久保耕造

本と障害者関係のことに関心があります。

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マガジン

  • 読書ノート

    2011年にFacebookを利用し始めて以来、Facebookの中の「ノート」という機能を使って読書の記録をつけていたのだが、その「ノート」という機能が廃止されてしまった。新しく書き足せないだけならまだしも、どうも過去の記録の閲覧の可能性も怪しくなってきてしまったため、こちらの「note.com」に移行させていただくことにした。

  • 「店主のつぶやき」

    かつて、「店主のつぶやき」と題して、日本てんかん協会東京都支部の機関誌「ともしび」に、2000年4月号から2005年5月号まで連載されたものに若干の加筆訂正をしたものです。 この連載が開始されたのは今から22年以上も前の、Amazonもスマホもない時代で、メールでのやりとりさえも日常的ではありませんでした。 そんなことを念頭にお読みいただければと思います。 写真は岡山にある津山みのり学園を訪問した際に、ふざけて寅さんを模して書籍販売したときのものです。

  • アメリカ障害者事情

    ADAをはじめとする、米国の障害者に関連する様々なことについて書かれたもの。

  • 主張・雑感・備忘録・メモなど

    主張っぽいもの、備忘録っぽいもの、随筆っぽいもの

  • 映画

    見た映画

最近の記事

読書ノート658「ミレニアム 7 鉤爪に捕らわれた女(上)(下)」を読んだ

刊行されていたのを知らなかったが、書店の店頭で本書を見つけて、最初の時の面白さを再び味わいたいという思いでつい購入してしまった。 最初の三部作を書いたラーソンが急死して、10冊だか12冊までの構想は霧散してしまい、そのあと、ラーゲルクランツがひきついで三部作を書いたものの、やはり最初のダイナミックさは継承できなかった。 で、やめればいいのに、さらに今回、新たに三部作が別の作家によってとりくまれることに。 もう、最初の三部作の面白さは絶対ないぞといいいきかせながら期待せずに読ん

    • 読書ノート657「長い髪の少年たち」を読んだ

      本書の存在は以前から知っていたのだが、あまり読んでみようという気にはならなかった。 しかし、ちょっと前の読書ノートで紹介した「幕間のパントマイム」https://amzn.asia/d/1lDsPV6 と同時期に刊行された「よみがえれ!授業改革運動」https://amzn.asia/d/3IzM6SR という本の巻末に、本書が参考文献としてあげられていたのを知ったことがきっかけて読んでみる気になった。 かなり昔に絶版になっていたのをメルカリで入手したら、案外に美本が手元に届

      • 読書ノート656「北京から来た男(上)(下)」を読んだ

        ヘニング・マンケルのヴァランダー刑事シリーズ以外の作品を読み始めたら、面白くて止められくなってしまったのだが、それも本作品で最後となってしまった。 あまり魅力的とも思えないタイトルなのに、すごいボリュームの本で、どんな内容なのか見当がつかなかったが、もしかするとマンケルの作品の中でもっともスケールの大きい作品といえるかもいれない内容だったのにびっくりさせられた。 刑事ヴァランダーシリーズの中でも本書くらいのスケールのものは、同シリーズ2作目の「リガの犬たち」くらいしかなかった

        • 読書ノート655「スウェディッシュ・ブーツ」を読んだ

          ヘニング・マンケルにはまり続けて、「イタリアン・シューズ」の続編と聞いて読まざるを得なかった。 「イタリアン・シューズ」から8年たったという設定になっているのだが、冒頭、就寝中に孤島の家が全焼して焼け出されるというショッキングな場面から始まり、すわ、今回はミステリーかと思わされるのだが、全体としてはその火事の犯人探しがメインのストーリーというものではなかった。 前作の「イタリアン・シューズ」にも、主人公が手術で誤って片腕を切断してしまった女性が登場し、この作品でも火事を取材す

        読書ノート658「ミレニアム 7 鉤爪に捕らわれた女(上)(下)」を読んだ

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        • 「店主のつぶやき」
          68本
        • アメリカ障害者事情
          11本
        • 主張・雑感・備忘録・メモなど
          20本
        • 映画
          7本

        記事

          読書ノート654「恋しくて」を読んだ

          この本を読んだきっかけは、朝日新聞の天声人語。 不勉強で知らなかったのだが、短編の巨匠といわれ、ノーベル文学賞も受賞しているアリス・マンローが亡くなったことにふれ、「ジャック・ランダ・ホテル」は、翻訳した村上春樹をして「芸だよなあ」と言わしめた作品と紹介されていたから。 で、さっそく、その作品が掲載されている本書を入手して読んでみた。 しかし、残念ながら個人的にははずれという印象だったなあ。 本書の全体は村上春樹が選んだ海外ラブストーリーの9編を翻訳したものという構成になって

          読書ノート654「恋しくて」を読んだ

          読書ノート653「イタリアン・シューズ」を読んだ

          ヘニング・マンケルの刑事ヴァランダーシリーズを読み終えて、さすがに満腹状態だったのだが、久しぶりにマンケルの作品をよんでみるかと思い、買い置きしてあった同シリーズ以外の作品にも手を出して「タンゴステップ」を読んだら、素晴らしい作品だったという話は前回の読書ノートで書いた。 それじゃ、まだまだ他の作品も面白いはずと、これまた買い置き(世間では積読といいますね)してあった「イタリアン・シューズ」を読んでみた。 孤島で暮らす元医師のもとに、40年前に別れた(というか乱暴に捨てた)女

          読書ノート653「イタリアン・シューズ」を読んだ

          読書ノート652「タンゴステップ」を読んだ

          ヘニング・マンケルのヴァランダー警部のシリーズを読破して、さすがに、もうちょっとマンケルは一休みと思っていたが、同シリーズ以外の長編も買い溜めしてしまっていた。 ヴァランダーを読み終えてからしばらくたったこともあり、久しぶりに、その買い溜めしてあった1冊を手に取って読み始めたら、これがもう面白くて、他の読んでた本を押しのけて一気読みしてしまった。 どうして、こういう深くて幅のある作品を書けるのか、本当に驚きだ。 スウェーデンのミステリーといえば、なんといっても「ミレニアム」を

          読書ノート652「タンゴステップ」を読んだ

          読書ノート651「夜のフロスト」を読んだ

          知人にすすめられて読み始めてしまったフロスト刑事シリーズの第3作目。 長い小説だった。 これまで同様、見てくれも勤務態度も最悪のフロスト刑事が、警察内部の確執の中で泳ぎまくりながら、なんとか最終的には事件解決にたどりつくのだが、延々と同じような話が繰り返されるばかりで、どうしてこのシリーズが高い評価を得ているのが皆目わからない。 あと1冊、買っちゃっているし、シリースは6冊目までしかないし、さらには、その最終巻が最も高い評価を得ているとなると、なんかそこまでたどりつきたいとい

          読書ノート651「夜のフロスト」を読んだ

          読書ノート650「僕たちの好きだった革命」を読んだ

          なんで、この本を読むことになったのだっただろうか? 著者の鴻上尚史については、これまで著作を1冊は読んだことがあったが、ネット上での発信を時々目にしていて、たまにいいことを言うこともあるなあというくらいにしか気にも留めていなかったのだが。 ともあれ、なんだか理由は忘れてしまったのだが、絶版になっているという本書をメルカリでゲットして、ながらく積読状態だったのだが、ようやく重い腰を上げてという感じで読んでみた。 結果は、あまり芳しくなかった。 時間を無駄にしたなあというのが正直

          読書ノート650「僕たちの好きだった革命」を読んだ

          読書ノート649「増補・復刻 幕間のパントマイム 授業改革運動と山内校長代行退陣の狭間で 麻布学園 1970年4月~1971年11月」を読んだ

          「読んだ」というか、この本を出版、刊行させてもらった。 確かに、出版する側として編集者的には読んだのだが、どちらかというと、この場を借りて宣伝といったところ。 タイトルに「復刻」とあるように、実は本書は1985年に刊行されたものの復刻である。 復刻の経緯については、下記にある電子書籍版の立ち読みの部分でお読みいただきたい。 ・電子書籍 単なる「復刻」だけでなく、「増補」と名打っているのは、旧版の末尾に掲載されていた資料に加えて、今回新たに発見された資料、あわせて362点、P

          読書ノート649「増補・復刻 幕間のパントマイム 授業改革運動と山内校長代行退陣の狭間で 麻布学園 1970年4月~1971年11月」を読んだ

          読書ノート648「ガザ紛争の正体 暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム」を読んだ

          必要があって、相当久しぶりに新宿の模索舎を訪ねた。 用件は済ませたのだが、一冊も本を買わずに立ち去るのも忍びなかったので、なかばカンパがわりに購入した1冊。 著者の宮田律さんは、Facebookの投稿を通じて、現地をよく知る人であることは知っていたので、そんな人が書くものなら信頼できるのではないかと思い読み始めた。 いつも、いくつもの本を並行して読んでいるのだが、読みやすさもあったうえ、内容が興味深く、他の本を押しのけて読み通してしまった。 書かれているのは、これまでのイスラ

          読書ノート648「ガザ紛争の正体 暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム」を読んだ

          読書ノート647「戦争とデータ 死者はいかに数値となったか」を読んだ

          今年の大佛次郎賞の受賞作品を紹介する新聞記事に興味を覚えて読んでみた。 本書でいう死者というのは、戦争における、いわゆる文民、民間人の死者数のことである。 そんなもの正確に分かるわけないじゃないかと思われるかもしれない。 確かに、正確にはわからないのである。 しかし、統計学や解剖学などの科学的技術と知見を駆使していかに正確さを追求できるようになりつつあるかというのが、本書の内容である。 その前に、そもそも戦争において死者がどのように扱われ、カウントされ、国際的合意がとりかわさ

          読書ノート647「戦争とデータ 死者はいかに数値となったか」を読んだ

          読書ノート646「塩の柱 あるユダヤ人の青春」を読んだ

          イスラエルがガザに侵攻した時期、知人とのやり取りの中で、いわゆるパレスチナ問題やユダヤ人問題の難しさをつぶやいところ「読んでみたら」とすすめられたのがこの本だった。 著者は世界的によく知られた作家らしいが、その処女作。 既に絶版になって久しい本をメルカリで探し当てて読んでみた。 かつて本書を刊行した出版社の紹介サイトには「アラブ世界に生を享けた一ユダヤ青年のアイデンティティを求める精神の彷徨を「甘えなき悲哀」と「苛烈なユーモア」を主調音に鮮烈に描く青春小説の傑作。」とあったが

          読書ノート646「塩の柱 あるユダヤ人の青春」を読んだ

          読書ノート645「いねむり先生」を読んだ

          伊集院静の追悼読書シリーズで「いねむり先生」を読んだ。 いねむり先生というのは、最近ではあまり知る人もいないかもしれないが、作家、色川武大(いろかわたけひろ)のことで、彼との交流、交遊録である。 色川は阿佐田哲也の名前でも知られていて、こちらは麻雀の雀士としての名前である。 かつてはテレビでもよくあった麻雀番組にも頻繁に出演していたし、この名前による麻雀小説もいくつもあり、かつてその作品は何冊か読んだものだった。 また、彼はナルコレプシーという、突然居眠りに陥る病気も持ってい

          読書ノート645「いねむり先生」を読んだ

          読書ノート644「あるかしら書店」を読んだ

          こんな本といっては失礼かもしれないが、読んだからと言って、読書したといえる本なのかどうかよくわからないのだが。 保育士の家人にはあきれられたが、実は、著者のヨシタケシンスケについて、つい最近まで知らなかったことを告白せざるをえない。 「あんたの好きな"ぽたぽた焼き"のおばあちゃんの絵を描いている人よ」と言われてしまった。 そういえば、うちの業界で最近、厚生労働省が発表した自殺防止のポータルサイト『かくれてしまえばいいのです』のトップページを描いていたのもヨシタケシンスケだった

          読書ノート644「あるかしら書店」を読んだ

          読書ノート643「おてあげ」第1号、第2号を読んだ

          掲載内容すべてを読んだわけではないので読書ノートにカウントしてよいものかどうか迷ったが、備忘録と宣伝をかねて。 この雑誌を知ったのは、主宰している大手出版社の編集者3人のうちの一人と知り合ったことがきっかけ。 彼らが「困っている人文編集者の会」(略称、こまへん)というものを作っていて、いわばその機関誌といったところ。 簡単にどこででも入手できるわけではないのだが、ようやく下北沢のB&Bに残っていた(1号は最後の1冊)ものをゲットした。 書店や出版社について書かれた本というのは

          読書ノート643「おてあげ」第1号、第2号を読んだ