田原弘毅(構成T)

田原 弘毅(たはら ひろたか) 1969年5月5日生 東京都出身 日本大学芸術学部文芸…

田原弘毅(構成T)

田原 弘毅(たはら ひろたか) 1969年5月5日生 東京都出身 日本大学芸術学部文芸学科中退 第67回小説現代新人賞受賞 長篇『ネヴァードロップ』刊行 アニラジの構成作家をしていますが 最近は短篇小説も書いています。 お仕事の相談をしたい方、 作品に興味のある方はご連絡下さい。

マガジン

  • コミックレビュー

    日々、読んだマンガの感想をぽつぽつ書いていきます。 それにしても、40年以上読んでも読んでもマンガって飽きないもんですね…

  • ブックレビュー

    読了した小説作品などのレビューを書いています。

  • ラジオでメールが採用されやすくなるテクニック

    アニラジ構成作家の自分が、リスナーさんからのメールを下読みしていて「もっとここをこうしたらこのメールは番組に採用されるようになるのになあ」と常々感じているテクニックをお伝えしています。ぜひラジオ番組に投稿される際の参考にしてください。Xでは「実際に採用されました」という方のご報告もあってうれしい限りです。

  • 【アニラジの思い出・思い出のアニラジ】

    過去25年のあいだに僕が構成作家を担当した「アニラジ」について、 特に印象的だった番組を中心に語っていきます。 すべての番組には触れられないので予めご了承ください。 予定としては10タイトルくらいになると思います。 (絶望放送については別にマガジンを立ち上げようと考えています)

  • ラジオについての随筆

    ラジオの収録現場やその周辺で起こったことや感じたことをとりとめもなく短文にしていきます。また、ふだんラジオを作成、構成台本を執筆しているときに考えていることなども書いていきます。

最近の記事

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「構成作家の作り方」

「構成作家の作り方」                               田原弘毅 「ご職業は?」「お仕事は何をされているんですか?」と問われた際、正直に「アニラジの構成作家です」と答えるかどうかいつも悩む。かれこれ25年悩みつづけている。そう答えてもわかってもらえるかどうか不安だからだ。  自分が所属しているアニメ・声優業界の方なら「ああ、なるほど。アニラジの作家さん」と即座に理解してもらえるのだが、一般の方にとっては理解できない単語の羅列に過ぎないと思う。もう

    • KENT『大怪獣ゲァーチマ』(ヤンマガKCスペシャル)

       KENT『大怪獣ゲァーチマ』(ヤンマガKCスペシャル) 2巻まで読了。かつて匡波町を襲った怪獣〈ゲァーチマ〉、ゲァーチマが溶けて消えた豊饒の海によって街はむしろ潤っていた。しかし10年ぶりにゲァーチマが出現し…マンガなのに怪獣が全く無表情だったり、ソフビが重要なアイテムだったり、怪獣の首に謎の小さな穴があったり、なんというか「噎せかえるほどの怪獣愛」に満ちたマンガ。次巻がマジ楽しみ。

      • 筒井康隆『偽文士日碌』(角川文庫)

         2008年から2013年の筒井康隆の日記をまとめた文庫。  二つの大きな感想というか感銘を得た。  一つめ。個人的な感想でもあるが、自分が筒井康隆の日記文学を読んでいた十代、その内容は戦後すぐの思い出や、日本SF界の黎明期のエピソード、人気作家になってからの日々と、少年の自分にとっては、そこにつづられている作家・筒井康隆の日常は、遠い世界のことのようだった。  しかしこの本に収録されている日常は08年から13年、出てくる話題が「ips細胞」「新型インフルエンザ」「尖閣諸島

        • ラジオでメールが採用されやすくなるテクニック「話題の起点」

           ラジオにそれなりに投稿する方、あるいは番組に投稿を始めてあまり時間が経っていない方、そんな方が、投稿した番組を聴いていて「おっかしーなー!この常連さんと自分、ほぼ同じ内容の投稿をしたのに、どうして自分じゃなくてこの人が採用されるんだ!?やっぱり常連はひいきされているのか!?」といった体験をしたことがあると思います。  今回はその差を埋める、ちょっとだけ高等なテクニックをお伝えしたいと思います。ぼくはこのテクニックを「スパイス」とか「話題の起点作り」と呼んでいます。  具体

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        「構成作家の作り方」

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        記事

          『上坂すみれの文化部は夜歩く』

          【アニラジの思い出・思い出のアニラジ】このシリーズ、今まで狭義のアニラジ、いわゆる「アニメのタイトルを冠する番組」に拘っていたのですが、やっぱりこれも思い出深いのではずせない。『上坂すみれの文化部は夜歩く』!  基本的には「各回、いろんなゲストさんをお呼びして文化的なトークをする」がコンセプトで、実際、トップクラスだと、桃井はるこさん、山田五郎さん、多田将さん、内藤康弘さん、人間椅子のみなさん、辻真先さんあたりまでゲストに来たのはちょっとアニラジの枠を超えていたと思う。

          『上坂すみれの文化部は夜歩く』

          『あくまでクジャクの話です』小出もと貴(モーニングKC)

           高校の男性教師と高校生女子の恋愛というべたなシチュエーションに「生物学」というフィルターを通すとラブコメはここまで楽しくなるのか!と思わせるマンガ。生物学を駆使するのは女の子の阿加埜(あかの)の方で、生物学的に「メスにもてるオスにメスは惚れやすい習性がある」「生物の世界にフェアなんて言葉があると思うか?」「〇〇〇はメス全体に不利益が生じる」「オスは元いたメスに△△△△を持たなくなる」と身も蓋もない意見で恋愛を切り捨てていくのが面白い――という表向きのストーリーの裏でヒロイン

          『あくまでクジャクの話です』小出もと貴(モーニングKC)

          『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』ミック・ジャクソン(創元推理文庫)

          「どんな小説でした?」と問われたら「題名通りのお話でした」と答えざるをえない。そして「この小説読みました?」と尋ねて「読みました。面白かったです」と答えられたらきっと友達になれそうな、そんな小説。  いわゆる〈奇妙な味〉に分類される短篇集。連作の体をとっていて、それぞれの物語にさまざまな熊が登場する。人間の罪を食べてくれる「罪食い熊」、最後は芸が身を助ける「サーカスの熊」、ロンドンの下水で働かされる「下水熊」、潜水服を着た「市民熊」など、この作家らしい奇想と幻視で紡がれる。

          『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』ミック・ジャクソン(創元推理文庫)

          『刷ったもんだ!』染谷みのる(モーニングKC)

           なんかとても好きなんですよね、このマンガ。「虹原印刷」という印刷会社(大企業ではない)が主な舞台なので、もちろんお仕事マンガとして読め、不器用な男女のラブストーリーとしても、様ざまなキャラクターによるヲタクあるあるとしても読める。  アルバイトをする年齢になったり、自分で働いてお金を稼ぐ社会人生活を経験したあとのほうが共感をこめて読めると思う。  なにもマンガは「すごいナントカ編2位!」「大傑作」「問題作」「何百万部突破!」ばかりでなくてもいいんじゃないか?と思わせてくれる

          『刷ったもんだ!』染谷みのる(モーニングKC)

          ミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』(河出書房新社)

           基本、彼女の書く登場人物は全員「ダメな男」「いやな女」なので、合わない人は合わないだろう、イギリスの作家ミュリエル・スパークの短篇集。 読後、二つの感想をいだいた。  表題作「バン、バン!はい死んだ」や「双子」「占い師」「黒い眼鏡」のように、語り手にはたして「悪意があったのか」「罪を犯したのか」最後まで明かされない物語が多く、読後感が実に宙ぶらりんで、なんともいえない居心地の悪さを感じた。なんというか「リドル・ストーリーにさえしてもらえない」ような感覚。  また、ふつうの小

          ミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』(河出書房新社)

          ラジレンジャーこぼれ話④

           かれこれ12年以上続いている、『仮面ラジレンジャー』。 ラジレンジャーがとり扱っている揺るぎなきメインテーマは「東映特撮」。この東映特撮には50年以上の歴史があり、そこから何が導き出されるかというと…  めっちゃ人、多い。  50年間に東映特撮作品に登場したキャラクター、それを演じた俳優さん、声を当てた声優さん、アクションをしたスーツアクターさん、現行のスーパー戦隊だって5人でスタートしても絶対追加戦士増えるし、仮面ライダーだって絶対一人じゃないし2号や3号も当たり前だ

          ラジレンジャーこぼれ話④

          亀山さんとのシンパシー

           最初はなにも意識していなかった。  ぼくがアニラジの構成作家として「開眼」したのは、斎藤千和さんがパーソナリティの『ぱにらじだっしゅ!』(2005)であることは今まで何度も語ってきた。  それまでも担当させていただいた『H×HR』『高田広ゆき』『ネギラジ』『孫ラジ』らも、もちろん好評ではあったのだが、なんとなく自分にとっては構成作家という「技術」が、それまではぼんやりとしていて、意識的でなかったのが『ぱにらじだっしゅ!』で覚醒するのだった。  それは「原作のテーマやモチー

          亀山さんとのシンパシー

          ラジレンジャーこぼれ話③「コーナーの固定」

           文化放送でかれこれ12年以上続いている、東映特撮についてのラジオ番組、仮面ラジレンジャー。気づいている方はいるのかな?と思うのですが、ごくたまに、話の流れや思いつきで、一時的に「重箱の隅つつき」「東映特撮チルドレン」とかコーナーを増やすことがあるけど、基本的には「コーナーを固定」いる。   長期番組って、てこ入れとかイメージ変更とかの理由で、コーナーの総入れ替えなどやるものだが、ラジレンジャーは意図的に「東映特撮のついてのおたより」「スーパーヒーローDJタイム」「東映こねた

          ラジレンジャーこぼれ話③「コーナーの固定」

          ラジレンジャーこぼれ話②「メールの読み手」

           文化放送でかれこれ12年以上続いている仮面ラジレンジャー、番組当初から現在まで、アシスタントは仮面ライダーGIRLSのメンバーが務めてくれている。  いつのころに決めたのかもう忘れたけど、「ネタコーナー以外のメールはパーソナリティの鈴村さんと神谷さんでなく、アシスタントの仮面ライダーGIRLSが読む」と固定した。時期は忘れたけど、理由ははっきり憶えている。GIRLSちゃんたちはやや奥ゆかしいところがあり(特にジェナちゃんとちーちゃん)、ゲスト回などは会話の邪魔にならないよう

          ラジレンジャーこぼれ話②「メールの読み手」

          ラジレンジャーこぼれ話①「しゃべりだしとしめくくり」

           文化放送で12年以上続いている仮面ラジレンジャー、パーソナリティのお2人、鈴村健一さんと神谷浩史さん、聴いている方はよくおわかりかと思うが、レッドとブルーのイメージ通り、声質や喋り方が、鈴さんの方がちょっとあたたかみがあって、神谷さんの方がややクール。  いつのころからか忘れたが、台本的に「コーナーの喋りだしはすべて鈴さん、コーナーの締めくくりはすべて神谷さんにしよっと」と固定した。ぼく的には「ほんわかした雰囲気からトークがスタートしてきりっとした感じでコーナーが終了する」

          ラジレンジャーこぼれ話①「しゃべりだしとしめくくり」

          筒井康隆『人類よさらば』(河出文庫)

           筒井康隆『人類よさらば』(河出文庫)読了。文庫自体は2022年の刊行だが、収録されているのは1960~70年代に雑誌に掲載された作品。単行本や文庫本に収録されてこなかった短篇を集めている一冊なので、筒井康隆の入門書とは言いがたく、かなりコアな筒井ファンのための作品集と言っていい。  思わぬ拾い物だったのが「マッド社員シリーズ」で、内容は当時のモーレツ社員、スチャラカ社員を題材にしたドタバタなのだが、主人公の更利萬吉が未来の会社・働き方として提案するのが「在宅ワーク」「リモ

          筒井康隆『人類よさらば』(河出文庫)

          キャラの呼び方

           アニラジのトークのなかで、声優さんが、自分の演じたキャラクターの名前を「〇〇は」と呼び捨てにしたり、あるいは「□□さん」「△△くん」と敬称をつけて呼んだり、さらには「彼はさ」「彼女はね」と三人称で語ったりするのを聴くのがすごく好き。  おそらく無意識なのだろうけど、そういうふうに語る声優さんのなかでは、その人物はただの役でも架空の存在ではなく、あきらかに実在する人物なのだろう。それが多分「キャラクターを生きた」人間の実感なんだろうなと思う。