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思い出が たくさん

こざる達は、いつものように 皆で お喋りしながら 夕飯の仕度をしています。

「青空に白い雲、晴れて 嬉しいね!」
「うん!久しぶりの青空だもんね。」

今日も朝から曇っていたのですが、午後から明るくなってきて、そして夕方には青空が広がったのです。

「毎年、異常気象というけれど、そうすると 晴れていい天気だね、っていうのは、一つの季節に何日もあるわけじゃないのかもね。」
「うん、夏は ずっと晴れて いい天気というイメージだけど、その年によって、ずっと雨だったり、曇りだったり、実際には わからないからね。」
「そうだね。あの時、りこちゃんと出かけた日は本当にいい天気だったね、と思える日が多いのは 恵まれていたんだよ。」

皆、りこちゃんと、あちこち出かけたこと、出かけた日のことを思い浮かべます。

「晴れて いい天気の日が多かったけど、雨の日も またいい思い出だね。」
「遠くへ旅行に行ったことも、近所を散歩したことも、一緒にいたことが思い出だよ。」

「あの言葉だよね。」
こざるちゃんが そう言うと、皆、うんうん頷きます。

こざるちゃんは、皆が いつも すぐ読めるように 傍らに置いてある本、よしもとばななさんの『人生の旅をゆく』を開いて、一説を読みます。

「私たちは、死ぬときに、お金も家も車も恋人も家族も、何も持って行けない。自分が着ている服も身につけている指輪も、何ひとつ持って行けないのだ。持って行けるのは、もう持ちきれないほどたくさんになっている思い出だけだ。悪い思い出もきっとあるだろう。でも、それはきっと死ぬときにはよい思い出に変化しているだろう。そしてよき思い出をたくさん創ることだけが、人生でできることなのではないか、そう思う。」
皆、笑顔で頷きながら聴いています。

「りこちゃんと ぼく達、皆の思い出、たくさんあるよね。」
「うん、あちこちに出かけた思い出も たくさんあるけど、普通の毎日のこと、一緒にご飯食べている時とか、歌を聴いている時とか、何でもないことすべて 思い出だよ。」

ラジオからは、りこちゃんと こざる達の大好きな歌が流れてきます。

「いつのことだか思い出してごらん
あんなこと こんなこと あったでしょう」

子供の頃、よく歌った『思い出のアルバム』です。

こざる達も一緒に歌います。

「嬉しかったこと 面白かったこと
いつになっても 忘れない」

夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、夕飯 出来たよー。今夜は カレーライスだよ。りこちゃんが美味しく食べられるように 甘口のカレーだよ! 一緒に食べよう!」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
思い出は 日々、どんどん増えていきます。宝物ですね。
よい毎日でありますように (^_^)


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