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愛する妻を守るために 須佐之男命様の“変容”ことの葉綴り。其の百十四

電撃結婚!?

おはようございます。月曜の朝仕事前、ひととき「神話の物語」へ。
神様も“失敗”されて成長された物語。
“孤独なアウトロー”として出雲に降り立った須佐之男命さま。
八俣の大蛇に娘が食われると泣く、足名推、手名推、櫛名田比売。
須佐之男命さまは、櫛名田比売を助ける! と決心したのです。

私は、天照大御神の弟神。今、天の高天原から、この地上へと降りてきたばかりだ」

罪を贖い、苦しみを乗り越えて、清め祓われた神としての、
勇壮迅速な光輝く須佐之男命さまは、そうおっしゃいました。

「櫛名田比売を、私の妻にくださらないか?
私が、その大蛇を退治し、必ず比売を守ろう!」

目の前の勇ましい青年神の申し出に、父の足名推は驚きますが、
天照大御神さまの弟神だったと知ります。

これまで愛する8人の娘を八俣の大蛇に食べられて、最後の一人なのです。その娘を救い妻に娶りたい。
それが天つ神の天照大御神さまの弟神とは……。

「それは畏れおおいことです。はい。娘を奉ります」

須佐之男命さまは、しっかりと頷きます。
私が、櫛名田比売のために、必ず、八俣の大蛇を退治する!

須佐之男命さまは、これまでのように、ただ無鉄砲に考えもなしに暴れることはありませんでした。

空の雲が厚くなり、暗さが増してきます。
八岐大蛇が、近づいてくるおぞましい気配がしてきます。

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愛する大切な存在を守る!

そのために、どうすればいいか? と、考えて、
櫛名田比売を、八岐大蛇から身を隠すことを思いつきます

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櫛名田比売を櫛に変えて

そのとき、須佐之男命さまは、ご自身の強いご神威を使って、
麗しい乙女の櫛名田比売を、
清らかな爪の形をした櫛へと姿を変身
させました。
その櫛を、とても大切そうに優しく手にとると、
ご自身の髪の角髪(みずら)に刺しました

よし、これで、比売は私が守ることができる!
私も、櫛名田比売の力に守られている!

櫛名田比売は、『日本書紀』では、奇稲田姫と書きます。
櫛名田は、霊妙な稲の田という意味で、
水田の豊穣さを表す守護神なのです。

この比売を、「櫛に変えた」……。
櫛は、奇に通じ、霊力を持つと考えられていたそうです。

父母に結婚の許しを得て、夫婦の契りを結び、
櫛名田比売を櫛に変えて、我が身につけることで
比売の霊力を自らの“守り”にしたといわれます。
また、契りを結んだ櫛名田比売が、
自分の魂のこもった櫛を、須佐之男命さまに贈り
それを「お守り」として、髪にさしたともいわれています。

20200621八重垣神社仮殿IMG_1162


地元の島根県の八重垣神社さんには、
八俣大蛇退治」のとき。
櫛名田比売は、佐久佐女(さくさめ)森の中の奥の院に
身を隠した言い伝えが残っているそうです。
そして、古伝祭「身隠し神事」がおこなわれ、
今も、神話が再現されているのです!!!

神話は今も生きている!!

あとは、化け物のような八岐大蛇をどうやっつけるか……?

須佐之男命さまは、愛する妻の櫛名田比売を守るために
知恵を絞られるのでした。

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―次回へ

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