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“やんちゃな暴れん坊”須佐之男命①ことの葉綴り。其の九四

お母さんに会える!

おはようございます。小鳥のさえずりが聞こえる朝、「ことの葉綴り。」のひとときです。
“神様も失敗して成長した”今日から新たに須佐之男命さま編です。
「妣上に会いたい~」と、亡き母を恋しがり、父神の伊邪那岐命さまから、「追放」された須佐之男命さま。

父が“引退”までして、息子を妣の世界へ「追放」した、父の厳しい愛情を、親心子知らずって感じです。


父を怒らせたけど、根の堅洲国の妣上(ははうえ)に会いにいける! 

どこか“お気楽”に感じられます。

のんき”なのは、須佐之男命さまお一人(一柱だけ)

勇壮迅速、なんせパワフル、スケールの大きさは半端ない、やんちゃな赤子のような神さま。
本人は、ただ「妣上に会いたいよ~」と、泣いていただけでも、
山も枯れ、海川の水も涸れ、悪人がはびこり、葦原中つ国が、大ピンチ
になっていたんですから。
そのご自覚がないのでしょう。

父からは、嫌われて、この世からは追放されたけど、
妣上に会えるし! 
ははうえ~待っててくださいね~!!!
おおぅそうだ、その前に、優しく麗しい姉神さまに会っておこうっと。妣上に会えることをお伝えしなきゃな。

そうおっしゃって、天に舞い昇られるのですが、
やはり、スケールの大きさが違います。
ご本人は、心底願っていた、妣上(ははうえ)に会いにけるのです。もう気分はウキウキな、“やんちゃ坊主”。
須佐之男命さまの、頭も心も、
大好きな恋慕うお母さんに会える!
それしかありません。

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妣の国は魂のふるさと

人は母のお腹から誕生します。
その“母”という存在への思慕は
誰しもの心の奥にあるもの。
どこか、魂の故郷のような……。

お母さーん。

命の根っこにある、懐かしさ。
へその緒でつながっていた、いのち。
母の偉大さ、大きさ、包み込む優しさ。
無条件の慈しみ
亡くなった母のいる妣の国は、
古来を生きた私たちの祖先たちにとっても、
どこか懐かしく慕う、魂の故郷だったのでしょう。

母の腕の中で、安心して眠る。
むにゃむにゃ……

誰しもが持っている感覚。

須佐之男命さまは
まだ見ぬ、母に会って甘えたい!
“やんちゃな男の子”が、願っているだけ。

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周りが見えないとき

それ自体は、けっして否定されることでもないですよね。

でも、そのことで、周りにどんな影響を与えているか
そこには考えが及ばない。


”上機嫌”で気分のいい須佐之男命さまが、
一歩、歩みを進めるたびに、
葦原中つ国の山も川も、
ことごとくに雷鳴は鳴り響きわたり
すごい震動で大地が揺れ動いてしまった
のです。

葦原中つ国のピンチは、変わっていません
どころか、大地が大きく揺れて
雷鳴がずっと鳴り響いている。

地上に生きる私たちからすると
それは、天変地異の状態ですよね。

それに、須佐之男命さまご本人は、気づかれません。

おいおい、とツッコミたくなりますが。
でも須佐之男命さまのこんな状態を
私たちも、決して他人事とはいえません。

たとえば、自分が何かに夢中になっているとき
焦っているとき
視野が狭くなって、周りの状況が見えなくなる

また、普段からでも、他人のことは、冷静に判断できても
意外や意外、自分のこととなると
実は自分がいちばん“わかってない”
“みえてない”こともあるはず

まさに、須佐之男命さまの状態がソレ。

須佐之男命さまは、
ただ自分の亡き母への思い。
誰しもが心の奥に持つ
母への想いがあるだけ。

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高天原へ昇天するが……。

その須佐之男命さまの、ワクワク感が増すたびに
一歩、どしんどしんと歩くたびに
葦原中つ国の枯れた山、涸れた海も川も大きく揺れて
空には雷鳴が鳴り響く
勇壮迅速のスケールの大きな荒々しい神さまぶりを
発揮
している。
けれど、ご本人は、それがご本人の特性なので
なんの不思議にもおかしたことにも、大変なことにも
まったく気づかない
……。

そのまま、「お姉さーん」と天照大御神さまに会いに
高天原へと昇っていかれます。

父神の伊邪那岐命から委ねられた高天原で、
光香しい姫神の天照大御神さまは、
葦原中つ国の凄まじい状態をご覧になり
雷鳴を響かせながら、どしんどしんと荒々しく
近づいてくる、弟の須佐之男命さまをご覧になり
たいそう驚かれたのでした

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―次回へ

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