフロスト」を読んだ
知人にすすめられて読み始めてしまったフロスト刑事シリーズの第3作目。
長い小説だった。
これまで同様、見てくれも勤務態度も最悪のフロスト刑事が、警察内部の確執の中で泳ぎまくりながら、なんとか最終的には事件解決にたどりつくのだが、延々と同じような話が繰り返されるばかりで、どうしてこのシリーズが高い評価を得ているのが皆目わからない。
あと1冊、買っちゃっているし、シリースは6冊目までしかないし、さらに
読書ノート650「僕たちの好きだった革命」を読んだ
なんで、この本を読むことになったのだっただろうか?
著者の鴻上尚史については、これまで著作を1冊は読んだことがあったが、ネット上での発信を時々目にしていて、たまにいいことを言うこともあるなあというくらいにしか気にも留めていなかったのだが。
ともあれ、なんだか理由は忘れてしまったのだが、絶版になっているという本書をメルカリでゲットして、ながらく積読状態だったのだが、ようやく重い腰を上げてという感じで
読書ノート649「増補・復刻 幕間のパントマイム 授業改革運動と山内校長代行退陣の狭間で 麻布学園 1970年4月~1971年11月」を読んだ
「読んだ」というか、この本を出版、刊行させてもらった。
確かに、出版する側として編集者的には読んだのだが、どちらかというと、この場を借りて宣伝といったところ。
タイトルに「復刻」とあるように、実は本書は1985年に刊行されたものの復刻である。
復刻の経緯については、下記にある電子書籍版の立ち読みの部分でお読みいただきたい。
・電子書籍
単なる「復刻」だけでなく、「増補」と名打っているのは、旧版の
読書ノート648「ガザ紛争の正体 暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム」を読んだ
必要があって、相当久しぶりに新宿の模索舎を訪ねた。
用件は済ませたのだが、一冊も本を買わずに立ち去るのも忍びなかったので、なかばカンパがわりに購入した1冊。
著者の宮田律さんは、Facebookの投稿を通じて、現地をよく知る人であることは知っていたので、そんな人が書くものなら信頼できるのではないかと思い読み始めた。
いつも、いくつもの本を並行して読んでいるのだが、読みやすさもあったうえ、内容が興味
読書ノート647「戦争とデータ 死者はいかに数値となったか」を読んだ
今年の大佛次郎賞の受賞作品を紹介する新聞記事に興味を覚えて読んでみた。
本書でいう死者というのは、戦争における、いわゆる文民、民間人の死者数のことである。
そんなもの正確に分かるわけないじゃないかと思われるかもしれない。
確かに、正確にはわからないのである。
しかし、統計学や解剖学などの科学的技術と知見を駆使していかに正確さを追求できるようになりつつあるかというのが、本書の内容である。
その前に、
読書ノート646「塩の柱 あるユダヤ人の青春」を読んだ
イスラエルがガザに侵攻した時期、知人とのやり取りの中で、いわゆるパレスチナ問題やユダヤ人問題の難しさをつぶやいところ「読んでみたら」とすすめられたのがこの本だった。
著者は世界的によく知られた作家らしいが、その処女作。
既に絶版になって久しい本をメルカリで探し当てて読んでみた。
かつて本書を刊行した出版社の紹介サイトには「アラブ世界に生を享けた一ユダヤ青年のアイデンティティを求める精神の彷徨を「甘