『本来のマネジメントとは、人がその能力を最大限に発揮して価値ある成果を挙げられらようにするための方法論』 (「ノルマは逆効果」より ③)
藤田勝利さんの著書、「ノルマは逆効果」。
この本から、私の心に響いた言葉をご紹介しています。
今回は第3章、『ノルマのない会社に共通する習慣』からの言葉です。
“本来のマネジメントとは、人がその能力を最大限に発揮して価値ある成果を挙げられらようにするための方法論です。”(p75)
よく言われる事ですが(しかし真剣に議論される事も少ないですが)、「マネジメント」の訳語は「管理」ではありません。
日本では、「管理職」という言葉が当たり前に使われてますが、この表記が誤解を招いている一因になっているようにも思います。
この点に藤田さんも言及しています。
“日本で長く使われてきた「管理」は「マネジメント」の正しい訳語ではありません。(中略)もちろんマネジメントの中で管理も必要です。しかし、組織は機械ではありません。思い、感情、意欲を持った人間の集団です。管理だけではいきいきと動かしていくことはできません。” (p75)
にもかかわらず、多くの企業が、
「ノルマ」による管理以外の「マネジメント」があることを知らない (p74)
のが現状です。
では、本来のマネジメントの役割とはなんでしょうか。
“本当のマネジメントの役割とは、ノルマ管理という「誘惑」に負けずに、社員が自ら目標を立てて自発的に仕事をする状況を創り出すことです。(中略)それが、目に見えない資産を増強し、人のモチベーションや満足度、仕事への誇りを高めて、結果的に企業の数字を好転させます。そのために、「目的の設定」「コミュニケーション」「コーチング」「マーケティング」「イノベーション」「会計知識」など様々な数的・人的知識を身につけるのがマネジメントです。 (p75)
「マネジメント」には、恐らく多種多様な定義や解釈があるでしょう。
ただ、私にとってはドラッカーの理論をベースにした藤田さんのこの定義が、とてもしっくりときます。
さらには以下のようにも続きます。
“マネジメントとは、生身の人間を扱うと同時に、数字という結果に責任を持つものなので、人間心理学や統計学や戦略理論など様々な教養を身につけるべき、まさに「リベラルアーツ」的な理論です。”
つまりは、管理職のポストに就いた者だけが身につけるべき理論ではなく、人と協働してものごとを進めていく上では、誰でもが身につけるべき理論であるという事だと思います。
日本企業で広く認識されている「管理」とは、程遠い概念(理論)であるという事がわかるのではないでしょうか。
そして、この「マネジメント」が機能しているかしていないかで、その成果には明らかに大きな差がつくことになります。
さて、本章では、『ノルマに頼らない企業に共通する7つの習慣』として、つまりはマネジメントが機能している企業における習慣として、以下7つが挙げられています。
それぞれの詳しい解説は、是非本書を手にとってご確認をいただければと思います。
▼ 習慣1 「どこで勝負するのか」が明確
▼ 習慣2 「結果」よりも「結果を生む習慣」を重視する
▼ 習慣3 「数字」ではなく「顧客」「ファン」を作る
▼ 習慣4 コミュニケーションは「情報伝達」ではなく「意思疎通」を目的としている
▼ 習慣5 「上下関係」ではなく「信頼関係」で動いている
▼ 習慣6 「組織の成長」の前に「人の成長」に徹底してこだわる
▼ 習慣7 マネジャーの仕事は「管理」ではなく「動機づけ」である
残念ながら、私は「マネジメント」が機能していないが為に、崩壊をしていく組織を何度か目の当たりにしてきました。
だからこそ、藤田さんがこの「ノルマは逆効果」で述べられている主張が、痛いほど良くわかるのです。
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