導きの八咫烏 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。二〇三
伊波禮毘古への夢のお告げ
おはようございます。週末の朝も「ことの葉綴り。」のひとときです。
九州の高千穂から、国の平定のために、東征してきた
天孫の御子の伊波禮毘古は、紀州の熊野村で、荒ぶる神の魔力で、生死をさまよう大ピンチに追い込まれます!
をはじめとする高天原の天つ神たちでした。
熊野に暮らす高倉下(たかくらじ)は、天照大御神さまはじめ天つ神からの夢のお告げにより、神剣の「佐土布都神(さじふつのかみ)の剣」を、伊波禮毘古に献上して、窮地を救いました。
現在も、「佐土布都神」は、奈良県の石上神宮の主祭神としてお祀りされています。
高倉下も、和歌山県の熊野速玉大社の摂社の神倉神社にお祀りされています。
伊波禮毘古は、献上された神の剣「佐土布都神」を
大事そうに眺めます。
この威力、霊力は、高天原の天つ神さまよりの御心であったのか!
ありがたきこと!!
兄の五瀬命を失い深い喪失感の中にいた伊波禮毘古ですが、
ご先祖でもある天照大御神さまや、高天原の神々の
御こころに、萎えて傷ついていたこころが、包まれていくのを感じていました。
この豊葦原中つ国を、天つ神の御こころのままに
平らけく、安らけく、一つに統べる。
決してあきらめない!!
ご自身の天命を、心新たにされたのです。
高倉下のおかげで、一命をとりとめたその日の夜のことです。
今度は伊波禮毘古の夢に、高天原の高皇産霊神さまが現れて、
こうお告げをされたのです。
神の使者 八咫烏(やたがらす)
天つ神の御子
よいか、これより奥地へと入っていってはならぬ。
そこは荒ぶる邪神が、たくさんはびこっておる。
今、天より、八咫烏(やたがらす)を遣わそう。
この八咫烏が、道案内をするであろう。
その道筋に従って進んでいくのがよいであろう。
翌朝、目を覚ました伊波禮毘古は、
しみじみと夢のお告げをかみしめていました。
八咫烏とは……烏が天つ神の使者としてくるのか……。
そう思うまもなく、天空から、大きな黒い烏が一匹、羽を広げて
勢いよく地上へと舞い降りてきました。
これが…八咫烏…おおぅなんと、足が三本あるではないか。
よいか。あの三本足の烏は、天つ神の使者ぞ。
私たちの道案内をしてくれる。
見失うことなく、八咫烏に付き従うのじゃー。
伊波禮毘古と一行は、それからは、険しい森でも
荒ぶる邪神に会うこともなく、歩を進めていきました。
幸せへの導きの神
八咫烏は、天つ神の神魂命(かみむすび)の孫の鴨建津之身命(かものたけつみのみこと)の化身で、天から遣わされた大きな三本足の烏と言われています。
八咫とは、大きくて広いという意味で、太陽の中に住む霊力を持つ神の化身で、三本の足は、天、地、人を表すといわれます。
サッカー協会のシンボルにも使われているので、有名ですよね。
これは、この物語の、伊波禮毘古を大和まで導いたことにちなんで
ボールをゴールで導く、という願いが込められています。
熊野三山では、今も、大切に、幸せのお導きの神として、交通・海上の安全の守護として、お祀りされています。
熊野本宮大社
熊野那智大社
熊野速玉大社
まさに、神話は今も生きている、のです。
―次回へ
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