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だれかの土曜日の朝

キッチンの椅子でコーヒーを飲んでいる。
1日の何回か、私はそこに座ってコーヒーを飲んでいる。
夜、なんとなくコーヒーが飲みたくなったとき、朝起きてお湯を沸かす習慣。
ガスコンロでお湯を沸かすことはとても私にとって意味があると思った。
薬缶に水を入れて、コンロに置いて、火をつけて、火力を調整して、待つ。
次第にお湯が沸いて、ジュワジュワ夜間の内側の壁面にお湯がふれて気化する音、取っ手をそのまま握って、熱いと思うこと、熱いから布巾をかませて薬缶を持ち上げること。そういう流れが、行動が、習慣づいて、ときどき知らないうちに起こる私の体や心の変化をその習慣が気づかせてくれることがあったりする。

心地よい土曜日の朝で、
朝起きてから窓を開けて家の中を隈なく掃除する。
床の上に散乱していた本を本棚に納め、あらためて本棚を見つめてそれぞれの本の納まっている場所を少し変えたりする。
この、本の位置を変えること。これはとても不思議な作用がある。
まるで自分の心の中の整理をしているみたいに、その日そのときでこの本はここにあるべきだというのが変わってくる。ずっと位置が変わらない本もあれば、毎週変わっている本もあったり、どうしてかすぐに取り出して床や机に置きっぱなしになっている本もあったりする。そして部屋中に本が散乱していたりして、そういうとき、だいたい私は疲れていて、本が抜け落ちた本棚と部屋中に散乱している本を見て、ああ、私はいまこういう状態なのだと理解する。

床の掃除と風呂場の掃除で、少し汗ばむ。
シャワーを浴びて、冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに入れる。
一息で飲み干して、お湯を浴びた体は熱っているのに、内側は冷たくなる。
不思議な感覚で、窓のすぐ近くに座って風を浴びる。

網戸越しに見える空は青くって、雲が浮かんでいて、気持ちいい。
このあと公園に行って、そのあと勉強しよう。
そう思いながら、もう少し床の上でゆっくりしていようと思う。

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