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読書ノート644「あるかしら書店」を読んだ

こんな本といっては失礼かもしれないが、読んだからと言って、読書したといえる本なのかどうかよくわからないのだが。
保育士の家人にはあきれられたが、実は、著者のヨシタケシンスケについて、つい最近まで知らなかったことを告白せざるをえない。
「あんたの好きな"ぽたぽた焼き"のおばあちゃんの絵を描いている人よ」と言われてしまった。
そういえば、うちの業界で最近、厚生労働省が発表した自殺防止のポータルサイト『かくれてしまえばいいのです』のトップページを描いていたのもヨシタケシンスケだった。

とあれ、子どもの世界では知らない人がいないという御仁らしい。
このヨシタケシンスケ展というのが断続的に全国で開催されていて、それが上田で開催されているというので足を運んでみた。
スペース96として全国各地で書籍販売をしていたので、すべての都道府県を訪問し主要都市のほとんどで宿泊もしたと思うのだが、実は特に印象深く残っている町はほとんどない。
だいたい、暗い時間に運転して移動し、昼間は販売会場の建物の中にいて、という具合だったので当然なのだか。
そんな中で上田だけは「街」を感じさせてくれた思いのある唯一の場所だった。
だから、10年間にわたり長野大学で開催された信州カンファレンスで書籍販売するために上田で投宿できるのはいつも大きな喜びだった。
そんな上田を久しぶりに訪れた。
会場は広く、生木をふんだんに使ったディスプレイ、参加者はまばらという好条件で、楽しい展示会だった。
単にヨシタケシンスケの絵本の展示だけでなく、様々な趣向をこらした仕掛けが数多くあり、大人でも十分楽しめるというか、むしろ大人向きの中身とさえいえるようなものだった。
その会場の販売ブースで孫のために書籍を数点購入した際に、自分用にと購入したのがこの本だった。
内容は、子どもむけというか大人向けのマンガみたいなものなのだが、随所でクスリとさせられ、またホッとさせられる1冊ではある。
スペース96も、この本のタイトルになぞらえれば「あったかしら書店」になりつつある。
(前泊で鹿教湯温泉を楽しみ、ヨシタケシンスケ展の後は、蕎麦の刀屋、バリューブックスの店舗に立ち寄った。バリューブックスには、平日にもかかわらず、来客者が次々と、それも比較的若い人たちが訪れてくるのには驚かされた。)



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