いざわこうへい

01.15.生まれ(奇跡的に姉貴と誕生日かぶる)2019.まで俳優・役者活動してました…

いざわこうへい

01.15.生まれ(奇跡的に姉貴と誕生日かぶる)2019.まで俳優・役者活動してました。(ある日突然区切りがついたので、辞めました)2019.の終わりから作家ぶってます(物語作るって、なかなか難しいですよね)

最近の記事

365分の3

家の近くのコンビニエンスストアはクリスマスのやる気がない。 極寒を我慢し店内に入る。 今夜はどこのコンビニでも店員はサンタの帽子を被る。 決まり事ではないだろうが、コンビニでできるせめてものクリスマス感だろう。 しかし、このコンビニにはそんな店員が居なかった。 「いらっしゃいませーー」 毎晩聴き慣れた夜勤担当の50歳ぐらいの女性店員の声。 彼女と目が合う。 彼女の頭にはサンタの帽子が毎年乗っていない。 例年なら仕事疲れが上回って気にもならなかっただろう。

    • 【ショート】ノイズだらけのふたりだけの嘘 ⒈

      日本がまだバブルに浸っていた時代。 あの部屋で彼女と会う時間だけが唯一の呼吸できる瞬間だった。 「あなたもいい歳なんだから」 なぜ母親とは、あれほど世間体を気にする生き物なのだろうか。 聞こえの良い会社を好み、見栄えの良い生活を望み、気立ての良い女性を求める。 親の心配とは、いつの時代も先走り過ぎている。 「わかってるから」 たとえ、そう返したとしても「心配してるから、言ってるんやないの」と決まり文句。 この三十年何度繰り返しても更新されないやり取りは、俺の嫌いなものとして

      • 偽りなき心(シナリオ)

        登場人物 羽村舞(35)奥村の婚約者 伊葉操次(65)BAR「あまやどり」 マスター 羽村真(38)会社員 飯塚岳人(36)真の同僚 白石(50)BAR「あまやどり」の客 舞の母 舞の父 本編○チャペル・中 主祭壇の前に立つ羽村真(38)。 参列者と共に席に着く飯塚岳人(36)。 結婚行進曲と共に扉が開き、浮かない表情の羽村舞(35)が入場してくる。 バージンロードを歩く舞、飯塚と目を合い、その場に硬直してしまう。 不思議そうな表情を浮かべる飯塚。 羽村「舞?」 羽村、心

        • 薄明

          薄明とは日の出のすぐ前、日の入りのすぐ後、大気中の塵による光の散乱により空が薄明るく(薄暗く)なる時の事を言うそうだ。 本棚の奥の奥本棚を整理していると、本棚の奥の奥。押し込まれた一冊の本を見つけた。 ぼくは手を伸ばし、他の本が落ちて来ないようにそれを慎重に抜き出す。 正方形の形をしていて瑠璃色に表紙には、星がいくつも浮かんでいる。 ページ一枚一枚に膨らみがあって、本にしては膨張していた。 ぼくは、この本を久しぶりに取った。かつて何度も何度も見直しては、頬を緩ませたことを思

        365分の3

          スケルトンにならない境遇

          #2000字のドラマ 登場人物 谷田部 鎮太郎・・ヤンキー、花の彼氏 松本 花・・鎮太郎の彼女 裕太・・大学生、花の彼氏 猪狩文治・・ガソリンスタンド店長 もう何日、このアイコンを眺めているのだろう。 二人肩を寄せ合い、頰を擦り合い、幸せそうに笑う写真。 このアイコンが1秒後には一番上に来るのを通知されることをずっと待っている。 そう思ってしまう俺はLINEを閉じることができない。 「いつまで休憩してんだよ!さっさと表出てくれよ!」 店長の猪狩さんはソファでうなだれる

          スケルトンにならない境遇

          そのメンチカツ、美味しいだろ?

          *このお話はシナリオセンター課題を編集したものです 登 場 人 物 藤谷実(57)パン屋「pane Bread」店主 加藤真央(14)中学生 ○pane Bread・店内・厨房(夜)    藤谷実(57)が無表情で窯の中を見ている。 藤谷「・・・燃えて無くなっちまえ」    含み笑いをする藤谷の瞳に写る窯の中で燃え盛る炎。 藤谷「次は・・・」    蛇口で手を洗う藤谷。    シンクに流れる真っ赤な血。    藤谷、手を拭き、スマホで電話を掛ける。 藤谷「あ、もしもし加藤

          そのメンチカツ、美味しいだろ?

          カッコイイっしょ、俺のリフッ!?

          #2000字のドラマ ○登場人物 ♤俺 愛知の片田舎から夢を持って上京したバンドマン、目下売れない歴代8年目突入 ♡マリ 主人公の片思いの相手。主人公と同じバイト先。主人公曰く、凄く可愛い。 ♢カツジ ベーシスト。主人公とバンドを組んでいて、バイト先も同じ。 ♧ケン 恋の行方を知っているバイト先の店長。 専門学校卒業と同時に愛知の片田舎から上京してきたはいいが芽が出ない歴、7年。 もうそろそろ三十路の背中も見え始めてきた。 今まで作った曲は50曲以上、ライブでウケた曲は1

          カッコイイっしょ、俺のリフッ!?

          幸せのいし(脚本)

          *このお話はシナリオセンター課題を編集したものです ー登場人物ー 岩井紀子(32)専業主婦 岩井沙百合(67)ホームレス 岩井秀人(35)サラリーマン 岩井睦(11)小学5年生 お巡り ○岩井家・前(夕) 岩井家を挙動不審に見上げるホームレス姿の岩井沙百合(67)。 緊張した面持ちの沙百合、震える手でインターホンに手を伸ばす。 睦の声「お前、誰?」 沙百合、振り返ると怪訝な目の岩井睦(11)。 沙百合「あ、あ、あの・・」 睦「分かった。お前、空き巣だろ?」 沙百合「

          幸せのいし(脚本)

          自生を交換してみる。

          #2000字のドラマ              登場人物            僕 * ヘム * 双子の兄貴 今日の山手線の揺れはいつにも増して、凄まじい。 読書しようにも、目線がブレる。 何より最悪なのが、マーカーで引かれるラインが乱れてしょうがないってこと。 さっきから誤線を消す作業を何度も繰り返しているので、一向にページが先に進まない。 そんな姿が彼女には、熱心に見えたのだろうか。 「その本、そんな面白い?」 顔を上げると、僕を覗き込む金のメッシュが入った綺麗

          自生を交換してみる。

          「今、もしもバッタリ君に逢えたら、何と言えばイイのかな?」

          #2000字のドラマ             登場人物      ボク * 彼女・るる * バス停係員の女性 おもむろに彼女の名前をInstagramで検索する。 新しい姓の後に、カッコ書き。 純白のドレス姿に身を包んだ彼女は、ボクが知っている一番の泣き笑顔をしている。 ボクはその泣き笑顔の意味を知っている。 窓から差し込む朝日が眩しい。 松山駅到着を知らせる車内アナウンスを耳にしながら、手元の携帯に手早く打ち込んだ。 「もうすぐ着くよ」 約10時間を過ごした夜行バ

          「今、もしもバッタリ君に逢えたら、何と言えばイイのかな?」

          みかんえーど(脚本)

          *このお話はシナリオセンター課題を編集したものです 人 物 幾多冬馬(70)喫茶室「まちあわせ」店主 幾多美紀(58)喫茶室「まちあわせ」店主 伊藤健太(17)高校生 和田美穂(17)高校生 ○喫茶室「まちあわせ」 窓の外に大きな湖が見えている。 ジャズが流れる店内。 カウンター内では幾多美紀(58)がコーヒー豆を挽いている。 幾多冬馬(70)、店内を見回している。 幾多N「ここは湖畔そばにある喫茶室「まちあわせ」。もう43年ここで沢山の方のまちあわせ場所を勤めてまいり

          みかんえーど(脚本)

          遅咲き(短編小説)

          「自立してください。」 彼女が口にしたその一言で、2ヶ月ぶりの再会というピンと張りつめた緊張の糸は面白いぐらいあっさりほつれた。 「はい。」 含み笑いを堪えながら、真剣な眼差しを送る彼女に返事をする。 あれだけ毎日突き合わせていた顔もこれだけ合わせないと、こうも新鮮なのかと感じてしまう程に彼女の顔を改めてマジマジと眺めてしまう。 「そういえばこんなところにホクロあったっけ!」とホコリの被った昔の日記をめくった時のように染み染みと記憶の中の彼女と答え合わせをする。 「もっと自

          遅咲き(短編小説)

          ありがとう。

          今日1月15日は、自分の誕生日でした。 (ちなみに姉貴も同じ誕生日、双子じゃないよ) 誕生日には両親と過ごすようにしています。 何でかはわからないけど、大事な日にはそばに居流べきだなと思ったので、 そんな今日は自分のルーツでもある子供の頃から行き倒した映画館で映画を見てきました。 色々やってたけど、やっぱり明るい映画がいいから、プペルを。 なんか毎年少しずつ景色が変わっているのに、少しずつ時間と共に動いているから、気づく前に慣れてしまう自分がいる。 そんな時に僕は一度立

          ありがとう。

          今回は作品じゃありません、感動したので。

          昨夜レイトショーで「えんとつ町のプペル」を観に行きました。 一言目を言うなら「爆泣き」 二言目を加えるなら「ドキドキした心臓がどっか行かないようにシートベルトが欲しかった」 今年一番泣いたし、今までと比較しても小学生の頃に見た「タイタニック」程泣いたかもしれない。 元々西野亮廣さんのオンラインサロンでプペルというエンターテイメントができるまでの過程を「面白い」という好奇心でずっと楽しみにしてきましたが、 スクリーンを見て感じたものは、もっと壮大だった。 これを言語化で

          今回は作品じゃありません、感動したので。

          光奏でる丘(脚本)

          (このお話はシナリオセンター課題を編集したものです)  人 物 新井一(43)新聞記者 大溝貴男(8)(6)小学生 大溝幸江(32)(30)主婦 大溝秋硯(30)貴男の父、故人 愛(65)たこ焼き屋台店主 新井のお父さん ○陽だまりの丘住宅街(夜) T・12月23日 イルミネーションでライトアップされる家々。 その中でも一際強く光を放つ一軒家。 表札には「大溝秋硯・幸江・貴男」と書かれている。 新井N「これは僕がクリスマス前夜で出会った親子の約束とそれを見守り続けた者達の

          光奏でる丘(脚本)

          ドライ・フラワー(脚本)

          (このお話はフィクションです。シナリオセンターの課題を編集したものになります。)    人 物 藤江建(13)中学生 江頭翼(37)ゆうちょ銀行員 倉満紀治(38)ゆうちょ銀行員 野々宮太野亮(52)ゆうちょ銀行員 来宮由比(15)中学生 理沙(20)劇中登場 直倫(20)劇中登場 女子生徒A 女子生徒B 検事 ○紀治アパート・室内(夜) 倉満紀治(38)と江頭翼(37)がソファで身を寄せあって、テレビを見ている。 ○映像・恋愛ドラマ 直倫と理沙が向かい合っている。

          ドライ・フラワー(脚本)