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【編集者が書籍化したいと思うのは?】具体事例から読み解く「目を付けられる」コンテンツの作り方(2017年7月号特集)


ネット発の書籍化には「数字」「実用性」が必須

 ネット発の本で、シリーズ累計25万部の大ヒットとなったのが、給料のまとめポータルサイト「給料BANK」を書籍化した『日本の職業&給料図鑑』。販売元である宝島社の担当編集者に話を聞いた。

 「ネット発の本はアクセス数などの「数字」が重視されますが、無料ゆえの人気かもしれず、それだけでは企画が通りにくい。プラス「実用性」も必要です。逆に言えば、これらの条件を満たせば誰でも書籍化のチャンスがあります」

 給料BANKは個人が運営しており、アクセス数がずば抜けていたわけではないが、切り口の面白さですんなり企画が通った珍しいケースだったとか。
「給料は本物のデータですが、RPG風のイラストとユニークなキャッチコピーに遊びがあり、面白くて役に立つ。それに誰もが人の給料は気になるもの(笑)。需要があるテーマでもあったんです」

書籍化を目指す人にひと言!
「僕はネットニュースを主な情報源にしているので、そこで取り上げられるような着眼点の面白さは大切。編集者が連絡をとりやすいよういろんなSNSをやることも重要だと思います

美学を感じさせる文章が書籍化への近道

「ブログなどが本になるには、ランキング上位、もしくはSNSで多くのファンがいることが大前提。そこをクリアしている方の中で、一般化できるノウハウを持っていることが、書籍化の条件です」

 こう話してくれたのは家事、美容、ファッションなどの「女性実用」を担当するKADOKAWAの編集者。にほんブログ村で上位にランクインしていた尾崎友吏子さんのブログを見て「他と圧倒的な違いを打ち出せる」と書籍化を依頼したという。

「今、ミニマリストの方はたくさんいるのですが、尾崎さんは家自体をダウンサイジングしてモノを減らしている点が新しかった。文章もロジカルで、独自の美学が感じられる点も魅力でした」
 書籍はブログより強いテーマ性が求められるという。そのため、ブログをそのまま書籍化するのではなく、尾崎さんの本のように書き下ろしてもらうことも多い。

「私がオファーするのは、このテーマでこの人が書いたら面白い本になると確信が得られたときなんです。書籍化を目指すなら、自分の文章が他の人にも役立つ内容か、一本筋が通った哲学を感じさせるものになっているかを考えてみるといいかもしれません」

こんなサイトやブログが本になりやすい

熱狂的なファンがいる

単にアクセス数が多いだけでなく、毎回コメントを残すなど、本を買う可能性の高い熱狂的ファンの数も編集者は見ている。

読者やファンとの交流が盛ん

読者やファンから質問を受け付けるなどして交流している場合も、01と同様、本を買う動機が強まるため、編集者から高評価。

アンチがいる

良くも悪くも知名度が高いのは書籍化するうえで有利。アンチがいるということは、それだけ話題性もあるということ。

ブログやSNSから火が付き、単行本化された書籍

『妖怪男ウォッチ』(ぱぷりこ著・宝島社):妖怪男の鋭い生態分析が剌さる!

女を不幸にする男=妖怪男を徹底的に分析して供養する人気ブログ「妖怪男ウォッチ」の書籍化。著者は外資系OL。noteでのぱぷりこの「お焚き上げ恋愛相談」も話題。

『日本の給料&職業図鑑』(給料BANK著・宝島社):ネットニュースがきっかけで書籍化!

ポータルサイトを7つ運営している山田コンペーさんが、給料BANK名義で作ったサイト。ネットニュースで話題になり、フェイスブックで流れてきたニュースを見た出版社の編集長が、書籍化依頼をしたという。

『今日のおべん一平日ラクするべんとう生活』(tami著・主婦の友社):インスタのフォロワー12万人!

著者は滋賀県の主婦。ご主人のために毎朝作るお弁当を投稿したインスタグラムで約12万人のフォロワーを持つ。色鮮やかでセンスのいいお弁当をいかにラクしておいしく作るかというコツが紹介されている。

『「美人は性格が悪い」って本当!?ブスが美人に憧れて人生が変わった話。』(フジコ著・大和出版):ツイッターで話題、書籍化!

昨年秋、性格はもっとブスだったという女性が、自らを変えるきっかけとなった出来事をイラスト+文章でツイートしたところ、Twitter上で「書籍になれば絶対買うのに」と大反響。著者は雑貨店経営の一般人。

特集「実は、あなたも本が出せる」
公開全文はこちらから!

※本記事は「公募ガイド2017年7月号」の記事を再掲載したものです。

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