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読書ノート653「イタリアン・シューズ」を読んだ

ヘニング・マンケルの刑事ヴァランダーシリーズを読み終えて、さすがに満腹状態だったのだが、久しぶりにマンケルの作品をよんでみるかと思い、買い置きしてあった同シリーズ以外の作品にも手を出して「タンゴステップ」を読んだら、素晴らしい作品だったという話は前回の読書ノートで書いた。
それじゃ、まだまだ他の作品も面白いはずと、これまた買い置き(世間では積読といいますね)してあった「イタリアン・シューズ」を読んでみた。
孤島で暮らす元医師のもとに、40年前に別れた(というか乱暴に捨てた)女性が末期のがんをわずらった状態で訪ねてきて、かつての、ある湖へ連れて行くという約束を果たしてくれとせまる。その帰り道、彼女が娘の所に立ち寄り、この娘の父親はこの元医師だと告げる。この元医師には、手術で、切断すべき腕を間違えてしまったことから医師をやめた過去があり、その患者を探し出し謝罪し許しを乞う・・・。というようなストーリーがさまざまに錯綜した物語なのであるが、これまでのマンケルの作品と異なりサスペンスやミステリーの要素はまったくない内容になっている。
スウェーデンの森と湖と寒々とした風景の中で、取返しのつかない出来事への悔恨、老いの孤独と性などが淡々とつづられていく。
それでも、なぜか興味深さを感じさせ、読む者をひきこんでしまうストーリーテリングぶりは、やはりたいしたもの。
なんと、後書きに、タイトルだけは知っていた「スウェディッシュ・ブーツ」は本書の続編だと記されていた。
また、読まねばならぬものが出てきてしまい、困った。




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