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真夜中-L

後ろから聞こえる気になる会話の行方。

A:そういえばさ、ガノンドロフ倒せた?
B:ぜんぜん、最近時間作れなくってさ、まだまだなんだよね。けっこう難しい、時間かかるかもしんない。
A:まじか、ゼルダの話したのもう1ヶ月くらい前じゃない?
B:いやいや、クオリティ高いの、ほんと難しいからね。
A:Cはさ、ガノンドロフ倒したことある?
C:うん、小学生のときに何回も
A:やっぱあるよね、俺らの世代ってだいたいガノンドロフ倒して大人になるよね。

本を読んでいた。
後ろに3人が来た。しばらく何か話していた。私はそれに気にならなかった。なぜかというと私は本を読んでいた。コーヒーはもう残り少ないから、水をちびちびと飲みながら。日曜日の夜の、こんな時間に男3人でしらふで喫茶店に来るのってなんなんだ、とは思ったけれど、それほど気にせず。
しばらく経ってから繰り広げられたその会話に、私は持っていかれた。
なにそれ、なにその返しは。冷静になに、その返しは。急にその3人の会話、関係性に引き込まれるというか持っていかれた。しかし、その3人はまもなく会計に立ってしまった。わかる、わかるぞ。たしかに私もガノンドロフを倒したことがある。倒して大人になった。

いままで一瞬も意識したことがなかったゲームの経験と現実の経験のリンク。
私たちはガノンドロフを倒したことがあるし、ミューツーを倒してきたし、なんなら世界を何回も救って大人になっていることに気づいた夜。

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