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天の安の河の誓約(うけひ)天照大御神 須佐之男命④ことの葉綴り。其の九七

天の安の河の誓約

こんにちは。金曜は午後遅くにようやく「ことの葉綴り。」です。
“神様も失敗して成長した”
太陽の姫神。天照大御神さまは、荒ぶる弟神の須佐之男命が、高天原を奪いに天に昇ってきたと思い込まれて、男装の武装姿で「そうはさせない!」と、迎えました。
父神の伊邪那岐命さまが委ねられて統治する高天原です。
弟の“謀反に負ける“わけにはいきません。

けれど、弟神の須佐之男命さまは、
「私には汚きこころはありません」
と言葉にしますが、
どうも、信じられません。

須佐之男さまも、姉神の気迫に押されて懸命に事情を説明します。
それでも、姉神は信じてくれません。
「心に汚きこころなく、清き明るいとはどうしてわかるのだ?」と問いただします。

そこで、「それでは誓約(うけひ)をして、私たちが神生みをして、天つ神のご神意をうかがい、証明します」
と、提案して、天照大御神さまも、
「誓約(うけひ)か……わかった」と、ようやく納得してくれたのでした。

誓約(うけい)とは、普通であれば
最初の段階で、「もし〇〇ならば、それは正しい。〇〇でなければ、邪である」と、二つのどちらかになるかを決めておくもの。

神話の『古事記』によると、
自分に「異心はない」ことを証明するはずの須佐之男命さまですが、神生みをして、「女神が生まれたら正、男神なら邪」というルールを決めていなかったとされています。
ところが『日本書紀』では、「もし女神が生まれたら邪心、男神が生まれたら清きこころ」と、最初に掟を決めていて中身も逆になっているのです。
ここでは、『古事記』にそって物語を進めましょう。


天照大御神さまと、須佐之男命さまは、
高天原にある、天の安の河をはさんで立たれます。

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いざ、真剣勝負ですー

宗像三女神の誕生

天照大御神さまは、まず須佐之男命さまが腰に帯びている十拳剣(とつかのつるぎ)を、「こちらにお渡しなさい」と、おっしゃられました。

この「十拳剣」は、須佐之男命さまの御魂の依り代でもあります。

この長い剣をお受け取りになると、天照大御神さまは、三つに打ち折られて、手に巻かれている玉の緒がゆらゆらと音を立てるほど
天の眞名井(あめのまない)という神聖な水を汲む井戸の
清らかな水で、剣をすすがれます。
次に、その井戸水で清められた剣を、
噛み噛んで、そして吐き出された息吹の霧から
三柱の姫神さまがお生まれになりました。

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その神さまのなまえは
多紀理毘売(たきりひめのみこと)
またのお名前を、奥津島比売命(おきつしまひめのみこと)。
田心姫神(たごりひめのかみ)

次にお生まれになったのは
市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)
市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
またのお名前を、狭依毘売命(さよりびめのみこと)

次にお生まれになったのは
多岐都比売命(たきつひめのみこと)、
湍津姫神(たぎつひめのかみ)

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こちらの三柱の女神さまは、「宗像三女神(むなかたさんにょしん)」で、福岡県宗像市の最古の神社の一つである
宗像大社にお祀りされている女神様です。

宗像大社さんでは
田心姫神(たごりひめのかみ)は、玄界灘の真ん中に浮かぶ、沖ノ島の「沖津宮」にご鎮座されています。
ここは、全島が、国の天然記念物の基調な島。
今も女人禁制、住民もいません。神職以外は島に渡れません。
渡るときにも、海中での禊祓で身を清めてから。
そして、島の一木、一草、ひとつの石も持ち出すことはできない
「海の正倉院」と呼ばれる神聖な島です。

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湍津姫神(たぎつひめのかみ)さまは、宗像市の「中津宮」にお祀りされています。
https://www.munakata-taisha.or.jp/about_nakatsu.html
市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)さまは、
宗像市「辺津宮」(へつぐう)にお祀りされています。

この「宗像三女神」さまは、広島の、「安芸の宮島」でも知られる「厳島神社」をはじめ、全国にお祀りされていますね。


三女神さまの中でも、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)さまは
「美人の神さま」として有名です。仏教の弁財天さまとも習合して水や芸能を守護する女神様としても知られていますね。

神奈川県の「江島神社」

滋賀県の琵琶湖の竹生島に鎮座する「竹生神社(都久夫須麻神社)」は「日本三大弁天」として崇敬を集めていますね。


お話が、宗像三女神さまになっておりました。
さて、物語に戻りましょう。
いっぽう弟神の須佐之男命さまは……
誓約の行方は、どうなるでしょうか?

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―次回へ

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